2026-08-16

氷河期世代高齢化すると生活保護がどれくらい増えるのか概算してみた

概算すると、

氷河期世代高齢化による生活保護受給者は、2040年代後半~2050年代に70万~130万人程度。

そのうち、

氷河期世代であることによる上乗せ」が10万~70万人程度

というあたりが、とりあえず一つのレンジになると思う。

もちろんこれは将来予測なので、かなり幅を持って見る必要がある。

ただ、「氷河期世代が老後に生活保護へ大量流入する」という話が完全な煽りなのかというと、たぶんそうでもない。

しろ数字を置いてみると、普通にあり得る規模だった。
前提:氷河期世代は何人いるのか

ここでは広めに、

1970~1984年まれ

氷河期世代として扱う。

出生数を単純に積み上げると約2,650万人。

そこから65歳までの死亡などを考慮して、

65歳以降まで生存する人口を約2,300万人

と仮置きする。

当然、これは厳密な人口推計ではない。

あくまで「オーダーを見るため」の概算である

日本全体としては、今後かなり人口が減る一方で、高齢者比率は上昇する。

まり氷河期世代は、

人口の大きな塊のまま高齢期へ入っていく。
今の生活保護は、すでにかなり「高齢者制度」になっている

現在生活保護受給者は約200万人。

人口全体に対する保護率は約1.6%程度。

一方で、生活保護受給者のかなりの割合を65歳以上が占めている。

要するに生活保護は、

若い失業者が受ける制度

というイメージより、

年金だけでは生活できない高齢者を支える制度

という性格がすでにかなり強い。

そこで今回は、

普通高齢コーホートなら生活保護率2.5%程度

仮定する。

その上で氷河期世代では、雇用年金・単身化などの影響によって、

3.0%

4.0%

5.5%

まで上がるケースを置いてみる。

3つのシナリオ
シナリオ 65歳以降人口 生活保護 氷河期世代受給者 通常2.5%との差
2,300万人 3.0% 69万人 +11.5万人
中央 2,300万人 4.0% 92万人 +34.5万人
2,300万人 5.5% 126.5万人 +69万人

中央ケースだと、

92万人が生活保護

ただし、この92万人を全部「氷河期のせい」とするのはおかしい。

普通世代でも高齢になれば一定割合生活保護になる。

通常の高齢者保護率を2.5%と置くと、

氷河期特有の上乗せは約34.5万人。

まりイメージとしては、

> 氷河期世代生活保護受給者 約90万人

> そのうち氷河期ショックによる追加分 約35万人

くらい。

ちなみに昔、政府資料でも、

「将来の潜在的生活保護受給者77.4万人」

という推計が引用されていた。

これはかなり古い試算なので、

政府現在77.4万人になると予測している」

という意味ではない。

ただ、今回の粗い計算でも70万~130万人くらいなので、

少なくとも桁としては変な数字ではない。
で、いくらかかるのか

次に財政負担

ここでも重要なのは

92万人×生活保護

とやってはいけないこと。

普通高齢者でも生活保護になる人はいるので、

氷河期特有の上乗せ部分」だけ計算する。

1人あたり年間の公費負担を、

年金との差額

住宅扶助

医療扶助

などを全部含めて、

年間120~180万円

くらいと仮置きする。

シナリオ 氷河期による超過受給者 1人年間費用 追加生活保護
11.5万人 120万円 約1,380億円/年
中央 34.5万人 150万円 約5,175億円/年
69万人 180万円 約1兆2,420億円/年

中央ケースなら、

年間約5,000億円。

これが「氷河期世代特有の追加的な生活保護負担」のざっくりした目安になる。

生活保護費は国と地方負担するので、

中央ケースなら概算で、

国:約3,900億円

地方:約1,300億円

程度。

年間5000億円って、20年なら10兆円なんですよね

中央ケースの約5,200億円が20年間続くと、

10.4兆円。

強ケースなら、

24.8兆円。

昔の推計にあった

「累計生活保護20兆円」

も、別にSF的な数字ではない。

ただし実際には、

ある日突然35万人増えるわけではない。

徐々に増えて、ピークを迎えて、その後減る。

例えば、

2035年 追加5万人

2040年 15万人

2045年 30万人

2050年 35万人

2055年 35万人

2060年 30万人

2065年 20万人

2070年 10万人

くらいの台形型で推移すると仮定すれば、

累積追加負担はざっくり、

7~10兆円程度

というところではないか

もちろんここは年金制度物価家賃医療費でかなり変わる。

なぜ氷河期世代だけ高くなるのか

氷河期世代問題って、

就職できなかった」

で終わる話じゃない。

本当に効いてくるのは、その後。

非正規期間が長い

厚生年金が薄い

生涯賃金が低い

金融資産も少ない

という経路。

しか現在40代~50代なので、

から正社員になったとしても、

20からずっと正社員だった人との差を完全に埋めるのはかなり難しい。

そしてさらヤバいのが、

未婚・単身

+低年金

賃貸住宅

+親の死亡

相続資産が乏しい

という組み合わせ。

たとえば65歳で年金月8万円でも、

持ち家で、配偶者がいて、夫婦年金をもらっているなら、まだ何とかなるかもしれない。

でも、

独身

家賃6万円

金融資産ほぼなし

親死亡

だったら、

年金8万円では普通に詰む。

なので生活保護入りを左右するのは、

単純に

非正規だったか

ではなく、

年金 × 単身 × 無資産 × 賃貸

だと思う。

ここが一番重要

一番ありそうな数字を一つ置くなら

個人的には中央ケースとして、

2045~2055年ごろ、氷河期世代約2,300万人のうち生活保護受給者80~100万人程度。

そのうち通常の高齢者でも発生する分を除いた「氷河期ショックの上乗せ」が30~40万人程度。

追加財政負担ピーク時年間4,000~6,000億円程度。

長期累計5~10兆円程度。

このへんが、そんなに極端ではない数字だと思う。

昔の

氷河期世代77万人が生活保護になる」

という言い方よりはかなり慎重。

77万人全員が追加受給者になるわけではないから。

これ、雇用政策の話じゃなくて年金政策の話なのでは

で、ここが一番言いたいところなんだけど。

氷河期対策って、今でも

「リスキリンします」

就職相談します」

正社員化を支援します」

みたいな話になりがち。

もちろん、それも必要

でも50歳前後の人に、

「これから頑張ってキャリア形成しましょう」

だけで2045年の低年金問題解決するとは到底思えない。

問題はもう、

就職できるか

から

老後の所得をどうするか

に移っている。

から厚生年金加入期間を増やせば、将来の生活保護費をある程度減らせる。

まり氷河期対策は、

雇用政策であると同時に、2040年代以降の生活保護財政対策でもある。

しろ

「今、数千億円かけて氷河期世代年金住宅雇用を補強する」

のと、

2040年から毎年5000億円の生活保護費を払う」

のと、

どっちが安いのか。

そろそろちゃん比較した方がいいと思う。

たぶん氷河期問題の本番、まだ始まってない。

就職難だった1990年代が本番ではなく、

年金のまま大量に65歳へ到達する2040年代が本番なんじゃないか

という話。

  • 兆円単位の財源が必要な消費税減税やら年収の壁引き上げやってる状況で氷河期の生活保護5000億円いるって言われても大したことないやんとしか思わん むしろたったそれだけのコストを...

  • 意外とコスト低いんやな これくらいなら戦闘機か原発削れば余裕やんけ

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