突然ですが、「三倍体」という言葉を聞いたことがあるか?三倍体とは、通常の染色体は2組で構成されるところ、何らかの原因により3組で構成された染色体をもつ生物のことをいう。染色体とは、すべての細胞の中にあり、生物の遺伝情報がつまった非常に重要な構造体です。三倍体の生物は正常に成長することはできるが、唯一異なる点が成熟しないこと。つまり、子孫を残すことができなのです。この性質を利用して、三倍体は身近なところにも存在しているぞ。今回はそんな三倍体のしくみや形成される原因、身近な例などについて学生時代、獣医学部で生物について学んでいたライターみんちが解説していこう。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

三倍体とは3組の染色体をもっていること!

生物は通常2組の染色体をもっていますが、何らかの原因により3組の染色体をもって生まれたものが三倍体です。なお、通常の2組の染色体をもつものは二倍体といいます。

ところで染色体とは何なのでしょうか?詳しく解説していきましょう。

染色体とは遺伝情報のつまった構造体

Human male karyotype.gif
Courtesy: National Human Genome Research Institute - From w:en:Image:Human male karyotpe.gif, Uploaded by User:Duncharris., パブリック・ドメイン, リンクによる

染色体(せんしょくたい)とは遺伝情報の発現と制御を担う棒状の生体物質のこと。つまり、私たち生物の遺伝子が入った非常に重要な構造体です。染色体はすべての細胞の核の中にあり、細胞分裂の際に観察されます。

染色体はDNAとヒストンというタンパク質から構成されており、1本にはなんと数百から数千もの遺伝子が含まれているんですよ。父親由来の1本と母親由来の1本の計2本が1セットとして存在しており、ヒトのすべての細胞には23対(計46本)の染色体が入っています。そのため、ヒトの三倍体の場合、染色体数は合計69本という計算になりますね。

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三倍体が形成されるしくみ

ここからはどのようにして三倍体が形成されるのかみていきましょう。

減数分裂の不具合

減数分裂の不具合

image by Study-Z編集部

減数分裂(げんすうぶんれつ)とは、その名の通り染色体数が半減する分裂方式のことをいいます。三倍体の形成にはこの減数分裂が関わっている場合が多いです。減数分裂を理解するために、まずは細胞分裂について説明しましょう。

細胞分裂は大きく体細胞分裂減数分裂の2つにわけられます。体細胞分裂(たいさいぼうぶんれつ)は身体のほとんどの場所で行われており、血液や皮膚などほとんどの細胞を作っているんですね。DNA量が2倍に複製された後、"1回のみ"分裂することによって通常の染色体数(2n)の細胞となります

一方で、減数分裂は主に生殖に関わる細胞をつくるために行われます。動物では精子や卵、植物では花粉や胞子などの生成時ですね。減数分裂では2倍に増幅されたDNAが”2回続けて"分裂する”ことによって、結果的にもとの半数の染色体をもった細胞(n)が4つできます

こうしてできた卵(n)と精子(n)が融合することで、正常な染色体数をもった受精卵(2n)になるんですね。しかし、減数分裂がうまくいかないと、2倍体の精子や卵が形成されてしまうことがあります。それらが受精されると三倍体の受精卵ができあがってしまうんですね。

2つの精子が受精

image by iStockphoto

また、2つの精子が受精した場合にも三倍体ができます。卵が正常であれば、1匹の精子が入ったら他の精子が入り込まないようにブロックする機能がはたらくのですが、ブロック機能がうまくはたらかないと複数の精子が入り込んでしまうんです。三倍体のほとんどはこれが原因だと考えられています。

\次のページで「三倍体は成熟できない」を解説!/

三倍体は成熟できない

三倍体として生まれても、何ら変わりなく成長することができる生物もいます。しかし、唯一異なるのが「成熟しない」こと三倍体だと正常に減数分裂が行えないため、配偶子を残すことができないのです。

三倍体はこんなところに利用されていた!

三倍体が子孫を残せないという仕組みを活用して、実はこんな身近なことろにも三倍体は存在するんですよ。

その1:魚の養殖

1つめの例は魚の養殖。意外にも、食卓に出てくる魚は三倍体だったんです。

魚の受精は少し特殊で、卵は二倍体の状態で産卵されるんですよ。そこにオスが精子をふりかけると受精をします。二倍体の卵(2n)と精子(n)が受精すると、極体(n)と呼ばれる余分な細胞が放出されることで、正常な二倍体の受精卵(2n)になるんです。

しかし、このとき受精卵に圧力や温度などの刺激を加えると極体が放出されずに三倍体のままの受精卵ができあがるんです。三倍体の魚は他と変わりなく成長しますが、成熟をしません。つまり、卵を産まない体になるんです。これは養殖に大変都合がいいんですよ。

ふつうは成熟すると卵を作るために栄養が取られてしまうため、肉質が落ちてしまいます。しかし、三倍体の魚だと卵をつくらないため、肉質が落ちることなく、エサ代の費用効率が良いんです。つまり、エサを食べた分だけ大きく成長してくれるということですね。

さらにいえば、普通だと魚は産卵すると死んでしまうのですが、三倍体の魚は卵を産まないためどんどん成長してくれるんです。この三倍体のしくみを利用した方法はサクラマスやニジマスなどの養殖に用いられています。

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その2:種なしのフルーツ

image by iStockphoto

同じように三倍体が子孫を残せないという性質を応用したのが種なしのフルーツ。近年では種なしスイカが店頭に並んでいるのをよく見かけますね。

普通の種ありスイカは二倍体ですが、芽が出たころにコルヒチンという物質を使用するとなんと二倍体が四倍体になるんです。こうしてできた四倍体のスイカと二倍体のスイカをかけあわせると三倍体の種(子ども)ができあがります。これ育てるとを種なしスイカができあがるというわけですね。

また私たちが普段食べているバナナも三倍体なんですよ。思い返してみれば種のあるバナナの種なんてみたことありませんよね。しかし、野生ではちゃんと種のある二倍体のバナナも存在するんですよ。種ありの野生バナナは、小豆のような黒い種がいっぱい入っていてとても食べられるものではありません。

普段食べられているバナナは突然変異によって生まれた三倍体のバナナです。たまたま発見され、種がなくて食べやすく、都合がよかったために徐々に栽培されるようになったといわれています。

ちなみに種がないのにどうやって数を増やしているのかというと、茎の根っこ部分にある新芽を使って増やしていくんですよ。意外にも、三倍体は身近なところにあったんですね。

三倍体は身近な存在

ここまで読んでいただきありがとうございました。今回は三倍体について、形成される仕組みや身近な活用例などについて紹介してきました。三倍体は染色体が3組で構成されたものであること、三倍体の生物は減数分裂がうまくいかないため子孫を残せないことなどがわかりましたね。また、その性質を利用して、魚を大きく育てるための養殖や、種なしのフルーツの栽培が行われています。三倍体と聞くと遺伝子や染色体といった難しい話のイメージがありますが、意外にも身近なところにも利用されていたなんて驚きでしたね。このように生物の性質を有効利用した研究や製品開発などは実に様々なところにあったんですね。身の回りのモノや食品がどんな性質を利用して作られているのかを知っているだけで、ちょっとだけ生活が豊かになるのではないかと思います。何気ない会話の中にも取り入れてみるのもいいかもしれませんね。

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3倍体は身近なところにも!?染色体や減数分裂のしくみについても獣医学部卒ライターがわかりやすく解説!

突然ですが、「三倍体」という言葉を聞いたことがあるか?三倍体とは、通常の染色体は2組で構成されるところ、何らかの原因により3組で構成された染色体をもつ生物のことをいう。染色体とは、すべての細胞の中にあり、生物の遺伝情報がつまった非常に重要な構造体です。三倍体の生物は正常に成長することはできるが、唯一異なる点が成熟しないこと。つまり、子孫を残すことができなのです。この性質を利用して、三倍体は身近なところにも存在しているぞ。今回はそんな三倍体のしくみや形成される原因、身近な例などについて学生時代、獣医学部で生物について学んでいたライターみんちが解説していこう。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

三倍体とは3組の染色体をもっていること!

生物は通常2組の染色体をもっていますが、何らかの原因により3組の染色体をもって生まれたものが三倍体です。なお、通常の2組の染色体をもつものは二倍体といいます。

ところで染色体とは何なのでしょうか?詳しく解説していきましょう。

染色体とは遺伝情報のつまった構造体

Human male karyotype.gif
Courtesy: National Human Genome Research Institute – From w:en:Image:Human male karyotpe.gif, Uploaded by User:Duncharris., パブリック・ドメイン, リンクによる

染色体(せんしょくたい)とは遺伝情報の発現と制御を担う棒状の生体物質のこと。つまり、私たち生物の遺伝子が入った非常に重要な構造体です。染色体はすべての細胞の核の中にあり、細胞分裂の際に観察されます。

染色体はDNAとヒストンというタンパク質から構成されており、1本にはなんと数百から数千もの遺伝子が含まれているんですよ。父親由来の1本と母親由来の1本の計2本が1セットとして存在しており、ヒトのすべての細胞には23対(計46本)の染色体が入っています。そのため、ヒトの三倍体の場合、染色体数は合計69本という計算になりますね。

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