今回は液体を精製する「蒸留」という方法について勉強していこう。

前回は水溶液から固体(溶質)を取り出す再結晶について解説したが、この方法を使えば液体(溶媒)を得ることができる。混合物から何を取り出したいかによって方法を変えることが大切なんです。

さあ、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.蒸留とは

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固体混合物の精製方法については前回再結晶という方法を解説しましたね。これは液体に混ざった固体の回収、もしくは固体同士が混合した物質から特定の固体を回収する方法として有効でした。

今回解説する蒸留は液体の回収を目的とした精製方法です。それでは詳しく見ていきましょう。

1-1.沸点の違いを利用した精製法

蒸留とは、液体の混合物を加熱することで蒸発させ、その後冷却して凝縮させることで再び液体として回収する液体の精製方法です。簡単に言い換えると、液体を加熱することで蒸気になったものを集めて、それを冷やすことでもう一度液体の状態に戻すということになります。

これがなぜ液体の精製につながるかというと、それには沸点が関係しているのです。沸点というのは沸騰を開始する温度のことで、物質ごとにこの温度は異なります。

沸点が異なる複数の物質を含んだ溶液を加熱した場合、どのような現象が起こるでしょうか。

そうですね。低い温度で沸騰を始める物質、つまり沸点の低い物質から沸騰を開始します。この沸点の差を利用することで混合物を分離することが可能になるというのが、この蒸留を理解するためのポイントですよ。

1-2.蒸留を行う目的

では、蒸留がどんな場面で用いられるのかを考えてみましょう。

蒸留の大きな目的は液体の純物質を分離させて得ることです。

この精製方法は、複数の液体が混ざり合った溶液、もしくは液体に固体が混ざり合った溶液から特定の液体物質を分離させたい場合に広く使用されます。このときの目的物質は常温で液体であることが多く、それは沸騰のしやすさが理由の1つです。

また、目的物質が融点が100℃程度の固体の場合にも用いられる場合もあります。

目的物質を一度蒸発させてから回収する必要があるので、どれだけ加熱しても溶けない、蒸発もしないという物質には不向きということですね。

\次のページで「1-3.実験手順を解説」を解説!/

1-3.実験手順を解説

Simple chem distillation.PNG
By H Padleckas created this picture in December 2005. H Padleckas 16:47, 27 December 2005 (UTC) - H Padleckas created this picture in December 2005. H Padleckas 16:47, 27 December 2005 (UTC), CC 表示-継承 3.0, Link

高校化学でもよく用いられる実験手順として、上図を例に理解を深めましょう。

まずは(2)蒸留用フラスコの半分以下の量で精製したい液体混合物と沸騰石を入れ、(3)ト字管(4)温度計(5)冷却器を取り付けます。蒸留は沸点の差を利用するもので温度が重要ですから、温度計はフラスコの枝分かれ部分にセットする必要がありますね。

(5)冷却器の先には(10)真空用アダプター(9)真空ポンプ(8)目的物質を回収するフラスコを取り付けます。真空ポンプを用いて圧力を下げることで、通常の沸点よりも低い温度で沸騰させることが可能です。沸点が高い物質や、熱によって分解・反応してしまう物質を目的物質とする場合に用いられます。

もし真空ポンプ等を使わずガラス管を用いて三角フラスコに液体を回収する場合、発生した空気の逃げ道を作るためにも密栓しないことが重要です。さらに、実験を終える際にはガラス管の先が回収した液体についていないことを確認しましょう。これは液体が逆流し、フラスコが割れるのを防ぐためです。

冷却水を(6)から(7)の方向に流し、(1)ガスバーナーなどを用いて加熱します。下から上に水を流すことで冷却器全体に水が行き渡り、冷却効率が上がるのです。

1-4.演習問題にチャレンジ

文章問題に挑戦してみましょう。

蒸留について下記の問題に答えなさい。

(1)蒸留は(      )実験である。( )の違いを利用し、混合物中の物質を分離することができる。 (カッコ)の中を埋めよ。

(2)エタノールと水の混合物で蒸留を行ったとき、先に沸騰するのはどちらか。

(3)実験を行い、(2)であることを確かめる方法を述べよ。

(4)蒸留の実験を行う際の注意事項を1つ述べよ。

頭の中で考えるのではなく、きちんと答えを書き出してみましょう。

答え

(1)蒸留は( 液体を熱して沸騰させ、出てくる気体を冷やして再度液体として取り出す )実験である。( 沸点 )の違いを利用し、混合物中の物質を分離することができる。
 1つ目のカッコは同様の内容が書かれていれば正解とする。

(2)エタノール
 エタノールの沸点は約78℃であるのに対し、水の沸点は100℃である。

(3)火を近づけると燃える。エタノール特有のにおいがする。手につけるとひんやりする。
 同様の内容が書かれていれば正解とする。

(4)フラスコは沸騰石を入れる。温度計はフラスコの枝分かれの高さに先端を合わせる。加熱をやめる前に、ガラス管を液体(試験管やフラスコでも可)から抜く。
 同様の内容が書かれていれば正解とする。

2.身近な蒸留の応用

それでは、蒸留が実勢の生活にどう活かされているかを見ていきましょう。蒸留と聞いて、何か思い浮かべるものがありますか?

\次のページで「2-1.蒸留酒と醸造酒」を解説!/

2-1.蒸留酒と醸造酒

蒸留酒の代表がブランデーや焼酎、ウイスキーなどです。一方で日本酒やワイン、ビールは醸造酒と呼ばれています。

蒸留酒について説明する前に、まずは醸造酒の製造工程から見ていきましょう。

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醸造酒は、原料の糖分が酵母によってアルコールへ分解されることを利用して作られるお酒です。醸造酒の代表であるワインはブドウ、日本酒は米、ビールは麦が原料であり、どれも糖分を多く含んでいますよね。

さらに、これらは水や氷で薄めることなく飲むのが一般的です。アルコール発酵には微生物のはたらきも関わってきますが、生成したアルコールによって自らの活動が阻害されてしまうため、アルコール度数としてはそれほど強くはなりません。

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続いて蒸留酒について見てみましょう。

蒸留酒はブランデーや焼酎、ウイスキーに代表されるように、とても強いお酒というイメージがありませんか?水や氷、炭酸で割って飲む人が多いのはそのためです。

この蒸留酒は、名前の通り、蒸留が製造過程に含まれています。アルコールと水ではアルコールの方が沸点が低いので、蒸留によってよりアルコール濃度の高いお酒を作れるというわけです。

ブランデーはブドウ、米焼酎は米、ウイスキーは麦が原料なので、それぞれワイン、日本酒、ビールを蒸留したものといえます。

2-2.精油と芳香蒸留水

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もう1つ蒸留を利用した例を挙げてみましょう。

アロマセラピーやエステなどにも使用される精油、ボディケアなどに使用される芳香蒸留水は、どちらも蒸留を利用して作られるものです。

原料となる植物を蒸留装置にかけると、蒸気とともに香り成分を取り出すことができます。分離した液体は上層に精油、下層に芳香蒸留水に分かれ、それぞれ別の用途で使われるのです。

香り成分は油に溶けやすい成分、水に溶けやすい成分がそれぞれ異なるので、精油と芳香蒸留水は異なる香りであることが多いでしょう。いずれにしても、蒸留は香りにも大きく関わっているということがわかりますね。

蒸留は沸点を利用した液体の精製法

液体はある一定の温度(沸点)に達すると沸騰が始まりますが、この沸点の温度は物質によって様々です。そのため、複数の物質が混合している液体を加熱することで、沸点の低い物質から気化が始まります。これを収集し冷却することによって、再び液体として得る方法が蒸留です。この蒸留を繰り返すことでより純度の高い目的物質を取り出すことができます。

この蒸留は香り成分を一緒に取り出すこともできるため、ウイスキーや精油などの精製にも用いられているのです。ウイスキー蒸留所は日本各地にあり、見学コースが設けられているところもありますので探してみてもいいですね。実際にお酒づくりの工程を知ることで、蒸留も身近に感じられるかもしれませんよ。

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化学

沸点の差を利用した液体の精製法「蒸留」について元塾講師がわかりやすく解説

今回は液体を精製する「蒸留」という方法について勉強していこう。

前回は水溶液から固体(溶質)を取り出す再結晶について解説したが、この方法を使えば液体(溶媒)を得ることができる。混合物から何を取り出したいかによって方法を変えることが大切なんです。

さあ、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.蒸留とは

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固体混合物の精製方法については前回再結晶という方法を解説しましたね。これは液体に混ざった固体の回収、もしくは固体同士が混合した物質から特定の固体を回収する方法として有効でした。

今回解説する蒸留は液体の回収を目的とした精製方法です。それでは詳しく見ていきましょう。

1-1.沸点の違いを利用した精製法

蒸留とは、液体の混合物を加熱することで蒸発させ、その後冷却して凝縮させることで再び液体として回収する液体の精製方法です。簡単に言い換えると、液体を加熱することで蒸気になったものを集めて、それを冷やすことでもう一度液体の状態に戻すということになります。

これがなぜ液体の精製につながるかというと、それには沸点が関係しているのです。沸点というのは沸騰を開始する温度のことで、物質ごとにこの温度は異なります。

沸点が異なる複数の物質を含んだ溶液を加熱した場合、どのような現象が起こるでしょうか。

そうですね。低い温度で沸騰を始める物質、つまり沸点の低い物質から沸騰を開始します。この沸点の差を利用することで混合物を分離することが可能になるというのが、この蒸留を理解するためのポイントですよ。

1-2.蒸留を行う目的

では、蒸留がどんな場面で用いられるのかを考えてみましょう。

蒸留の大きな目的は液体の純物質を分離させて得ることです。

この精製方法は、複数の液体が混ざり合った溶液、もしくは液体に固体が混ざり合った溶液から特定の液体物質を分離させたい場合に広く使用されます。このときの目的物質は常温で液体であることが多く、それは沸騰のしやすさが理由の1つです。

また、目的物質が融点が100℃程度の固体の場合にも用いられる場合もあります。

目的物質を一度蒸発させてから回収する必要があるので、どれだけ加熱しても溶けない、蒸発もしないという物質には不向きということですね。

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