今回は「間脳の機能」をテーマに勉強していこう。間脳は脳の中心部にあり脳のほかの部位に伝える「連絡・中継」としての役割、各種ホルモンを分泌する「内分泌器官」としての役割、交感神経・副交感神経の働きを制御する「自律神経を統合する」役割など、生物が恒常性を保つため、そして人間らしさを保つために重要な組織です。そして間脳は生活リズムやストレスに多大な影響を受ける部分でもある。
生物に詳しい現役理系大学院生ライターCaoriと一緒に解説していきます。

ライター/Caori

国立大学の博士課程に在籍している現役の理系大学院生。とっても身近な現象である生命現象をわかりやすく解説する「楽しくわかりやすい生物の授業」が目標。

間脳とは

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「脳」とは動物の頭部にある神経組織の集りのことで、知覚情報の統合、運動反射の指揮、自律神経の働きの制御、各種ホルモンの分泌を支配するなど、生命を維持する本能的な機能や人間としての人格を司る重要な部位です。脳は働きが異なる様々な部位に分かれており、ヒトの場合は、大きく大脳、小脳、脳幹の3つにわけられています。

今回のテーマである「間脳」は解剖学的分類や生理学的な分類によって、大脳に分類されたり脳幹に分類されたりします(今回は解剖学的な分類で解説します)。間脳は第三脳室を囲む脳部位で、2つの大脳半球(いわゆる右脳と左脳)に包まれる様に存在し、2つの大脳半球は一つの間脳に繋がっており、間脳はさらに脳幹(中脳)に繋がっています。間脳は2つの大脳からの信号を間脳から身体へ、さらに身体からのシグナルと間脳→大脳へと伝えるシグナルを中継する交差点です。

間脳の構造と機能

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間脳は多くの神経核が集合した灰白質のかたまりでありヒトでは中枢神経系全体の約2%程度の小さな構造ですが、その機能は幅広く、視床、視床上部、視床下部、下垂体の4つの領域に分けることができます。左右に視床、後上部に視床上部、視床下部からは下垂体が延びるような構造です。4つの領域の機能の詳細は後述しますが、まずはそれぞれの位置関係と大まかな働きとまとめました。

視床】左右2つあり、間脳の80%を占め、中枢神経で最大の神経核(約120の核が集合)。 感覚入力を大脳新皮質へ中継する。小脳と大脳基底核による運動機能の制御にも重要な役割を担うと言われている。

視床上部】2つの視床に挟まれるように存在し、8~10㎜くらいの長さの卵形 。松果体、手綱、内側手綱核、外側手綱核が存在し、嗅覚に関する働きや脳幹との連絡機能を持つ。松果体は睡眠や概日リズムに関わるメラトニンを夜間に分泌する。

視床下部】視床の前下方で、第三脳室下側壁に存在。4g程度とサイズが小さいが、自律神経、内分泌系、本能行動の中枢として多用で複雑な機能を有する

下垂体】視床下部に接する位置にあり、一部がぶら下がっているように見える。視床下部ホルモンの刺激を受け、各種ホルモンを分泌する。

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1.視床

Brain chrischan thalamus.jpg
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視床は解剖学では背側視床、腹側視床に区分されますが、一般的には「視床」と言った場合にはこのうち背側視床を指していることがほとんどです。外観は卵型をした一つの塊ですが、複数の機能を持った核(特異核、連合核、非特異核)で構成されており、それぞれに役割を持っています。視覚、聴覚、体性感覚など、神経線維はすべて視床を通って大脳皮質の各中枢に向かっており、感覚入力を大脳新皮質へ中継しています(嗅覚以外)。視床はあくまでも中継所ですので、快・不快程度であれば認識できますが、もっと細かな判断を行うのは大脳皮質の感覚野です。

また、大脳基底核の運動前野から小脳を通り運動野にいく大脳・小脳ループは、視床の外腹側核(VL核)を通っていること、視床出血などの視床の障害や以上は、運動失調を呈することから視床は運動機能の制御をしていると考えられています。

2.視床上部

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視床上部はヒトでは退化的で、松果体、手綱、内側手綱核、外側手綱核が識別されるのみです。松果体メラトニンと呼ばれる概日リズムを調節するホルモンの産生と分泌をしています。

メラトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンから合成され、強い光(朝日)を浴びるとメラトニンの分泌は減少し、暗くなってくると分泌量が増える仕組みです。メラトニンが分泌されると体温、血圧、脈拍などが低下し、睡眠の準備ができたと身体が認識することで入眠へと向かいます(睡眠覚醒周期を調節)。メラトニンの分泌する時間や量は主に明暗によって調整され、概日リズムが調整されていますが、不規則な生活や太陽光を浴びないような生活を続けると概日リズム障害が生じ、メラトニンがうまく分泌されず、不眠症などの睡眠障害の原因となります。

3.視床下部

3.視床下部

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間脳の機能として最も有名なのは視床下部の機能ではないでしょうか。視床下部は生命現象をつかさどる自律神経系の交感神経・副交感神経機能、内臓の働きや内分泌の働きを制御して自身もホルモンを分泌するほか、下垂体ホルモンの調節をして全身の内分泌機能を総合的に調整する役割をしています。

具体的には血圧、心拍数、体温調節、口渇感を感じさせ飲水行動による浸透圧の調整、女性では出産後の子宮筋収縮、乳腺分泌。そのほか、、本能行動として摂食中枢、満腹中枢は拮抗的に働く神経性調節を行い摂食行動を制御。性欲や性行動、睡眠の制御を担っています。視床下部が分泌するホルモンは表の通りです。

4.下垂体

4.下垂体

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下垂体は前葉、中葉、後葉に分けられ、3つの部分からはそれぞれ異なったホルモンが分泌されるため、多種多様なホルモンを分泌する内分泌器官です。下垂体は血管が非常に発達しており、分泌されたホルモンが効率よく血流に乗って全身に運ばれるようになっています。特に、下垂体を通る血管のうちの一部は、視床下部を経由してから下垂体に入り、視床下部の分泌調節ホルモンの刺激が効率よく下垂体に伝わる仕組みです。

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間脳とストレス

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視床下部は、感情の変化や情動(強い怒り、悲しみ、不安や恐怖など)と密接な関係があり、人間として理性や判断が適切に出来る為に重要な部分である大脳皮質全域(大脳皮質と辺縁系皮質)の調整の中枢です。このため、視床下部はストレス反応の中枢と考えられています。視床下部とその下流である下垂体はストレスに応答して種々のホルモン群、神経ペプチドを産生・分泌しており、視床下部を介して自律神経系を内分泌系の生体反応を介したストレス反応が引き起こされます(高血圧や腹痛、過食・拒食、睡眠障害、興奮や無気力など)。

また、強いストレス続いたり、強烈なストレスを受けると、過度なストレス負荷によって脳機能のバランスが失われてしまう場合があります。ストレスレベルがある閾値を超えてしまうと、それが原因で脳や身体に障害が発生してしまうのです。

朝日に当たってストレスを減らそう!

私たちの生活リズムが崩れたり、心身ともにストレスにさらされ続けることによって、間脳が制御しているホルモンの分泌や交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、ストレス状態に対する防御力が限界を超えてしまうと、恒常性を保てなくなりさまざまな病気を招くことにつながります。

可能な限り規則正しい生活を送り、日光(特に朝日)に当たって概日リズムを調整し、心身ともにストレスを解消することを心がけましょう。

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体の仕組み・器官理科生物

3分で簡単「間脳の機能」ストレスや生活リズムが及ぼす影響を現役理系大学院生がわかりやすく解説!

今回は「間脳の機能」をテーマに勉強していこう。間脳は脳の中心部にあり脳のほかの部位に伝える「連絡・中継」としての役割、各種ホルモンを分泌する「内分泌器官」としての役割、交感神経・副交感神経の働きを制御する「自律神経を統合する」役割など、生物が恒常性を保つため、そして人間らしさを保つために重要な組織です。そして間脳は生活リズムやストレスに多大な影響を受ける部分でもある。
生物に詳しい現役理系大学院生ライターCaoriと一緒に解説していきます。

ライター/Caori

国立大学の博士課程に在籍している現役の理系大学院生。とっても身近な現象である生命現象をわかりやすく解説する「楽しくわかりやすい生物の授業」が目標。

間脳とは

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「脳」とは動物の頭部にある神経組織の集りのことで、知覚情報の統合、運動反射の指揮、自律神経の働きの制御、各種ホルモンの分泌を支配するなど、生命を維持する本能的な機能や人間としての人格を司る重要な部位です。脳は働きが異なる様々な部位に分かれており、ヒトの場合は、大きく大脳、小脳、脳幹の3つにわけられています。

今回のテーマである「間脳」は解剖学的分類や生理学的な分類によって、大脳に分類されたり脳幹に分類されたりします(今回は解剖学的な分類で解説します)。間脳は第三脳室を囲む脳部位で、2つの大脳半球(いわゆる右脳と左脳)に包まれる様に存在し、2つの大脳半球は一つの間脳に繋がっており、間脳はさらに脳幹(中脳)に繋がっています。間脳は2つの大脳からの信号を間脳から身体へ、さらに身体からのシグナルと間脳→大脳へと伝えるシグナルを中継する交差点です。

間脳の構造と機能

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間脳は多くの神経核が集合した灰白質のかたまりでありヒトでは中枢神経系全体の約2%程度の小さな構造ですが、その機能は幅広く、視床、視床上部、視床下部、下垂体の4つの領域に分けることができます。左右に視床、後上部に視床上部、視床下部からは下垂体が延びるような構造です。4つの領域の機能の詳細は後述しますが、まずはそれぞれの位置関係と大まかな働きとまとめました。

視床】左右2つあり、間脳の80%を占め、中枢神経で最大の神経核(約120の核が集合)。 感覚入力を大脳新皮質へ中継する。小脳と大脳基底核による運動機能の制御にも重要な役割を担うと言われている。

視床上部】2つの視床に挟まれるように存在し、8~10㎜くらいの長さの卵形 。松果体、手綱、内側手綱核、外側手綱核が存在し、嗅覚に関する働きや脳幹との連絡機能を持つ。松果体は睡眠や概日リズムに関わるメラトニンを夜間に分泌する。

視床下部】視床の前下方で、第三脳室下側壁に存在。4g程度とサイズが小さいが、自律神経、内分泌系、本能行動の中枢として多用で複雑な機能を有する

下垂体】視床下部に接する位置にあり、一部がぶら下がっているように見える。視床下部ホルモンの刺激を受け、各種ホルモンを分泌する。

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