今回の記事では「脳幹」をテーマに勉強していこう。

脳の中のごく一部である「脳幹」という場所は、生命がその命をつなぐために欠かすことができない、何よりも重要な部分です。脳幹の色々な領域の、位置やはたらきを確認していこう。

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

脳幹ってなに?

今回のテーマは”脳幹(のうかん)”ですね。脳幹の機能について話をする前に、まずは脳のどの部分が脳幹とよばれているのかを確認しましょう。

脳の部位は大きく「3つ」に分けられる

私たち人間の脳は、体の中でも特に大きな器官です。成人の脳は平均1kgを超えるほど、全体重の内のおおよそ2%ほどが脳の占める重量となっています。

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人間の脳は大きく3つの部分に分けて考えることができます。大脳小脳、そして今回の主役である脳幹です。

大脳は、ヒトの脳で最も大きな体積を占める部位。思考や想像、計算などといった知的な活動は、この大脳を機能させることで可能になります。大脳の形は、おまんじゅうが真ん中で二つに割れたような姿。2つの大脳(右脳と左脳)が存在しています。それぞれを大脳半球とよんだりしますね。

\次のページで「1.間脳」を解説!/

小脳は、大脳の後ろ側、下の方に位置しています。大脳の10分の1ほどの重さしかありませんが、多くの神経細胞が存在する部位です。

小脳では主に運動機能の調節が行われます。筋肉への力の入れ方を調節したり、平衡感覚をつかさどっているんです。

そのとおり!「脳」の部位のうち、大脳と小脳以外の部分は脳幹としてまとめられているんです。

さらに細かく見ると、脳幹は位置や機能の違う4つの部位から成り立っています。4つの部位とは、頭の上の方から順に間脳(かんのう)、中脳(きょう)、延髄(えんずい)です。

image by Study-Z編集部

延髄より先、背中に続く神経の束は脊髄とよばれ、脳の範囲からは外れます。

それでは、脳幹を構成するこの4つの部位を、それぞれの働きとともに学んでいきましょう。

1.間脳

間脳は2つの大脳半球の間にあり、それらをつないでいます。間脳の下に続くのは、この後ご紹介する中脳です。

間脳はさらに大きく3つの部位に分けて考えることができます。視床(ししょう)、視床下部(ししょうかぶ)、そして脳下垂体(のうかすいたい)です。これらの部位は、それぞれ異なる重要な機能をもっています。順にみていきましょう。

視床

視床は、視覚や聴覚、触覚(体性感覚)といった体の色々な感覚を伝える神経の中継地点です。視床を通り、それぞれの感覚情報は大脳の皮質という部分に伝えられます。

視床下部

視床下部は名前の通り、視床のやや下側に位置しています。

視床と比べても視床下部の占める体積は小さく、脳全体から見ればなおさら小さな部分なのですが、この視床下部が果たす役割は大変重要です。高校の生物学でも必ず名前を覚えるように言われると思います。

\次のページで「脳下垂体」を解説!/

Hypothalamus image.png
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視床下部の重要な役割が自律神経の調節をする”自律神経系の中枢”としてのはたらきです。交感神経や副交感神経の機能は、この視床下部で調節されています。

また、視床下部とその下にある脳下垂体からは、いくつものホルモンの分泌され、量の調節も行われているのです。

視床下部が正常に機能するからこそ、私たちの身体は健康に保たれているのです。

たとえば、体温調節は視床下部に温度の変化(暑い・寒い)という情報が伝わることからはじまります。暑さ・寒さに応じて適切な自律神経やホルモンがはたらき、体温がコントロールされているんです。

さらに、視床下部は怒りや不安といった情動睡眠などの本能的な行動、摂食行動、飲水行動などの中枢にもなっていることが知られています。

脳下垂体

脳下垂体は単に下垂体とよばれたり、間脳下垂体と呼ばれたりもします。視床下部の下にある、小指の先ほどの小さな器官です。

下垂体からは色々なホルモンが分泌されます。分泌されたホルモンは、直接別の細胞にはたらきかけて効果を発揮するものもあれば、「他のホルモンの分泌を調節する」ためのホルモンというものもあるんです。

ヒトの脳下垂体は、大きく2つの部位に分けられます。脳下垂体の前葉後葉です。前葉からは成長ホルモンや甲状腺刺激ホルモンなどが、後葉からはバソプレシンやオキシトシンが分泌されています。

実は、脳下垂体から分泌されるホルモンのうち、「他のホルモンの分泌を調節するはたらきをもつ」ようなものは、視床下部からの刺激によって分泌量が調節されているのです。その刺激の方法もまた「ホルモン」であることがしられています。

また、脳下垂体後葉から分泌されているホルモンも、実際にそれが生成されている場所は視床下部なんです。

脳下垂体は視床下部に影響・支配されている器官といってもよいでしょう。

2.中脳

間脳と橋の間に位置する部分は中脳とよばれます。

中脳は視覚聴覚に関係している脳の部位です。

私たちの眼は、周囲の明るさに合わせて瞳孔の大きさを調節し、取り入れる光の量を調節しています。懐中電灯などで目に光をあてると、きゅっと瞳孔が縮まる対光反射は、この中脳が深く関連しているんです。

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Midbrain.png
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聴覚という点では、中脳は耳から入った音の信号の中継地点となります。

また、姿勢の反射的な保持にも中脳がはたらいているんです。

3.橋

中脳の下部に位置している、少し飛び出したような部分が(きょう)です。橋のすぐ背中側には小脳があり、つながってます。

いくつかの重要な脳神経はこの橋からでています。顔の感覚をつたえる三叉神経や、表情筋の運動を支配する顔面神経などです。さらに、ほかの神経の中継地点にもなっています。

4.延髄

延髄は脳幹の最も下に位置する部位ですが、生命を維持するために必要不可欠な中枢が多数集まっています。

呼吸運動をコントロールする呼吸中枢、心臓の動きを調節する心臓中枢、食べ物を飲み込むときの嚥下中枢、嘔吐中枢など…いずれも間違いなく、正常に機能しなくては命に危険が及ぶような機能です。

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脳幹なくして命なし!

最後の桜木先生のコメント、まさにその通りなんです。

たとえば、ドラマや小説などでまれに目にする「植物状態」という言葉。事故などで脳にダメージをうけ、この状態になることがあります。植物状態では、意識はありませんが自発的な呼吸が可能です。はたから見たら、まるで眠っているかのようにもみえます。

これは、大脳ははたらいていないけれど、脳幹と小脳が機能している状態。呼吸や心臓の動きの中枢がある脳幹が生きていれば、意識はなくても生命活動は止まりません。

脳幹はまさに、命をつなぐ機能をもつ重要な部分なのです。

イラスト使用元:いらすとや

" /> 「脳幹」って何?生命維持に重要な役割?位置や機能をざっと把握しよう!現役講師がわかりやすく解説します – Study-Z
体の仕組み・器官理科生物

「脳幹」って何?生命維持に重要な役割?位置や機能をざっと把握しよう!現役講師がわかりやすく解説します

今回の記事では「脳幹」をテーマに勉強していこう。

脳の中のごく一部である「脳幹」という場所は、生命がその命をつなぐために欠かすことができない、何よりも重要な部分です。脳幹の色々な領域の、位置やはたらきを確認していこう。

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

脳幹ってなに?

今回のテーマは”脳幹(のうかん)”ですね。脳幹の機能について話をする前に、まずは脳のどの部分が脳幹とよばれているのかを確認しましょう。

脳の部位は大きく「3つ」に分けられる

私たち人間の脳は、体の中でも特に大きな器官です。成人の脳は平均1kgを超えるほど、全体重の内のおおよそ2%ほどが脳の占める重量となっています。

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人間の脳は大きく3つの部分に分けて考えることができます。大脳小脳、そして今回の主役である脳幹です。

大脳は、ヒトの脳で最も大きな体積を占める部位。思考や想像、計算などといった知的な活動は、この大脳を機能させることで可能になります。大脳の形は、おまんじゅうが真ん中で二つに割れたような姿。2つの大脳(右脳と左脳)が存在しています。それぞれを大脳半球とよんだりしますね。

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