富士山麓のAIハッカソン「Project DENT」後編。12時間耐久の末にまさかの117点同点……優勝の行方は?
12時間でAIゲームセンターを建てた7チームの頂点。トイトリオの「言葉の重み」とAIもいっしょの「物理AIアケコン」、審査員が選んだのは
忙しい人のための3行まとめ
- 最終ラウンドは12時間でAIゲームセンター用ゲームを制作、ロケテスト形式で7チームが競い合った
- 結果は117点同点、トイトリオとAIもいっしょのどちらを選ぶか審査員が二者択一を迫られた
- 優勝はAIもいっしょ、人間とAIが物理的に1つのアケコンを握る前代未聞の発想が頂点に立った
焚き火の薪が爆ぜる音だけが森に残った夜、清水さんが静かに口を開いた。
「次が最後だ。夜から翌朝まで、約12時間。AIゲームセンターに出せるゲームを作ってくれ」
ここから、Project DENTは「開発合宿」から別のナニカへと姿を変えていく。これは、前編からの続きだ。
最終ラウンドのお題と新ルール
清水さんから告げられた最終課題は、以下の通りだ。
- テーマ:「AIゲームセンター」に出せるゲーム
- 条件:協力プレイ、または対戦プレイ。2人以上が実際に遊んで楽しいと感じること
- 開発時間:夜から翌朝までの約12時間
- 審査:各チームに配布された10枚のプレイチケットを使う「ロケテスト形式」
ユーザー目線。見て面白いだけでは足りない。「遊んで楽しい」が問われる。森の夜、各コテージから漏れ続けるキーボードの音。5時まで起きていたチーム、1時から3時だけ仮眠して再起動したチーム、ほぼ寝ていないチーム。全員が、自分たちの「筐体」を森の中に建てていた。
朝9時、中間順位が発表される
朝9時。全員が揃ったところで、清水さんから爆弾発表。現時点の中間順位が公開された。
- 1位:トイトリオ
- 2位タイ:フツーのOL/AIもいっしょ/ゴールデンシスターズ
- 5位:現実改竄機構
- 6位:チーム技研魂
- 7位:null^2キッズ
第1戦・第2戦ともに「バランスが良く、独創的で、プレゼンも上手い」と高評価を受けていたトイトリオが独走。これを3チームが同点2位で追い、下位からは落合陽一研究室のnull^2キッズが7位から大逆転を狙う、という完全に映画の第三幕の構図だ。
さらに清水さんは、最終審査に新ルールを追加する。
「本番中にトラブルが起きたら、作品に手を加えて直してよし。運営中にバグを直しながらやっていい」
ゲームセンターの「店員」としても現場対応する。これはもう開発ではなく興行だ。朝9時、ゲームセンター「プロジェクト・デント」、開店。
ゴールデンシスターズ:モグラ叩き+観客妨害の筐体
最初に飛び込んだのは、すでにBGMで客を迎え入れ、完全に「お店」の空気を作り上げていたゴールデンシスターズ。お花を摘んで演出するまでが仕事、という徹底ぶりだった。
ゲームの基本はモグラ叩き。1人のプレイヤーが画面に出てくるモグラをひたすら叩くというシンプルなものなのだが、ここから仕掛けが効いてくる。
周りで観戦している人たちが、スマホでQRコードを読み込むとその場で妨害役として参加できるのだ。バシバシバシバシと妨害ボタンを連打して、モグラを叩けないようにする。プレイヤーは必死でモグラを追い、観客は必死で邪魔をする。1人で飛び込んでも、周りの人が妨害役をやってくれるから盛り上がる。複数人で乗り込んでも、役割分担しながら楽しめる。
3分以内で完結する、ゲームセンターの筐体としての時間感覚も完璧。悪用すれば嫌いな奴を妨害し続けられる懸念はあるものの、AIゲームセンターの「最初の1台」としてこれを見せられた衝撃は大きかった。時間が長くあるというだけあって、クオリティが全然違う。最終審査の最初のゲームとして、いきなり完成度の高いものが出てきて感動した。
フツーのOL:SANU休日ミニゲーム3本立て
続いてはフツーのOLのキャビンへ。このチームは、SANUでの休日の過ごし方をテーマに3つのミニゲームを用意してきた。「ここじゃないと生まれない」作品だった。
- 焚き火マシュマロ争奪戦:真ん中の焚き火を2人で取り合いながらマシュマロを焼き、花火は遠ざける協力&対戦ゲーム
- 虫叩きゲーム:スペースキーとエンターキーで虫をひたすら叩く、自然がいっぱいのSANUならではの題材
- サウナのロウリュ連打:Aキーを連打して温度ゲージを上げ、整うまでの時間を競う。弓月さんはなんと8秒で整った
このチームがすごいのは、SANUで開発したからこそ生まれたゲームになっていたこと。外でBGMを流したり、これまでのミニハッカソンで使ったものを装飾に使い回したりと、トータルパッケージとしての体験が完成されている。2人でプレイできて、楽しめて、短時間で終わって、3つのゲームが全部SANUに紐付いている。複雑さがないゲームとしての気持ちよさも際立っていた。
純粋なゲーム単体としての作りこまれ方は、もしかしたら前のゴールデンシスターズのほうが一枚上手だったかもしれない。しかし、SANUじゃないと成立しないという文脈の強さ、この場所で開発したからこそ生まれた体験という一点において、このチームの作品はずば抜けて魅力的だった。第1戦で16本を叩き出したあの突破力が、最終戦では「場所の文脈」と結びついて、別の形で結晶化していた。
null^2キッズ:SANU FIGHTで7位からの逆襲
続いて雨がポツポツ降り始める中、7位・null^2キッズのキャビンへ。落合陽一研究室のnull²を手掛けたチームが最終審査で仕掛けてきたのは、全身で戦う格ゲー「SANU FIGHT」だった。
ゲームの流れがとにかく斬新だ。
- プレイヤーは2人のブースに分かれて別々に「必殺技ポーズ」を撮影・登録
- ノーマルのパンチ、5秒間の必殺技ポーズをカメラが撮影
- AIがそのポーズを解析し、中段と下段が長め、加速するなど、動きの特性から攻撃力や当たり判定を自動生成
- ポーズの流れは動画として保存され、実際のゲーム画面の必殺技アニメーションとして発動
- 対戦では敵の攻撃を避けながら、自分が登録したポーズを実際に取ると必殺技が発動する
リンクマン(「リンクアタック」)と、弓月さん(キックをやっていたのに「ミラクルパンチ」)の対戦は、会場で一番の笑いと熱狂を生んだ。しかも必殺技はステッカーとして印刷されて持ち帰れる、というおまけ付きだ。
正直、撮影の手間がネックで、「気軽に遊べる」というゲーセン要素からは少し外れる。しかし、自分が考えた最高の必殺技に名前をつけて、自分が主人公の格ゲーで対戦できる体験は、本当にプライスレスだと本気で思えた。7位からの追い上げとして、相当な一撃だ。
現実改竄機構:3本立ての深い大人のゲーム
次は5位・現実改竄機構のキャビンへ。ここはなんと、3本のゲームを仕上げてきたチームだった。経験値の深い大人たちが作るからこそ生まれる深みが、どの1本にも宿っていた。
1本目は「リズムレイスガンナー」。表情と口の開閉で音色が変わる協力型レースゲームだ。口を開けると音が変わるというインタラクティブ性がすごく気持ちよく、ただし強すぎると相手を置き去りにしてしまうので、2人で加減しながら走るという難易度バランスが意外と難しそうだった。
2本目はカップル向け連想ワード×ポエム生成ゲーム。これが今回の全ゲーム中、もっとも文学的な作品だった。2人で交互に好きな言葉(僕は「焼き鳥」、リンクマンさんは「アメリカ国歌」)を入力し、そこから降ってくる連想ワードを矢印キーで集めていく。最後に集めた言葉から、AIが2人だけのポエムを生成する仕組みだ。出来上がったポエムは本当に美しくて、Twitterに投稿できる。ゲームセンターで作った思い出を持ち帰れるという設計思想が、完全に昭和のアミューズメントの現代版だった。
そして3本目が、2人の顔をAIが認識して綱引きをしながら音楽を共作するという、ちょっと不思議で詩的なゲームだ。2人の関係性そのものが音として鳴り響く設計で、これも「一緒にいる2人の何か」を可視化する方向に振り切っている。
他のチームが「スゴい体験」を見せる方向で攻めてきた中で、現実改竄機構だけは一貫してゲームとして2人の関係性を可視化する方向に振り切っていた。劇的な盛り上がりや”どうだ!”という主張はないけれど、上品で、素敵で、じんわり染みる。派手さではなく深さで殴ってくる、大人のゲームだった。
トイトリオ:「言葉の重み」と独走の理由
そして暫定1位・トイトリオのキャビン。入った瞬間に空気が違う。toioがくるくる踊る可愛い筐体があり、物理の天秤が並んでいる。
ゲームは「言葉の重み」をテーマにしたもの。「胸を打つ言葉」「裏切る言葉」「近い言葉」といったお題に対して、画面に散りばめられた言葉をtoioコントローラーでくるっと回して掴み、自分の人形の横に並べる。並べた順番がAIの考える「重み順」と一致するほど高得点だ。
そしてここが天才的なのだが、AIの判定に従って、実際の物理の天秤がリアルタイムで動く。勝利チーム側にシーソーが物理的に傾いていく。
開発者の方が最後に語った言葉が、刺さった。
「プロンプトすらいらなくなってきて、言葉の重みがどんどん居場所をなくしているんじゃないか。AIはそもそも愛とは何か、言葉の重みをちゃんと理解しているのか。それと向き合うゲームにしたかった」
AIに使われる人間ではなく、AIに向き合う人間。中身はシンプルなのに、共有が求められ、AIの弱点と向き合う学びがある。そこにハードウェア連携までついてくる。独走1位の理由、完全に理解した。
AIもいっしょ:前代未聞の物理AIアケコン
続いて同点2位・AIもいっしょ。ここで僕は、人生で初めて見るものに出会うことになる。
ゲームタイトルは「SANU PATROL」。SANUに現れたカラスを撃退しながら進むアーケードゲーム、なのだが、このゲームの異常性はコントローラーにある。
プレイヤーとAIが、物理的に一緒にアケコンを握る。
つまりゲームの中で共闘するのではなく、現実の筐体を人間とAIが2人羽織のように共同操作する。AIの判断でボタンが押され、人間の判断でスティックが動く。逆もある。「人命もAIと一緒」という狂った設計思想だ。
これはもうゲームをAIで作ったのではなく、AIと一緒にプレイするゲーム。概念がひとつズレている。2人だけで開発で仕上げたというのも脅威で、ちょっと斬新すぎてついていけない。プレイさせてもらって、本当に感動した。
チーム技研魂:2人の相性診断
ラストはチーム技研魂。横長のディスプレイを使い、2人で出題に対して素早く回答を合わせる相性診断ゲーム。3つの質問に答え、お互いのことをどこまで分かっているかをゲームで可視化する仕組みだ。
他のチームが「スゴい体験」を見せる方向で攻めてきた中で、ここは純粋にゲームとしての完成度で勝負してきた印象。ピカピカ光る演出、スムーズな画面遷移、バグのない進行、そして2人の距離(相性)が縮まるほどリアルタイム生成BGMがダイナミックに変化する仕様だ。
最後の審査でバグも失敗もなく、スッと1本のゲームとして成立させてくる地力。プレイするものではなく、一緒にいる2人の関係を映す鏡として設計されていて、派手さはないけれど、唸らされる一台だった。
運命のリザルト、そして117点同点
全6店舗のロケテストが終わり、使い切った10枚のプレイチケット。会場に戻った僕らは、それぞれのゲームの興奮をまだ引きずったまま、清水さんの前に集まった。
プロジェクターにスコアが映し出される。誰も、この結末を予想していなかった。
Project DENT 最終リザルト
- 1位:AIもいっしょ 117点
- 1位:トイトリオ 117点
- 3位:ゴールデンシスターズ 107点
- 4位:フツーのOL 104点
- 5位:null^2キッズ 99点
- 5位:現実改竄機構 99点
- 7位:チーム技研魂 98点
117点、同点。
中間順位で独走していたトイトリオを、暫定2位タイの中からAIもいっしょが最終戦で一気に追いつき、完全に並んだ。ロケテスト形式で、全員が全員のゲームを実際に遊び合った結果、票が綺麗に割れたわけだ。
会場が、一瞬、静まり返った。
審査員決戦、そして優勝は「AIもいっしょ」
117点同点を受けて、清水さんから告げられたのが最終ジャッジ。
「審査員の投票で、1位を決めます」
取材しながら審査員をやっていた僕らに、最後に突きつけられた究極の二択。天秤の物理デバイスと「AIに向き合う」という思想を突きつけてきたトイトリオか、人間とAIが物理的に1つのアケコンを握るという世界初の概念を作ったAIもいっしょか。
どっちも、正解。だからこそ難しい。ハードウェア×哲学で攻めてきたトイトリオか、ハードウェア×AI共存で攻めてきたAIもいっしょか。バイブコーディングという文脈で考えたとき、「AIと人間が物理的に一緒に遊ぶ」という未来像の新しさ。
結果、審査員の票はAIもいっしょに傾いた。
優勝はAIもいっしょ。賞金10万円の行き先が、ここに決まった。

null-senseiことGOROmanさんを擁するチームが、人間とAIが物理的に一緒にプレイする前代未聞のアケコンゲームで、Project DENTの頂点に立った瞬間だ。
象徴的すぎる結末
これは、象徴的すぎる結末だと思う。清水さんが今回のハッカソンに込めた思想は、「AIに使われる人間ではなく、AIと共に作る・共に生きる人間を増やす」ということ。その思想を、物理的にAIと一緒にコントローラーを握る、という形で最も鋭く具現化したのがAIもいっしょだった。
バイブコーディングで生まれた優勝作が、「AIと共に」というテーマそのもの。できすぎた映画のラストだ。
取材しながら審査するという地獄と、そこで見えたもの
改めて振り返ると、この2日間は本当に濃すぎた。取材してシャッターを切りながら、メモを取りながら、体で遊んで評価する。脳みそが3つあっても足りない2日間だった。しかも最終審査は117点同点の二者択一。正直、頭がパンクした。
しかし、だからこそ見えたことがある。
- 第1戦で16本のゲームを作ったフツーのOLが、プロと同じ土俵で4位に食い込んだこと
- 7位スタートのnull^2キッズが、自分の必殺技ポーズで動く格ゲーで大逆転を狙い、99点まで詰めたこと
- トイトリオが、最後まで「言葉の重み」という思想で独走を続けたこと
- そしてAIもいっしょが、AIと物理的に一緒に遊ぶというこの時代にしか生まれない概念で頂点に立ったこと
バイブコーディングは、本当に人生の選択肢を増やす。清水さんの仮説が、目の前で静かに証明されていった2日間だった。プロとアマの境界線が、AIという接着剤によって、想像以上に早く溶け始めている。その現場に審査員として立ち会えたことは、テックジャーナリストとして、間違いなく今年の大きな収穫だ。
参加者たちが、合宿後に語ったこと
全てが終わったあと、参加者の皆さんに感想を聞いて回った。疲れ切った顔、悔しさを滲ませる顔、それでもどこか晴れやかな顔。語られた言葉を拾っていくと、この2日間が何だったのかが、別の角度から浮かび上がってくる。
最下位から、トップまで
最下位となったチーム技研魂のメンバーは、「寝ずに魂を燃やして開発できた」と振り返った。百戦錬磨のプロたちの中で一生懸命もがく経験が純粋に楽しく、普段のハッカソンとは違う空気を感じられたという。順位ではなく、そこに立てたこと自体に満足している表情が印象的だった。
一方、優勝を逃したものの117点で並んだトイトリオの倉橋さんは、「疲れ果てて何を喋っていいか分からない」状態ながら、最後の決戦投票で多くの票を得られたことを素直に喜んでいた。同じくトイトリオの水落さんは、「チームみんなでとことん話し合って作品を作り上げることができ、悔いなくやり切った」と語る。独走1位からの同点2位は、傍から見れば悔しい結末だが、当人たちは清々しかった。
ハードさと、ご褒美と
ハードな日程だったものの「自分たちのプロダクトをプレイして心から楽しんでくれた人がいたこと」が何よりのご褒美だった、と語る参加者もいた。老体にはきつかったとしつつ、分業がうまく機能し、美味しいご飯もサウナも堪能したと満足げに振り返る方もいる。ただし「もう少し良い結果を出したかった」という悔しさを覗かせる姿に、この合宿の本気度がにじんでいた。
LLMのモーション評価を担当したメンバーは、不慣れな90分という時間設定の中で「タスクを並べて上から取るスプリント開発」の形式でうまく分業できたと振り返る。3回目ともなるとチームワークが円滑に回った、という言葉は、この合宿が単なるイベントではなく短期間で確実にチームを成長させる装置として機能していたことを物語っている。
AIとの距離が、変わった2日間
「1日中みんなで作る楽しさや交流を満喫し、何よりAIの威力に目覚めた2日間だった」と振り返る参加者。「AIを使うとブレが生じることがあるため、自分が思ったことや感じたことを直接表現できるバイブコーディング的なアプローチの良さを改めて感じた」と語る参加者。AIへの向き合い方が、人によって、チームによって、確実に更新されていた。
寒い中でのハッカソンでサウナに入れず、ふかふかの布団でもあまり眠れなかったが「なんとか形になりチームメンバーに感謝している」という声もあった。AIだけでなく雰囲気作りも含めた「本来のハッカソンらしい空間作り」を久々に思い出して楽しかった、と語る参加者は、今回優勝したGOROmanさんに「次は絶対に勝ちたい」と意気込む。AIに不慣れな素人チームのアプローチを見ることで、自分自身の気づきが得られたとも語っていた。
エモかった、初めてだった、またやりたい
「朝方までコテージで集まって開発する」という数年ぶりの体験がエモかった、と語る参加者がいた。この一言に、この合宿の空気が全部詰まっている気がする。眠気がピークに達しながらも「何もかもが初めての中でゲームを作れたことが本当に嬉しく、プライベートでもまた作りたい」と語る人もいた。
ゴールデンシスターズのメンバーは、大会の「台風の目」になり優勝できるかもと思った瞬間があったと振り返る。2回目・3回目で作った要塞のような作品には手応えを感じており、自身も上達して曲を作れるようになったと喜んでいた。今後はGeminiなどのAIを使って子どもたちに音作りや伴奏を教えたい、と語る言葉に、バイブコーディングが教育の現場にまで広がっていく未来の手触りを感じた。
漫画家である参加者は「できることが増え、プレゼンでは最大出力で頑張った」と振り返り、少しだけAIを使えるようになったと感じている、と語った。今後は自身の漫画制作にもAIを取り入れたいと意気込む姿に、バイブコーディングが単なる「アプリ開発の手段」ではなく、表現全体を拡張する道具になりつつあることを実感する。
次は、絶対に
開発でのハッカソンは初めてで難しさを感じたものの「参加者の気持ちが理解できたので次は運営側として参加してみたい」という声もあった。次に戦いたいチームとして、人となりを知っているチーム技研魂や、純粋なアプローチを試してみたいトイトリオを挙げる参加者もいる。「次は寝ないで頑張ってリベンジしたい」「今回は体験する心の余裕がなかったので、次回はもっとじっくり体験しつつ対戦したい」「今回強かったチームともう1度対戦して、次こそは勝ってみたい」──リベンジを誓う声が、本当に多かった。
メディア兼審査員を務めた方は、初めての審査員を経験して評価の難しさを感じつつ「立場に関わらず全員が同じ条件・時間で本気で取り組む姿を見るのが楽しかった」と語っていた。これは、まさに審査員席にいた僕自身の感想でもある。
自分の作ったものが思ったほど刺さらなかった経験から「意識のチューニングをもっと行い、引き出しの広さを強化したい」と語る参加者は、次に戦いたい相手として1発目で度肝を抜かれた三宅先生を挙げた。null^2キッズの大沼さんらは、2人で2万歩も歩き回って会場を知り尽くしたと笑い合い、最後が同点だったことがドラマチックで「ドキドキする面白さを味わえた」と満足げに振り返っていた。
そして最後に印象的だったのが、前日の失敗が悔しく、絶対に勝つために徹夜で挑んだという参加者の言葉だ。自由な発想でみんなを巻き込むゴールデンシスターズの作品に「心を洗われるほど感動し、彼らともう1度対戦したい」と語る顔には、勝敗を超えた創作者同士の敬意が浮かんでいた。
そして、全員が「また」を口にした
感想を聞いて回りながら気づいたのは、ほぼ全員が「次は」「また」「もう1度」と口にしていたということだ。1位も最下位も関係ない。この森で起きたことは、ただの合宿ではなく、参加者全員の次の創作のスタート地点になっていた。
バイブコーディングは本当に人生の選択肢を増やす、という清水さんの仮説。その証明は、最終順位よりもむしろ、この感想の端々にこそ宿っていた気がする。
富士山麓の森で、僕が見届けたもの
富士山麓の森の中。薪が爆ぜる音と、サウナの蒸気と、そしてキーボードを叩く音。そこに集まった7チーム・約21名が、72時間で小さなゲームセンターを建てて、壊して、また建てた。
Project DENT。この2日間に立ち会えたことを、心から幸せに思う。SANUの皆さん、清水さん、Google Gemini、そして全参加者の皆さん、本当にありがとうございました。
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