【独自第5弾】陸自部隊の個人情報収集、部隊関係者が「違法」と公益通報 「行政文書として管理されていない」

熊本日日新聞 2026年8月17日 19:00
現地情報隊が拠点とする陸上自衛隊の朝霞駐屯地=7月、埼玉県朝霞市
現地情報隊が拠点とする陸上自衛隊の朝霞駐屯地=7月、埼玉県朝霞市

 陸上自衛隊中央情報隊(東京・埼玉、朝霞駐屯地)の対外情報部門「現地情報隊」が、日本人の大学教授らを対象に「愛国心」や「性的嗜好[しこう]」など個人情報を組織的に調査・収集しているとみられる問題で、部隊関係者が2025年2月、当時の防衛相に対し、「活動は違法」として公文書管理法違反などの疑いで公益通報していたことが17日、分かった。現在までに通報者への調査結果の報告はないという。

 関係者によると、現地情報隊で情報収集を担っていた隊員が、25年2月に当時の中谷元・防衛相に文書で通報した。同隊が調査対象とした市民の愛国心や対自衛隊感情、性的嗜好といった個人情報を記録した「個人BSD(ベーシックソースデータ)報告書」などの一連の内部文書について、「朝霞駐屯地で保管しながら行政文書としての登録、管理がなされていない」と指摘し、公文書管理法違反と訴えた。

 陸上幕僚監部監理部は25年6月、通報者に対して「公益通報受理通知書」を出し、「調査員を指定して事実の調査を実施する」と回答。しかし、通報から1年以上たった現在まで調査結果の報告はされていないという。

 現地情報隊は海外情報の収集が本来の任務だが、実態は国内での活動が大半で、日本人の市民を対象に明確な法的根拠のない人的情報活動(ヒューミント)を展開しているとされる。関係者の証言などから、収集された個人情報は少なくとも数千人分に上る可能性がある。小泉進次郎防衛相は閣議後記者会見でこれまで「不適切な活動は確認されていない」としているが、報告書の有無については言及を避けている。

 部隊関係者は熊本日日新聞の取材に「インテリジェンス(情報活動)とは国の政策決定に資する情報と分析であり、国民監視ではない。基本的な法令すら守れない自衛隊の活動は国民の信頼を裏切るものであり、情報機関としての方向性を見失っている」と話した。

 公文書管理法は公益通報者保護法に基づく「通報対象となる法律」には含まれていないが、防衛省は行政文書の適正な管理については通報を受け付けている。

(植木泰士、小山智史、迫田真帆)

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