今回の記事のテーマは「照葉樹林」です。

照葉樹林というタイプの森林は、多くの日本人にとって最も身近であるはずの自然です。照葉樹林がどんなところに成立するのか、どんなバイオームがみられるのかを学んでいこう。

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

照葉樹林とは

照葉樹林(しょうようじゅりん)とは、葉の表面がテカテカしている常緑広葉樹が多くみられる森林をいいます。日本を含めた温帯に成立するので、皆さんの身近にも、照葉樹林に生えるような樹木が存在しているでしょう。

高校の生物学において、照葉樹林や夏緑樹林、針葉樹林といった森林の名前は、バイオームのタイプとして学習することになります。

バイオームとは

バイオームとは

image by Study-Z編集部

バイオーム(生物群系)とは、ある土地に生育しているすべての生物(動物・植物・菌類など)をひっくるめてさす言葉です。

バイオームは基本的に、その場所に生育する植物によって左右されてきます。「どんな植物が生えているか」は、「その場所にどんな動物が生息するか」につながってくるので、バイオームのタイプは植生のタイプといっても過言ではありません。

世界には様々な環境が存在しますが、高校の教科書ではバイオームを大まかに10のタイプに分けて学びます。照葉樹林はそのうちの一つですね。

その土地にどんなバイオームが成立するかは、年間の平均気温と降水量が関係します。どんなに植物の種が運ばれてきても、水と、凍らない程度の気温がなければ、ほとんどの植物は育つことができません。

image by iStockphoto

10のタイプのバイオームを見ると、「~樹林」となっているタイプは年間降水量がある程度見込まれる土地にしか成立できないことがわかります。樹木は成長にたくさんの水分を必要とする植物だからです。照葉樹林の生育する地域は年間降水量が約1000mm以上、年間平均気温が13~20℃くらいは必要となります。

なぜ葉っぱが「テカテカ」している?

照葉樹林を構成する樹木に、葉のテカテカしているものが多いのか…その理由は降水量にあります。

雨の多い場所に成り立つ森林(熱帯多雨林など)では、充分な水分が確保できるため、樹木の葉は、大きく柔らかいものでも問題ありません。しかし、そういった環境よりもやや雨の少ない温帯になると、水分をなるべく逃がさないようにする工夫が必要になります。

照葉樹林にみられる樹木の葉は、表面に硬いクチクラ層を発達させることで、水分の過剰な蒸発を防いでいるんです。このクチクラ層が、「テカテカ」の正体なんですね。

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日本の照葉樹林

前述の通り、日本の大部分は温帯に位置し、多くの地域が照葉樹林の成立しやすい気候条件となります。本州では主に西日本、東日本では関東の平地や東北地方の低地でも、照葉樹林が発達していました。しかしながら、人口が増えるとともに都市や田畑の開発が進められ、自然に存在していた照葉樹林は大部分が姿を消してしまったんです。

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それでも、場所によっては照葉樹林が観察できることもあります。

たとえば、歴史の長い神社の周辺には”鎮守の森”と呼ばれるような、神社を取り囲む林があることが多いですよね。神聖な森とされ、むやみやたらに樹木を切り倒したりすることが少ないので、本来の照葉樹林らしい植物の構成を見ることができます。

また、大規模な照葉樹林としては、宮崎県にある”綾の照葉樹林”があげられるでしょう。ここには、原始的な照葉樹林が日本最大級の規模で残っており、その面積は東京ドーム500個分を軽く超えるほどだといいます。

生息する動植物

Quercus glauca4.jpg
KENPEI - KENPEI's photo, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

植物の種類でまず覚えていただきたいのは、シイのなかまカシのなかまです。

シイのなかま、つまりシイ属はブナ科に属するグループで、日本にはスダジイツブラジイという2種が存在しています。

カシのなかまも同じくブナ科。西日本平野部でよくみられるアラカシアカガシ、海岸近くに多いウバメガシなどがあります。

シイ類やカシ類の付ける果実は、いわゆるドングリです。知らず知らずのうちに、皆さんもこれらの樹木のドングリを手にしているかもしれませんね。

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他には、タブノキカゴノキなどのクスノキ科の樹木、モチノキクロガネモチなどのモチノキ科の樹木などがあります。ツバキサザンカなどツバキ科の樹木も見られますが、ツバキ科の多くは熱帯や亜熱帯に分布するため、温帯の樹林を構成するという点では、やや珍しい存在です。

草本植物の特徴もおぼえておきましょう。照葉樹林は常緑の樹種が優占しているため、一年中林床に光が届きにくい環境です。そのため、少ない日の光でも成長することができる種子植物やシダ植物、コケ植物などが多く出現します。

低木になるものでは、ヤブコウジマンリョウなどの名前がこたえられるとよいでしょう。

動物では、ニホンザルイノシシ、照葉樹林に生える植物を食べる鳥類などがあげられます。

世界の照葉樹林

日本以外では、どんなところに照葉樹林がみられるのでしょうか?

世界で主に照葉樹林が分布しているのは、東アジア。中国南部台湾、日本にかけて帯状に、照葉樹林の成立する条件が整っています。しかしながら、やはり多くの地域で人為的な開発が進み、有史以前よりもその面積が減少しているのが実情です。

中国や台湾などの照葉樹林でも、やはりシイ類やカシ類が多く見られます。同じバイオームのタイプなのですから、似たような植物がみられるんですね。

樹木を見に神社へいってみよう!

照葉樹林を観察するのに最も手軽なのは、やはり神社へ訪れることです。とくに西日本では、照葉樹林を構成する主要な樹木をいくつも確認できるでしょう。この国に残る、限られた照葉樹林を大切にしていきたいものですね。

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理科生態系生物

簡単でわかりやすい照葉樹林の特徴!動植物などバイオームも現役講師が詳しく解説

今回の記事のテーマは「照葉樹林」です。

照葉樹林というタイプの森林は、多くの日本人にとって最も身近であるはずの自然です。照葉樹林がどんなところに成立するのか、どんなバイオームがみられるのかを学んでいこう。

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

照葉樹林とは

照葉樹林(しょうようじゅりん)とは、葉の表面がテカテカしている常緑広葉樹が多くみられる森林をいいます。日本を含めた温帯に成立するので、皆さんの身近にも、照葉樹林に生えるような樹木が存在しているでしょう。

高校の生物学において、照葉樹林や夏緑樹林、針葉樹林といった森林の名前は、バイオームのタイプとして学習することになります。

バイオームとは

バイオームとは

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バイオーム(生物群系)とは、ある土地に生育しているすべての生物(動物・植物・菌類など)をひっくるめてさす言葉です。

バイオームは基本的に、その場所に生育する植物によって左右されてきます。「どんな植物が生えているか」は、「その場所にどんな動物が生息するか」につながってくるので、バイオームのタイプは植生のタイプといっても過言ではありません。

世界には様々な環境が存在しますが、高校の教科書ではバイオームを大まかに10のタイプに分けて学びます。照葉樹林はそのうちの一つですね。

その土地にどんなバイオームが成立するかは、年間の平均気温と降水量が関係します。どんなに植物の種が運ばれてきても、水と、凍らない程度の気温がなければ、ほとんどの植物は育つことができません。

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10のタイプのバイオームを見ると、「~樹林」となっているタイプは年間降水量がある程度見込まれる土地にしか成立できないことがわかります。樹木は成長にたくさんの水分を必要とする植物だからです。照葉樹林の生育する地域は年間降水量が約1000mm以上、年間平均気温が13~20℃くらいは必要となります。

なぜ葉っぱが「テカテカ」している?

照葉樹林を構成する樹木に、葉のテカテカしているものが多いのか…その理由は降水量にあります。

雨の多い場所に成り立つ森林(熱帯多雨林など)では、充分な水分が確保できるため、樹木の葉は、大きく柔らかいものでも問題ありません。しかし、そういった環境よりもやや雨の少ない温帯になると、水分をなるべく逃がさないようにする工夫が必要になります。

照葉樹林にみられる樹木の葉は、表面に硬いクチクラ層を発達させることで、水分の過剰な蒸発を防いでいるんです。このクチクラ層が、「テカテカ」の正体なんですね。

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