Google、AIモデルをコンパイルして暗号データを復号せずに扱えるように変換する「HEIR」発表。完全準同型暗号を利用し、AIでのセキュリティやプライバシー保護など実現へ
Googleは、完全準同型暗号を利用したAIモデル用のオープンソースコンパイラ「HEIR」を発表しました。
AIモデルをコンパイルする「HEIR」
HEIRはAIモデル用のコンパイラとツールチェーンであり、これを用いて学習済みAIモデルのPythonコードをコンパイルし変換することで、AIモデルに対して暗号データを復号せずにそのまま入力し推論などの処理をさせることができるようになります。
これにより、ネットワーク上を流れる暗号化されたトラフィックをそのまま中身を見ずにAIで分析することや、暗号化された顧客のセンシティブなプライベート情報をそのまま中身を見ずにAIで処理してレコメンドを提供することなど、クラウドベンダやサービスプロバイダーがセキュリティやプライバシーを保ちつつさまざまなAI関連のサービスを提供できるようになります。
Googleは現時点でのHEIRの応用事例として、以下の4つを紹介しています。
ディープラーニングによるレコメンド処理
(Belfort Labs、LG、ニューヨーク大学との共同研究)
クレジットカード詐欺の検出
(Niobium、hardshell.aiとの共同研究)
暗号化されたネットワークトラフィックの異常検出による侵入検知
既存の侵入検知システムKitsuneをHEIRでコンパイルして実現(Niobiumとの共同プロジェクト)
ホットワードの検出
ホットワードがトリガーとなって起動するAIエージェントのためのホットワード検出器の開発(Belfort Labsとの共同プロジェクト)
暗号データのまま計算する完全準同型暗号(FHE)
HEIRは完全準同型暗号(FHE:Fully Homomorphic Encryption)と呼ばれる、データを暗号化したまま計算が可能な技術を基盤としています。
AIモデルは主にロジックとパラメータで構成されていますが、HEIRはAIモデルのロジックをコンパイルすることでFHEに対応したロジックへ変換します。これによりAIモデルは暗号化データをそのまま扱って推論できるようになるのです。
具体的にHEIRでは、プログラマがPythonで書かれたコードの、どのデータをシークレットのまま処理するかをアノテートで指定します。あとはHEIRがコンパイル時に自動的にFHE対応への変換を行ってくれると説明されています。
HEIRはまだ開発段階にありますが、GoogleはHEIRがアプリケーション開発者にとってプライバシーを重視したソフトウェアを実現するシンプルな出発点として、FHEの業界標準コンパイラになることを目指しているとしています。
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