みんなは、「回遊魚」というと、どんな魚を思い浮かべるでしょうか。サケ、マグロ、サンマ?そうそう、ウナギも遠い南の海で生まれて、日本にまでやってくるから回遊魚といっていいと思うぞ。今回は回遊魚について産業用生物やバイオテクノロジーの研究機関の元研究員で生物に詳しいライターAgriFishと一緒に解説していきます。

ライター/Agri Fish

国立大学農林水産生物系学部を卒業。産業用生物・バイオ系研究機関に研究職員として勤務した後、現在は、個人事業主として、農林水産業の自営(自分の実験フィールドとしても利用)、農林水産生物に関する講師・技術者の派遣、食品衛生・労働安全衛生に関する相談業務などを営業。海外の研究機関で勤務した経験あり。

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「回遊魚(かいゆうぎょ)」と言われている魚種をあげると、皆さんもよく食べているマグロサンマアジサバイワシカツオサケなどがあります。

文字のとおり海の中を「回って」「遊ぶ」魚のことです。実際は、「遊ぶ」のではなくて、主にエサとなるプランクトンや小魚を探したり産卵に適した場所探したり、その魚自身が過ごしやすい水温探して游ぎ回っています

サケは、川で生まれて、海に降って、また産卵のために、自分の生まれた川の戻ってくる遡河性(さっかせい)魚類で、「母川回帰(ぼせんかいき)」という言葉を聞いたことが聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ウナギも川から海に下って、南の海で産卵して、稚魚がまた川に戻ってくるという大回遊を行うので、「回遊魚」といってよいと思います。

回遊魚とは

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リード文にも記載したように「回遊魚(かいゆうぎょ)」(または、「回遊性魚類」)は、エサを探したり(索餌回遊)、産卵に適した場所を探したり(産卵回遊)、その魚が好む水温域を探して、游ぎ回っています。その回遊経路の行動範囲や季節は、これまでの研究でだいたいわかってきました。

国や都道府県の水産研究機関では、定期的に調査船で海洋観測を行い、今年は、「どの時期」に、「どこの場所」で、「どのくらいの漁」があるかを予測しています(当然、自然相手なので、予報がハズレることもありますが)。

また、その魚が好む水温域がどこにあるのかを人工衛星の画像から予測する技術も実用化され、実際の漁業で使われている実例がありますので、一般社団法人 漁業情報サービスセンターのホームページ(URL:www.jafic.or.jp/)をご覧ください。

死滅回遊

サンマサバアジイワシなどの稚魚は、自力で遊泳できないので、海流に乗って移動しますがエサになるプランクトンが少ない場所に運ばれると餓死してしまい、このことを「死滅回遊」といいます。

\次のページで「サケの母川回帰」を解説!/

回遊魚も生まれてすぐ試練があるんですね。

サケの母川回帰

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サケの母川回帰

一般に私たちが日本で「サケ」と呼んで食べているのは、「シロザケ(学名:Oncorynchus keta)」です(米国人の友人からは、「アメリカでは、”Dog Salmon”と呼ばれて、最もおいしくないサーモンだよ」といわれたことがありますが...)。

シロザケが繁殖している河川の南限は、本州太平洋側では茨城県(千葉県)日本海側では富山県です。

人工孵化放流事業は、北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県、福島県、新潟県、富山県で行われていて、地元の漁業協同組合(漁協)などが運営管理しています。

また、東京の多摩川をサケが棲める環境に戻そうと「カムバックサーモン運動」で、サケ稚魚の放流が行われていました。

川を降ったシロザケは、ベーリング海まで回遊して、そこで3~4年過ごして、日本を目指して戻ってきますが、必ずしも自分の生まれた川に戻るのではなく、一度、日本近海まで来遊してから、南下や北上を繰り返し、淡水で生活できる体づくりをしながら、産卵に適した体の状態になったら、自分がいる場所に一番近い河川に遡上するということがあるという学説もあります(なかには、ベーリング海まで行かないで、日本の周りをウロウロしている怠け者のサケもいるそうです)。

ただ、自分の生まれた川の付近で成熟するタイミングになることが多いので、母なる生まれた育った川に戻ってくる確率が高くなるということです。他の川で生まれた川以外に遡上する「迷い鮭」というものあり、例えば、茨城県の霞ケ浦に注ぐ、農業用水路にシロザケが遡上したと話題になったこともあります。

シロザケ以外にも日本に生息しているサケ科魚類では、サクラマス(学名:Oncorhynchus masou masou)があり、サクラマスヤマメは、同じ魚種です。

川で生まれたヤマメ(サクラマス)の中で、生存競争に負けた個体が海に生活の場を求めて、川を降り、エサが豊富な海で育ち、ヤマメよりも大きくなり、サクラマスとして戻ってきて、産卵には、サクラマスとヤマメが入り混じって行われています。

サケの人工孵化放流事業の歴史

人工ふ化放流事業年表
1876(M9) 茨城県那珂川におけるふ化試験.
1877(M10) 北海道札幌偕楽園におけるふ化試験.
1879(M12) 北海道初の民間孵化場が茂辺地に設立.
1888(M21) 北海道に千歳中央ふ化場(現さけますセンター千歳事業所)を建設.
1910(M43) 北海道第一期拓殖計画により千歳,西別,年萌のふ化場を内務省管轄,北海道拓殖費による国営経費に移す.
1924(T13) さけ・ますふ化事業は地方費となり、北海道庁鮭鱒孵化場を設置.
1927(S2) 北海道第二期拓殖計画により,さけ・ますふ化事業は北海道水産試験場から分離し千歳、西別、留別鮭鱒孵化場を設置.
1934(S9) 北海道千歳鮭鱒孵化場を北海道鮭鱒孵化場と改称し本場として,他に4支場を設置し民営ふ化場38ケ所を国営経費とした.
1941(S16) さけ・ますふ化事業は地方費になり,北海道水産孵化場と改称.
1948(S23) さけ・ますふ化場は国費によることとなり,捕獲事業は道知事に委任.
1951(S26) 水産資源保護法公布.北海道鮭鱒増殖漁業協同組合設立.
1952(S27) 水産資源保護法の施行に伴い農林省所管として水産庁北海道さけ・ますふ化場を設置.
1954(S29) 第1次5ケ年計画(昭和29年~33年、サケ最終放流計画北海道3.2億尾).
1955(S30) 本州におけるふ化放流事業を補助事業とする(稚魚の買い上げ放流事業に助成を開始).
本州鮭鱒ふ化放流振興会の設立.
1959(S34) 第2次5ケ年計画(昭和34年~38年,さけ・ます最終放流計画 北海道4.2億尾).
1962(S37) 北海道鮭鱒増殖拡充計画〔昭和37~42年,さけ・ます最終放流計画5.7億尾(8億粒採卵)〕.
1963(S38) 本州における第1次3ケ年計画〔さけ・ます最終放流計画1.4億尾(2億粒採卵)、本州鮭鱒ふ化放流振興会策定〕.
本州における増殖施設整備事業に対し助成を開始.
1966(S41) 本州における第2次5ケ年計画(昭和41~45年、さけ・ます最終放流計画2.1億尾,本州鮭鱒ふ化放流振興会策定).
1967(S42) (社)北海道さけ・ます増殖事業協会設立(北海道鮭鱒増殖漁業協同組合を改組).
1968(S43) さけ・ます増殖事業推進整備計画(昭和43~45年、サケ最終放流計画6.3億尾).
1971(S46) さけ・ます資源増大再生産計画(前期計画昭和46~50年、さけ・ます最終放流計画 北海道7.18億尾、本州2.15億尾).
(社)本州鮭鱒増殖振興会設立(本州鮭鱒ふ化放流振興会を改組).
本州における調査事業に対し助成を開始.
1976(S51) さけ・ます資源増大再生産計画(後期計画昭和51~55年,さけ・ます最終放流計画 北海道9.78億尾,本州5.90億尾).
1979(S54) さけ・ます資源増大計画(昭和54~58年,さけ・ます最終放流計画 北海道13億尾,本州10億尾).
1985(S60) 「さけ・ます増殖事業の展開方向」発表.
1996(H8) 秋さけの回帰数が過去最高の8,900万尾を記録.

出典:国立研究開発法人水産研究・教育機構 北海道区水産研究所ホームページ(URL:http://salmon.fra.affrc.go.jp/zousyoku/enkaku.html)

サケの食文化

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日本のサケの食文化について、少しふれておきます。

那珂川(茨城県)で漁獲されたサケは、将軍家献上されていたことで有名ですが、「水戸黄門」として知られている水戸藩二代目藩主・徳川光圀公が西山荘(藩主の座を退いた後の隠居所)の近くの久慈川で漁獲されたサケを好んで食べたという記録があるそうです。

「鮭のまち」として知られる新潟県村上市では、江戸時代には村上藩の主要な財源となっていた市内を流れる三面川や大川で漁獲されるサケを珍重し、身はもちろん頭や内蔵、中骨や皮に至るまで捨てることなく大切に味わいつくしており、既に江戸時代後期にサケの母川回帰に着目し、三面川をサケが産卵しやすいように環境を整え、自然繁殖法の基盤だといわれています。

また、千葉県香取市では、市内を流れる栗山川にサケが遡上し、毎年12月に「山倉の鮭祭り」が開催されており、千葉県県指定無形民俗文化財です。

このように、古来から日本では、サケの食文化が根付いていることがわかります。

11月11日は「鮭の日」

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11月11日「鮭の日」です。

毎日、何かの記念日になっていますが、一般社団法人 日本記念日協会が認定して、登録されたものが正式な記念日になっています。

「鮭」の字の「圭」の部分を分解すると「十一十一」になることから、語呂合わせで11月11日が「鮭の日」に制定されたということです。

11月11日「鮭の日」には、このことを思い出して、みなさんも鮭(サケ)を食べてくださいね。

\次のページで「ウナギの大回遊」を解説!/

ウナギの大回遊

ウナギの大回遊

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一般に私たちが日本で「ウナギ」と呼んで、食べているのは、「二ホンウナギ(学名:Angilla japonica)」です。

二ホンウナギの産卵生態については、不明でしたが、東京大学や国の研究機関が調査した結果、産卵場はグアム島やマリアナ諸島の西側沖のマリアナ海嶺付近であることがわかりました。

ウナギ類(アナゴ類も)の仔魚は、柳の葉のような形をしていて、レプトケフルス(または、レプトセファルス)(Leptocephalus)、日本語では「葉型幼生」と呼ばれています。

これが暖流である黒潮に乗って、日本沿岸まで大回遊して辿り着き、その間に「シラスウナギ」と呼ばれる稚魚に変態して、日本の河川を遡上するときに、河口付近で採取されて、ウナギの養殖に供されているのが現状です。

近年では、シラスウナギの遡上が不安定で、少なくなってきているので、国内で不足する分は、台湾や韓国から輸入して補っていますが、国際自然保護連合のレッドリスト「絶滅する危険性が高い絶滅危惧種」指定されたり、ワシントン条約リストに掲載して、国際的な流通を規制する議論が始まっています。

一方、国の研究機関を中心に二ホンウナギを人工孵化させる研究も取り組まれていますが、まだ実用段階までは至ってっていません。

仔魚:「幼生(larva)」ともいわれ、孵化直後から稚魚の前段階の成長過程です。魚種によっては、後期仔魚  (postlarva)という段階を経て稚魚になるものもあります。

稚魚:ヒレや骨格が出来上がり、かなり親魚に近い容姿になってきた段階です。

・幼魚:「若齢魚」ともいわれ、ほとんど親魚と同じ容姿になった段階です。幼魚でも稚魚でも親魚と全く違う色や姿をしている魚種もあります。

回遊魚にはいろいろなパターンがある

回遊魚にもいろいろなパターンがあることがわかったと思います。大回遊して日本まで来遊する二ホンウナギは、レッドリストに掲載されるなど絶滅が危惧されており、将来、日本人が大好きなウナギが食べられなくなる日が来ないように、早く二ホンウナギの人工孵化が実用化されるといいですね。

イラスト使用元:いらすとや

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理科生物

回遊魚とは?マグロはどんなルートを通るの?産業用生物・バイオ研究機関の元研究員がわかりやすく解説

みんなは、「回遊魚」というと、どんな魚を思い浮かべるでしょうか。サケ、マグロ、サンマ?そうそう、ウナギも遠い南の海で生まれて、日本にまでやってくるから回遊魚といっていいと思うぞ。今回は回遊魚について産業用生物やバイオテクノロジーの研究機関の元研究員で生物に詳しいライターAgriFishと一緒に解説していきます。

ライター/Agri Fish

国立大学農林水産生物系学部を卒業。産業用生物・バイオ系研究機関に研究職員として勤務した後、現在は、個人事業主として、農林水産業の自営(自分の実験フィールドとしても利用)、農林水産生物に関する講師・技術者の派遣、食品衛生・労働安全衛生に関する相談業務などを営業。海外の研究機関で勤務した経験あり。

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「回遊魚(かいゆうぎょ)」と言われている魚種をあげると、皆さんもよく食べているマグロサンマアジサバイワシカツオサケなどがあります。

文字のとおり海の中を「回って」「遊ぶ」魚のことです。実際は、「遊ぶ」のではなくて、主にエサとなるプランクトンや小魚を探したり産卵に適した場所探したり、その魚自身が過ごしやすい水温探して游ぎ回っています

サケは、川で生まれて、海に降って、また産卵のために、自分の生まれた川の戻ってくる遡河性(さっかせい)魚類で、「母川回帰(ぼせんかいき)」という言葉を聞いたことが聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ウナギも川から海に下って、南の海で産卵して、稚魚がまた川に戻ってくるという大回遊を行うので、「回遊魚」といってよいと思います。

回遊魚とは

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リード文にも記載したように「回遊魚(かいゆうぎょ)」(または、「回遊性魚類」)は、エサを探したり(索餌回遊)、産卵に適した場所を探したり(産卵回遊)、その魚が好む水温域を探して、游ぎ回っています。その回遊経路の行動範囲や季節は、これまでの研究でだいたいわかってきました。

国や都道府県の水産研究機関では、定期的に調査船で海洋観測を行い、今年は、「どの時期」に、「どこの場所」で、「どのくらいの漁」があるかを予測しています(当然、自然相手なので、予報がハズレることもありますが)。

また、その魚が好む水温域がどこにあるのかを人工衛星の画像から予測する技術も実用化され、実際の漁業で使われている実例がありますので、一般社団法人 漁業情報サービスセンターのホームページ(URL:www.jafic.or.jp/)をご覧ください。

死滅回遊

サンマサバアジイワシなどの稚魚は、自力で遊泳できないので、海流に乗って移動しますがエサになるプランクトンが少ない場所に運ばれると餓死してしまい、このことを「死滅回遊」といいます。

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