今回は異なる色の「錆(さび)」について勉強していこう。

実は錆に種類があることを知っているか?探してみると大きく分けて赤い錆と黒い錆があるはずです。

この色の違いは何のためか、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.錆(さび)はなぜできる?

image by iStockphoto

どんなものに錆が生じるか、考えてみてください。外に出しっぱなしの物干し竿、コンクリートからむき出しの鉄筋、いつからあるのかわからない鉄パイプなど、多くの場合風雨にさらされるような場所にあるものが多いと思いませんか。多くの金属は単体では不安定な構造をしているために別の物質と結びついて安定な構造をとろうとします。このときに使われるのが酸素であり、こうして生じた酸化物が錆の正体です。長期間にわたって放置されている間に金属は酸化し、風雨にさらされることでさらに浸食がすすみます。これによって錆は大きくなっていくのです。

もちろんすべての金属が錆びやすいわけではありません。金やプラチナなど、構造が安定しているために酸化しない金属も存在します。また、金属同士を合わせた合金(ごうきん)の形状をとることで表面に皮膜をつくり、錆や腐食から金属を守ることもできるのです。ステンレスはその代表で、鉄にクロム、またはクロムとニッケル両方を含ませることで錆びにくい性質をもちます。この皮膜は通常傷がついても再生するため、長くきれいな状態を保つことができるのです。

例に挙げた物干し竿や車を含めた多くの製品は塗装や錆止めのコーティングをすることで錆から金属を守っているものもあります。しかしついてしまった傷を放置することで錆止めの効果はなくなり、さらに長期間放置することで浸食がすすみ、一度錆びてしまったものに上からコーティングをしても基本的に浸食は止まらないというわけですね。

2.色からわかる錆の種類

身近で錆びやすい金属といえば鉄でしょう。この鉄に生じる錆には大きく分けて2種類があります。それは赤錆(あかさび)と黒錆(くろさび)です。その名の通り色に違いがあり、性質も異なります。

今回もう1つ解説するのは緑青(ろくしょう)です。これも名前に色が入っていますね。これは青緑色をした錆です。古い10円玉を覆うように塊がついているのを見たことがありませんか。これは銅につく錆なのです。

それではそれぞれ詳しく見ていきましょう。

\次のページで「2-1.赤錆(あかさび)」を解説!/

2-1.赤錆(あかさび)

image by iStockphoto

赤錆はもっとも身近な錆ですね。赤みがかった茶色をしていて、触るとぼろぼろと崩れるようなものがこれにあたります。鉄そのものを腐食させるので、錆びた部分は削られてなくなるでしょう。小さな傷からどんどん奥へと錆を広げていくので、悪性の錆ともいわれています。

錆は酸化物だといいましたね。鉄にできる赤錆は化学式 Fe2O3 で表される酸化鉄の一種です。これは鉄原子2つと酸素原子3つが化合していて、酸化第二鉄や酸化鉄(Ⅲ)とよばれています。通常酸化鉄といえば FeO を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、これは酸化第一鉄や酸化鉄(Ⅱ)、あるいはそのまま酸化鉄ともよばれる物質です。赤錆とは異なるので注意しましょう。

2-2.黒錆(くろさび)

image by iStockphoto

黒錆の正体は Fe3O4 酸化鉄(Ⅲ)や四酸化三鉄とよばれる酸化物です。黒い錆がついているものは鉄棒やマンホールを想像するといいでしょう。これらにはざらざらした黒い錆がついているのを見たことがありませんか。これは赤錆とは異なり、錆が大きく広がっていくこともないし、朽ち果ててぼろぼろになっていくこともありません。それは、この黒錆はあえてつけられた錆だからです。

一般的に黒錆は自然に発生することはなく、高温に熱するなどの処理をすることで生じます。これは鉄の表面で酸化膜の役割を果たし、赤錆の発生を抑えてくれるのです。そのために鉄棒にはあらかじめ黒錆をつけることで折れるの防ぎ、安全対策をしています。マンホールも同様ですね。金属を錆から守るためにつけられる錆なので、良性の錆ともいわれています。

鉄瓶や和包丁など、黒錆加工をしている製品は意外に多くあります。鉄棒やマンホールのように、傷ついたり濡れたりする金属製品だからこそ必要な技術ですね。

2-3.緑青(ろくしょう)

image by iStockphoto

赤錆や黒錆は主に鉄に生じる錆でしたが、緑青は銅が酸化することで生じる錆の一種です。塩基性炭素銅や塩基性硫酸銅といった化合物が主成分で、青緑色をしています。

10円玉やお寺にある鐘が青緑色になっているのを見たことがありませんか。自然界では銅が長い期間風雨にさらされて酸化し、硫黄化合物、水分、二酸化炭素、塩分などと反応することで生じます。これらの物質は大気中に含まれるだけでなく、人の手で触られることでも水分や塩分は付着しますよね。

一方で緑青は抗菌力や耐食性に優れているという面もあり、黒錆同様あえて加工を施す場合もあります。人体には無害であることから、給水設備に多く使用される銅管の腐食防止のためあらかじめ施されることもありますよ。

\次のページで「3.酸化鉄の化学式解説」を解説!/

そうですね、確かに銅からできている硬貨といえば10円玉が有名です。しかし他の硬貨にも銅を含むものがあるのを知っていましたか?

例えば5円玉は銅と亜鉛の合金でできています。50円玉と100円玉は同じ素材でできていて、銅とニッケルの合金です。500円玉は銅と亜鉛、ニッケルの合金が素になっています。10円玉よりは銅の割合が少ないものの、銅を含んでいるのですから緑青が生じる可能性は十分に考えられるでしょう。ちなみに1円玉はアルミからできているので例外ですね。

3.酸化鉄の化学式解説

3.酸化鉄の化学式解説

image by Study-Z編集部

通常酸化鉄とよばれるのは FeO であり、酸化第一鉄ともいわれています。鉄原子が1つ含まれており、酸化鉄(Ⅱ)ともいわれていますね。続いて赤錆の主成分は酸化第二鉄 Fe2O3 であり、鉄原子が2つ含まれていて別名酸化鉄(Ⅲ)ともよばれます。最後に黒錆の主成分は四酸化三鉄 Fe3O4 であり、4つの酸素原子と3つの鉄原子が含まれているのでわかりやすいでしょう。これは酸化鉄(Ⅲ)鉄(Ⅱ)ともよばれます。

ここで気になるのはⅡやⅢの意味でしょう。これはイオンが関係していますよ。まず、これらの化合物はイオン結合でなりたっています。そして酸素原子がイオン化したものが酸化物イオン O2- です。中学高校では原子番号20のカルシウム Ca まで電子配置を習いますが、それ以降の原子番号については大学で習う内容になります。しかし酸化物イオンが何価の陰イオンであるかがわかれば鉄イオンが何価の陽イオンであるかがわかるでしょう。少し難しい話になりますので、鉄イオンには Fe2+ と Fe3+ の2種類があるということを覚えておくといいでしょう。

image by Study-Z編集部

なぜ酸素原子はO2-の酸化物イオンになるのかについてはこちらで復習してくださいね。

錆は錆でも違う物質

錆は金属、主に鉄が酸化することによって生じます。鉄が酸化すると酸化鉄が生じますが、ここで覚えてもらいたいのが「酸化鉄の化学式は1つではない」ということです。酸化第二鉄(Fe2O3)と四酸化三鉄(Fe3O4)のように、鉄原子1つと酸素分子いくつが結合するのかによって化学式が異なります。Fe2O3は赤錆、Fe3O4は黒錆とよばれ、見た目や性質に大きな差が見られるのです。また、銅が酸化することによって生じた錆、緑青を忘れてはいけません。これは黒錆同様、錆でありながら金属の腐食を防ぐとして腐食防止の目的であえてつけられることもありますよ。

錆は学校や自宅など、身近なものに存在しています。これはどの錆かと考えながら探してみましょう。触って観察することでそれぞれの特徴を覚えていきたいですね。

" /> 3分で簡単「赤錆・黒錆・緑青」色からわかる錆の性質とは?元塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
化学無機物質理科

3分で簡単「赤錆・黒錆・緑青」色からわかる錆の性質とは?元塾講師がわかりやすく解説

今回は異なる色の「錆(さび)」について勉強していこう。

実は錆に種類があることを知っているか?探してみると大きく分けて赤い錆と黒い錆があるはずです。

この色の違いは何のためか、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.錆(さび)はなぜできる?

image by iStockphoto

どんなものに錆が生じるか、考えてみてください。外に出しっぱなしの物干し竿、コンクリートからむき出しの鉄筋、いつからあるのかわからない鉄パイプなど、多くの場合風雨にさらされるような場所にあるものが多いと思いませんか。多くの金属は単体では不安定な構造をしているために別の物質と結びついて安定な構造をとろうとします。このときに使われるのが酸素であり、こうして生じた酸化物が錆の正体です。長期間にわたって放置されている間に金属は酸化し、風雨にさらされることでさらに浸食がすすみます。これによって錆は大きくなっていくのです。

もちろんすべての金属が錆びやすいわけではありません。金やプラチナなど、構造が安定しているために酸化しない金属も存在します。また、金属同士を合わせた合金(ごうきん)の形状をとることで表面に皮膜をつくり、錆や腐食から金属を守ることもできるのです。ステンレスはその代表で、鉄にクロム、またはクロムとニッケル両方を含ませることで錆びにくい性質をもちます。この皮膜は通常傷がついても再生するため、長くきれいな状態を保つことができるのです。

例に挙げた物干し竿や車を含めた多くの製品は塗装や錆止めのコーティングをすることで錆から金属を守っているものもあります。しかしついてしまった傷を放置することで錆止めの効果はなくなり、さらに長期間放置することで浸食がすすみ、一度錆びてしまったものに上からコーティングをしても基本的に浸食は止まらないというわけですね。

2.色からわかる錆の種類

身近で錆びやすい金属といえば鉄でしょう。この鉄に生じる錆には大きく分けて2種類があります。それは赤錆(あかさび)と黒錆(くろさび)です。その名の通り色に違いがあり、性質も異なります。

今回もう1つ解説するのは緑青(ろくしょう)です。これも名前に色が入っていますね。これは青緑色をした錆です。古い10円玉を覆うように塊がついているのを見たことがありませんか。これは銅につく錆なのです。

それではそれぞれ詳しく見ていきましょう。

\次のページで「2-1.赤錆(あかさび)」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: