今回は窒素肥料について勉強していこう。
植物を育てるときに肥料を与えることが多いと思うが、なぜその必要があるのか知っているか?
ただ単に栄養分の補給だけが目的じゃない。植物の生育に関係するちゃんとした理由があるんです。
植物の世話好きで化学に詳しい薬剤師ライターくすやまなぎと一緒に解説していきます。

ライター/くすやまなぎ

薬学部出身で薬剤師として働いている。大学で学んだ経験を活かし、テーマをわかりやすく伝えられるように日々奮闘中。自室で観葉植物を育てている。

窒素肥料はなぜ必要?

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そもそも「窒素」とはどういう元素なのかを説明します。空気中に存在する元素のうち、約80%を占めているのが窒素です。核酸やタンパク質を構成するアミノ酸にも含まれているため、人間の成長にも重要な元素となっています。

また、光合成に必要となる葉緑素(クロロフィル)は窒素から作られているため、植物においても重要な元素なのが窒素なのです。

肥料の三要素とは

肥料の三要素とは

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植物の生育には必須16元素が存在しています。必須16元素とは、炭素、水素、酸素、窒素、マグネシウム、カルシウム、カリウム、硫黄、鉄、リン、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素の16種類の元素です。

上記の必須16元素のうち、特に不足しやすい3元素(窒素、リン、カリウム)は肥料の三要素と呼ばれており、植物の生育に必要不可欠な存在となっています。

窒素肥料が不足すると?

それでは窒素肥料が不足すると、植物はどうなってしまうのでしょうか。窒素は光合成に必要となる葉緑素(クロロフィル)の原料であることを説明しましたが、窒素が不足することで葉の色が薄くなり、また光合成の能力が低下してしまいます。

そうすると、植物がみずからエネルギーを作り出す能力が低下してしまい、結果として生育が不十分となってしまうのです。

窒素肥料の発明の歴史

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同じ土地での農作が繰り返されると、土壌に含まれる窒素が減少していくため、植物は十分な栄養を吸収できなくなってしまいます。土壌に不足している窒素を補うために窒素肥料が利用されるようになっていきました。

それでは、現代でも利用される窒素肥料はどのようにして発明されたのでしょうか?

\次のページで「20世紀初頭までの窒素肥料」を解説!/

20世紀初頭までの窒素肥料

19世紀のヨーロッパでは、南米のチリで産出される硝石などの窒素化合物を肥料として用いていました。しかしながら、18世紀後半から始まった産業革命によって生活水準が著しく向上した結果、人口は急激に増加していきました。

硝石は天然のものであるため、限りある資源です。いずれは掘り尽くされ、肥料不足による農業生産性が低下し、深刻な食糧危機が懸念されるようになりました。

ハーバー・ボッシュ法の誕生

化学者たちは、空気中に大量に存在する窒素を肥料や火薬として使用できる化合物として固定するための方法を模索しました。

ドイツ人のフリッツ・ハーバーは反応条件などを変え、何度も実験を繰り返した結果、500℃、200気圧という高温・高圧の条件下でオスミウムを触媒として用いることで、窒素と水素からアンモニアを合成することに成功しました。

ハーバーの開発した合成法にはいくつかの欠点がありましたが、研究仲間であったカール・ボッシュらが欠点を克服し、1913年にはアンモニアの工業化が実現したのです。これがハーバー・ボッシュ法の誕生の歴史で、化学的にも重要な合成法としても有名ですね。

窒素肥料の種類

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窒素肥料にはいくつかの種類があり、それぞれの肥料の特徴、また栽培環境や植物の性質に合わせて使い分けられています。

どのような種類があるのかを見ていきましょう。

1.硫酸アンモニウム

「硫安(りゅうあん)」とも呼ばれている、窒素のみを含む単肥です。施肥すると1ヶ月は効果が続くため、初心者でも扱いやすくなっています。水に溶けやすいため、土壌になじみやすく、作物への吸収率も良好です。

ただし、単肥のため、用途に合わせてリンやカリウムを含有する肥料との併用が必要となります。

2.塩酸アンモニウム

「塩安(えんあん)」とも呼ばれる肥料で、アンモニア態窒素を25%含有している複合肥料です。水に溶けやすく、吸湿性があるのが特徴で、吸収されたあとは副成分である塩素が残ります。塩素は繊維作物の生育に欠かせない成分です。

また、硫化水素の発生が少ないことから、根腐れを防ぐ効果も持っています。

\次のページで「3.硝酸アンモニウム」を解説!/

3.硝酸アンモニウム

「硝安(しょうあん)」とも呼ばれており、アンモニア態窒素と硝酸態窒素を同量ずつ含んでいる肥料です。土壌を酸性化しにくい一方で、吸湿性が高く、濡れた葉に付着してしまうと悪影響を及ぼす可能性があります。

また、起爆性があるため、取り扱いに注意が必要です。

4.尿素

窒素の含有量が40%以上もある単肥です。水に溶かし、液肥としても使用されています。即効性がありますが、窒素含有量が高いため、過剰に施肥しないように注意しましょう。

5.石灰窒素

カルシウムと窒素を含有している肥料です。施肥した当初は病害虫や雑草を防ぐ、農薬としての効果もあります。

成分が土壌中で分解されると、主にアンモニア態窒素になって肥料としての効果を発揮しますが、吸入や肌への付着は悪影響を及ぼすため、散布時には注意が必要です。

窒素肥料の作り方

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窒素肥料などの有機肥料は市販のものもありますが、自分で作ることもできます。ここでは、ぼかし肥の作り方を見ていきましょう。

1.材料の配合

米ぬか・油かす・牡蠣殻石灰を3:1:1の割合で配合します。米ぬかや油かすには発酵を促進させる効果がありますが、不安な場合は発酵促進剤を少量加えてもいいでしょう。

2.水を加える

加える水分量は、手で握ると塊になり、指で軽く押さえるとボロボロに崩れる程度が適切です。状態を見ながら少しずつ加えていきましょう。

水分量が多いと腐敗し、少ないと発酵がなかなか進まないので注意が必要です。

\次のページで「3.丈夫な袋に移して保管する」を解説!/

3.丈夫な袋に移して保管する

すべてを混ぜたあとは、飼料袋やゴミ袋などの丈夫な袋に移しましょう。袋の口を紐で縛り、空気を抜いて密閉します。

保管場所は風通しの良い日陰がおすすめです。夏場は1ヶ月、冬場は2ヶ月ほど置きましょう。中身の確認のために途中で開封するのは厳禁です。

4.一定期間置き、すっぱいにおいがすれば成功!

発酵がうまく進むと、袋を開封したときにすっぱいにおいがします。袋から出して箱に移し、乾燥させたらぼかし肥の完成です。

できあがったぼかし肥は、半年程度で使い切るように注意しましょう。

窒素肥料は化学・生物の両分野で重要!

今回は窒素肥料について解説しました。

窒素肥料は植物の生育だけでなく、その先にある人間の生活にも関連した、重要なものであることがわかりましたね。ハーバー・ボッシュ法については現代においても重要な反応法であるため、しっかり押さえておきたいです。

肥料の三要素で触れた窒素以外の元素については、もっと知りたい!と感じた方はぜひ調べてみてください。

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化学原子・元素理科生活と物質

窒素肥料とは?種類や作り方は?なぜ植物の生育に必要?歴史も含め薬剤師ライターがわかりやすく解説!

20世紀初頭までの窒素肥料

19世紀のヨーロッパでは、南米のチリで産出される硝石などの窒素化合物を肥料として用いていました。しかしながら、18世紀後半から始まった産業革命によって生活水準が著しく向上した結果、人口は急激に増加していきました。

硝石は天然のものであるため、限りある資源です。いずれは掘り尽くされ、肥料不足による農業生産性が低下し、深刻な食糧危機が懸念されるようになりました。

ハーバー・ボッシュ法の誕生

化学者たちは、空気中に大量に存在する窒素を肥料や火薬として使用できる化合物として固定するための方法を模索しました。

ドイツ人のフリッツ・ハーバーは反応条件などを変え、何度も実験を繰り返した結果、500℃、200気圧という高温・高圧の条件下でオスミウムを触媒として用いることで、窒素と水素からアンモニアを合成することに成功しました。

ハーバーの開発した合成法にはいくつかの欠点がありましたが、研究仲間であったカール・ボッシュらが欠点を克服し、1913年にはアンモニアの工業化が実現したのです。これがハーバー・ボッシュ法の誕生の歴史で、化学的にも重要な合成法としても有名ですね。

窒素肥料の種類

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窒素肥料にはいくつかの種類があり、それぞれの肥料の特徴、また栽培環境や植物の性質に合わせて使い分けられています。

どのような種類があるのかを見ていきましょう。

1.硫酸アンモニウム

「硫安(りゅうあん)」とも呼ばれている、窒素のみを含む単肥です。施肥すると1ヶ月は効果が続くため、初心者でも扱いやすくなっています。水に溶けやすいため、土壌になじみやすく、作物への吸収率も良好です。

ただし、単肥のため、用途に合わせてリンやカリウムを含有する肥料との併用が必要となります。

2.塩酸アンモニウム

「塩安(えんあん)」とも呼ばれる肥料で、アンモニア態窒素を25%含有している複合肥料です。水に溶けやすく、吸湿性があるのが特徴で、吸収されたあとは副成分である塩素が残ります。塩素は繊維作物の生育に欠かせない成分です。

また、硫化水素の発生が少ないことから、根腐れを防ぐ効果も持っています。

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