【独自第5弾】陸自部隊の個人情報収集、部隊関係者が「違法」と公益通報 「行政文書として管理されていない」
陸上自衛隊中央情報隊(東京・埼玉、朝霞駐屯地)の対外情報部門「現地情報隊」が、日本人の大学教授らを対象に「愛国心」や「性的嗜好[しこう]」など個人情報を組織的に調査・収集しているとみられる問題で、部隊関係者が2025年2月、当時の防衛相に対し、「活動は違法」として公文書管理法違反などの疑いで公益通報していたことが17日、分かった。現在までに通報者への調査結果の報告はないという。
関係者によると、現地情報隊で情報収集を担っていた隊員が、25年2月に当時の中谷元・防衛相に文書で通報した。同隊が調査対象とした市民の愛国心や対自衛隊感情、性的嗜好といった個人情報を記録した「個人BSD(ベーシックソースデータ)報告書」などの一連の内部文書について、「朝霞駐屯地で保管しながら行政文書としての登録、管理がなされていない」と指摘し、公文書管理法違反と訴えた。
陸上幕僚監部監理部は25年6月、通報者に対して「公益通報受理通知書」を出し、「調査員を指定して事実の調査を実施する」と回答。しかし、通報から1年以上たった現在まで調査結果の報告はされていないという。
現地情報隊は海外情報の収集が本来の任務だが、実態は国内での活動が大半で、日本人の市民を対象に明確な法的根拠のない人的情報活動(ヒューミント)を展開しているとされる。関係者の証言などから、収集された個人情報は少なくとも数千人分に上る可能性がある。小泉進次郎防衛相は閣議後記者会見でこれまで「不適切な活動は確認されていない」としているが、報告書の有無については言及を避けている。
部隊関係者は熊本日日新聞の取材に「インテリジェンス(情報活動)とは国の政策決定に資する情報と分析であり、国民監視ではない。基本的な法令すら守れない自衛隊の活動は国民の信頼を裏切るものであり、情報機関としての方向性を見失っている」と話した。
公文書管理法は公益通報者保護法に基づく「通報対象となる法律」には含まれていないが、防衛省は行政文書の適正な管理については通報を受け付けている。
(植木泰士、小山智史、迫田真帆)
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツTHEMES
熊本の政治行政-
天草市、次期定例会に21議案提出へ 車中泊できるRVパークなど
熊本日日新聞
-
最賃改定へ2度目の金額提示 熊本地方審議会の専門部会
熊本日日新聞
-
<2026年熊本地震>熊本市庁舎「重大被害なし」 大西市長 検証委に被害報告
熊本日日新聞
-
天草市に「恩返し」の500万円寄付 愛知・名古屋市の企業 奨学金貸与事業に
熊本日日新聞
-
2026年熊本地震3週間 被災交通インフラ、復旧進む 宇城-八代で主要道路の通行再開 新幹線、南九州道の一部は不通
熊本日日新聞
-
<2026年熊本地震>大西市長「手厚い財政支援を」 木原官房長官に要請書提出
熊本日日新聞
-
御船町の廃棄物処理施設計画 住民投票条例の直接請求可能に 2住民団体提出の署名、必要数上回る
熊本日日新聞
-
<2026年熊本地震>〝火事場泥棒〟許すな 熊本県警が警戒強める 2016年熊本地震、2024年能登地震でも多発 全国から応援、防カメ増設
熊本日日新聞
-
<2026年熊本地震>八代市の断水、8割解消 大半は夜間給水制限
熊本日日新聞
-
くまモン、16日から活動再開 2026年熊本地震で休止
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
連載小説「家族晴れ」
桜木紫乃・作 くわはらまい・挿絵
札幌市の観光名所・さっぽろテレビ塔。大学卒業後、アルバイト生活を続けてきた菊池太陽は、正社員として採用されることになった。ところが太陽の初出社の日、専業主夫の父・誠が、突然、家出してしまう。穏やかだったはずの家族の変化に戸惑う太陽は、職場で「プラネタリウム再建」という一大プロジェクトを任されることになるのだが-。直木賞作家・桜木紫乃が、青年の成長と新たな家族のあり方を描く。 -
武田真一のおしゃべり多様性(ダイバーシティー)
熊本市出身のフリーアナウンサー武田真一さんによる大型エッセー。2023年春にNHKを退職し、月~金曜の朝9時からKKTで放送中の情報番組「DayDay.」で司会を務めるなど、活動の場を広げている武田さん。自身の日々の営みや人々との出会い、心に染みるエピソードを軽やかなタッチでつづり、今日的な社会問題にもアプローチします。