今回は鉱物について解説していきます。

鉱物とは簡単に言えば岩石を作っているものです。鉱物は科学的に重要なだけでなく、人類の文明にとってもかかせないものです。

鉱物について基礎的なことを学んでみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

鉱物とは何か

image by iStockphoto

地球は岩石型惑星に分類されるように主に岩石でできています。では、岩石が何からできているのかというと、それは鉱物です。細かな定義はいろいろややこしいですが、鉱物が集まって岩石を作っていると考えてそう間違いはありません。また、鉄からレアメタルまで人類にとって有用な金属は鉱物から抽出します。さらに、妙に人類が好む宝石類も鉱物に分類されるのです。今回は、このように人類とかかわりの深い鉱物について見てみましょう。

その1:鉱物

Hematite-1.JPG
Transpassive - photo taken by Transpassive, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

鉱物は、金・銀・銅・鉄などの金属資源ダイアモンドをはじめとする宝石への関心と結びつき、昔から人類を魅了してきました。しかし、それだけではなく、鉱物は地球やほかの惑星を構成する物理化学的な最小単位であり、その物理的・化学的性質を知ることは、地球やほかの惑星で起こる地学現象の素過程を知るために重要なのです。上記の画像は、鉄の原料となる鉄鉱石の画像になります。

その2:鉱物の旧定義

Pouring liquid mercury bionerd.jpg
Bionerd - 投稿者自身による作品, CC 表示 3.0, リンクによる

鉱物は、かつては生物が関与しない自然過程で形成された、化学組成がある範囲で一定な無機質の結晶として定義されてきました。ちなみに、結晶とは原子が規則正しく三次元的に周期的配列をしている物質であり、そのような周期性を持たない物質は非晶質物質と呼ばれます。しかし、この定義では液体である自然水銀、貝やサンゴ骨格および人の骨を形成する方解石・あられ石・煉灰石、非晶質であるオパールなどの多くの物質が、鉱物から除外されてしまうことになってしまうのです。上記は、水銀の画像になります。

その3:現在の鉱物の定義

HPHTdiamonds2.JPG
Materialscientist (talk). Subsequent edits by Materialscientist. - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

そこで近年では、鉱物を自然界で産出するすべての無機物、もしくは有機物も含んで単に物質というように、広くとらえる考え方が一般的となってきています。さらに、人工ダイヤモンドのような人工鉱物も存在してきているようです。地殻やマントルの岩石は、元素単体からなる元素鉱物・ケイ酸塩鉱物・酸化鉱物・硫化鉱物・炭酸塩鉱物・リン酸塩鉱物などからなりますが、二酸化ケイ素を主成分とするケイ酸塩鉱物の占める割合が圧倒的に多くなります。上記は、人工ダイヤモンドの画像です。

その4:地殻をつくる鉱物

Earth-cutaway-schematic-numbered.svg
!原画(原紙)(原文):USGSベクタ:Anasofiapaixao - File:Earth cross section-i18.png このファイルの派生元:  Earth cross section-i18.png, パブリック・ドメイン, リンクによる

したがって、地殻を作る元素では酸素とケイ素が重量比で全体の約4分の3を占め、残りはアルミニウム、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどです。ケイ酸塩鉱物の中でも、かんらん石・輝石・角閃石・雲母・長石・石英は体積比で地殻の約87パーセントを構成しています。このような地殻やマントルの岩石を構成する主な鉱物が造岩鉱物です。上記の画像の、1aと1bが地殻になります。

\次のページで「その5:造岩鉱物について」を解説!/

その5:造岩鉱物について

現在知られている鉱物種が4000種とも5000種ともいわれるなかで、造岩鉱物がたかだか数十種であるのは、地球の化学組成が大局的には比較的均質であり、岩石の成因が温度や圧力などの物理化学的条件と時間をパラメーターとした熱力学にコントロールされていることを示しています。

ケイ酸塩鉱物について

image by iStockphoto

先ほど説明したように、地球の地殻を作っているのは主にケイ酸塩鉱物です。つぎは、このケイ酸塩鉱物について少し詳しく見てみましょう。上記の画像は、純粋なケイ素の画像です。

その1:ケイ酸塩鉱物の立体構造

SiO4 tetrahedral.svg
Hbf878 - 投稿者自身による作品, CC0, リンクによる

地殻に産出するケイ酸塩鉱物では、ケイ素原子一個が酸素原子四個に正四面体的に配位された四酸化ケイ素四面体が結晶構造の基本単位です。この四酸化ケイ素四面体が頂点の酸素を共有して鎖状あるいは網目状につながったり、三次元的なネットワークを作ったりしています。ケイ酸塩鉱物はこのよう四酸化ケイ素四面体の結合様式の違いによって分類することができるのです。上記の画像は、ケイ酸の代表的な構造モデルになります。

その2:ケイ酸塩鉱物の結晶構造

色やモース硬度とよばれる硬さなどとともに鉱物鑑定の重要な指標となる鉱物の外形や特定の方向にわれやすい性質は、このようなケイ酸塩鉱物の結晶構造を反映しています。しかし、近年の研究の進展で、下部マントルのケイ酸塩鉱物は六酸化ケイ素八面体が結晶構造の基本単位となっていることがわかってきているようです。

\次のページで「鉱物の多形」を解説!/

鉱物の多形

炭素の同素体(説明は右記参照)
Created by Michael Ströck (mstroeck) - Created by Michael Ströck (mstroeck), CC 表示-継承 3.0, リンクによる

鉱物の中には、化学組成が同じでも結晶構造が異なるものが少なくありません。この現象あるいはそれらの鉱物の関係を多形もしくは同質異像といいます。

鉱物の多形は、鉱物の結晶構造が化学組成だけでなく、鉱物の成長した環境の温度や圧力など物理条件にもよることを意味しているのです。上記の画像は、自然界に存在しないものも含んだ炭素の多形の結晶構造の模式図になります。

その1:多形関係にある代表的な鉱物

Diamonds glitter.png
Anton - German Wikipedia, original upload 7. Feb 2004 by Anton, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

多形関係にある代表的な鉱物には、炭素からなるダイヤモンドとグラファイト(石墨)二酸化ケイ素からなる石英とその高圧相であるコーサイトやスティショバイトケイ酸アルミニウム鉱物である藍晶石・紅柱石・ケイ線石などがあります。

普通、ダイヤモンドはマントル内の150キロメートルより深部の高圧高温環境で生成し、地下浅部の環境ではグラファイトが安定です。しかし、マントル深部を起源とするアルカリ元素に富む超苦鉄質の噴出岩であるキンバーライト中のダイヤモンドは、爆発的なマグマの噴出にともない猛烈な勢いで地表に運ばれたため、グラファイトに転移する暇がなくダイヤモンドのまま地表に到達したと考えられています。上記の画像は、ダイヤモンドの結晶構造です。

その2:ステショバイト

Stishovite.png
Materialscientist (talk) - Materialscientist (talk) created this work, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

また、スティショバイトのような下部マントルに存在するケイ酸塩鉱物は、石英のように四酸化ケイ素四面体ではなく、六酸化ケイ素八面体を結晶構造の基本単位としていると推定されているようです。ケイ酸アルミニウム鉱物は変成岩を産出する鉱物ですが、先ほど紹介した三つの多形の産状から変成作用の温度・圧力条件を推定することができます。上記の画像は、スティショバイトの結晶構造です。

固溶体

image by iStockphoto

最後は固溶体についてです。固溶体とは結晶構造は同じでも、今度は含まれている原子が違うもののことになります。

その1:固溶体とは

Alloy atomic arrangements showing the different types.svg
Hbf878 - 投稿者自身による作品, CC0, リンクによる

鉱物を構造だけでなく化学組成から調べることも重要です。ほとんどすべての鉱物は固溶体を形成しています。固溶体とは結晶構造を変えないまま、構成する原子の置換によってある範囲にわたって化学組成が連続的に変化する結晶相のことです。かつての鉱物の定義にあったある範囲で化学組成が一定というのは、この固溶による化学組成の幅を許容した範囲での均質を意味しています。上記の画像は、固溶体の模式図です。

\次のページで「その2:かんらん石の固溶体について」を解説!/

その2:かんらん石の固溶体について

Forsterite-37005.jpg
Rob Lavinsky, iRocks.com – CC-BY-SA-3.0, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

固溶は鉱物全体としての電荷の中性を保ち、イオン半径がほぼ等しい原子が組になって置換が生じます。かんらん石では四酸化ケイ素マグネシウムと四酸化ケイ素鉄のマグネシウムイオンと鉄イオンの電荷が等しく、イオン半径もほとんど等しいことから、両者は任意の割合で固溶が可能です。このとき四酸化ケイ素マグネシウムであるフォルステライトと四酸化ケイ素鉄であるファヤライトの成分は固溶範囲の両端であるという意味で端成分と呼ばれます。上記の画像は、フォルステライトの画像です。

その3:長石の固溶体について

Albite2.jpg
Didier Descouens - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

長石では、アルバイトとよばれる曹長石とアノーサイトとよばれる灰長石を端成分とする連続的な固溶体を形成するものを斜長石とよびます。また、曹長石はアルカリ長石との間にも固溶体を作ります。これがアルカリ長石です。アルカリ長石の固溶範囲は温度が高くなるほど広くなります。アルカリ長石の例のように、固溶体の化学組成は、鉱物の成長した温度や圧力などの環境に依存するため、その鉱物の生成した場に関する重要な情報をもたらしてくれるのです。上記は画像は、曹長石の画像になります。

鉱物の研究は宇宙につながっている

鉱物の研究は宇宙につながっている

image by Study-Z編集部

鉱物が岩石を構成しています。そして地球は岩石でできているのです。さらに、水星・金星・火星に月をはじめとする衛星、そして日本の人工衛星ハヤブサが探索した小惑星も岩石で構成されています。つまり、その多くが鉱物でできているのです。なので、地球の鉱物を研究することは、他の惑星や太陽系の成り立ちの研究にも役立ちます。鉱物は人類の役に立つだけでなく多くの秘密を宿しているのです。

" /> 3分で簡単「鉱物」鉱物の定義やケイ酸塩鉱物について理系ライターがわかりやすく解説 – Study-Z
地学岩石・鉱物理科

3分で簡単「鉱物」鉱物の定義やケイ酸塩鉱物について理系ライターがわかりやすく解説

今回は鉱物について解説していきます。

鉱物とは簡単に言えば岩石を作っているものです。鉱物は科学的に重要なだけでなく、人類の文明にとってもかかせないものです。

鉱物について基礎的なことを学んでみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

鉱物とは何か

image by iStockphoto

地球は岩石型惑星に分類されるように主に岩石でできています。では、岩石が何からできているのかというと、それは鉱物です。細かな定義はいろいろややこしいですが、鉱物が集まって岩石を作っていると考えてそう間違いはありません。また、鉄からレアメタルまで人類にとって有用な金属は鉱物から抽出します。さらに、妙に人類が好む宝石類も鉱物に分類されるのです。今回は、このように人類とかかわりの深い鉱物について見てみましょう。

その1:鉱物

Hematite-1.JPG
Transpassive – photo taken by Transpassive, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

鉱物は、金・銀・銅・鉄などの金属資源ダイアモンドをはじめとする宝石への関心と結びつき、昔から人類を魅了してきました。しかし、それだけではなく、鉱物は地球やほかの惑星を構成する物理化学的な最小単位であり、その物理的・化学的性質を知ることは、地球やほかの惑星で起こる地学現象の素過程を知るために重要なのです。上記の画像は、鉄の原料となる鉄鉱石の画像になります。

その2:鉱物の旧定義

Pouring liquid mercury bionerd.jpg
Bionerd投稿者自身による作品, CC 表示 3.0, リンクによる

鉱物は、かつては生物が関与しない自然過程で形成された、化学組成がある範囲で一定な無機質の結晶として定義されてきました。ちなみに、結晶とは原子が規則正しく三次元的に周期的配列をしている物質であり、そのような周期性を持たない物質は非晶質物質と呼ばれます。しかし、この定義では液体である自然水銀、貝やサンゴ骨格および人の骨を形成する方解石・あられ石・煉灰石、非晶質であるオパールなどの多くの物質が、鉱物から除外されてしまうことになってしまうのです。上記は、水銀の画像になります。

その3:現在の鉱物の定義

HPHTdiamonds2.JPG
Materialscientist (talk). Subsequent edits by Materialscientist. – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

そこで近年では、鉱物を自然界で産出するすべての無機物、もしくは有機物も含んで単に物質というように、広くとらえる考え方が一般的となってきています。さらに、人工ダイヤモンドのような人工鉱物も存在してきているようです。地殻やマントルの岩石は、元素単体からなる元素鉱物・ケイ酸塩鉱物・酸化鉱物・硫化鉱物・炭酸塩鉱物・リン酸塩鉱物などからなりますが、二酸化ケイ素を主成分とするケイ酸塩鉱物の占める割合が圧倒的に多くなります。上記は、人工ダイヤモンドの画像です。

その4:地殻をつくる鉱物

Earth-cutaway-schematic-numbered.svg
!原画(原紙)(原文):USGSベクタ:AnasofiapaixaoFile:Earth cross section-i18.png このファイルの派生元:  Earth cross section-i18.png, パブリック・ドメイン, リンクによる

したがって、地殻を作る元素では酸素とケイ素が重量比で全体の約4分の3を占め、残りはアルミニウム、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどです。ケイ酸塩鉱物の中でも、かんらん石・輝石・角閃石・雲母・長石・石英は体積比で地殻の約87パーセントを構成しています。このような地殻やマントルの岩石を構成する主な鉱物が造岩鉱物です。上記の画像の、1aと1bが地殻になります。

\次のページで「その5:造岩鉱物について」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: