今回は「反応速度論」について解説していきます。

反応速度論は、化学反応のスピードを数式を用いて考察する学問分野です。化学分野だけでなく、生物学や環境学などにも応用されており、実用的な学問だと言えるぞ。ですが、多くの変数と微分方程式が登場して、難しく感じるかもしれない。今回は、用語や式の丁寧な説明を心掛けた。ぜひ、この機会に反応速度論についての理解を深めてくれ。

環境工学、エネルギー工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。環境中における物質の流れや変化について学習する機会があったことから、反応速度論についても深く理解している。

反応速度論とは?

image by PIXTA / 1961825

化学反応が進行するスピードは、反応によって異なります。例えば、都市ガスの主成分であるメタンの燃焼は一瞬にして起こりますよね。このとき、一挙に熱エネルギーが放出されるので、フライパンなどを加熱するこができますよ。一方、空気中に放置された鉄が酸化して錆になるという反応は、最低でも数日、長い場合は数か月かかります。また、熱エネルギーは少しずつ放出されますよ。

では、化学反応が進行するスピードの大小はどのような手段で定量的に表現するのでしょうか?このような問いに対して答えを示してくれるのが反応速度論なのです。また、反応速度論では、化学反応のスピードの増減がどのような要因によっておこるのかということも考えます。この記事では、これらの手法を一つ一つ丁寧に説明していきますよ。

反応速度の定義

反応速度の定義

image by Study-Z編集部

ここでは、化学反応が進行するスピードの大小を定量的に表す方法を考えましょう。スピードを比較する場合には、単位時間あたりにどれだけの量の物質が反応したか(増減したか)を知ることができると良さそうです。ただ、このときに反応した物質の量で比較すると、問題が発生します。同じ化学反応であっても、用意した反応物の量が異なれば、値が変わってしまうからです。このような理由から、反応速度の定義は「単位時間あたりに化学反応によって増減した物質の濃度」とされるのが一般的ですよ。

言葉での説明だけでは、理解しずらいかもしれませんので、具体的な数字を使って考えてみましょう。反応物Aの濃度がある瞬間に0.60[mol/L]で、その十秒後に0.55[mol/L]になった場合の平均反応速度の値を求めます。反応物の量は、化学反応の進行に伴って、減少していきますよね。ですから、今回は減少のスピードで表現します。したがって、反応物Aは10秒間で、0.050[mol/L]減少していることから、反応速度は0.050[mol/L]÷10[s]=0.0050[mol/L・s]となるのです。

実際の反応では、反応速度の値は時々刻々と変化します正確な反応速度を測定するには、できるだけ時間間隔を小さくとって、濃度を測定する必要がありますよね。これは、力学で学習する平均の速度と瞬間の速度の概念と全く同じです。ですから、反応速度の正確な定義は濃度を時間で微分したものということになります。計算式で表すと、v=-d[A]/dtとなりますね。ここで、[A]は反応物Aの濃度を表していますよ

反応速度の規則性

反応速度の規則性

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ここでは、反応速度の値がどのような規則で増減するのかを考えていきましょう。例えば、aA+bB→cC+dDという化学反応が存在したとします。この化学反応の反応速度vは、多くの場合v=k[A]α[B]βの形で与えられますよ。α+βの値を反応の次数と言います。このとき、α=a、β=bが必ずしも成立するとは限りませんので、注意が必要です。

また、kは温度や触媒の有無に依存する定数ですよ。k=Aexp(-E/RT)という式で求めることができます。この式はアレニウスの式と呼ばれ、Aは頻度因子Eは活性化エネルギーRは気体定数Tは絶対温度です。頻度因子Aと活性化エネルギーEの値は、反応によって固有の値を示しますが、触媒の有無で値が変化します

そして、この式から、温度Tの値が大きくなるとkの値が大きくなることがわかりますよね。温度が高くなると、分子の運動が激しくなり、分子同士の衝突回数が増加します。これにより、化学反応が促進されるからです。以下では、代表的な反応速度と濃度の関係式を紹介します。今回は、単純化のため逆反応は考えません。

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1次反応

1次反応

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最も単純な反応として、1次反応v=k[A]があります。1次反応は、v=k[A]α[B]βにおいて、α=1、β=0としたものです。過酸化水素水から水と酸素が生じる反応ショ糖の加水分解は、1次反応として近似できることが知られていますよ。また、v=-d[A]/dtであることから、v=k[A]⇔-d[A]/dt=k[A]と変形できます。

-d[A]/dt=k[A]は変数分離型の微分方程式です。これを反応物Aの初期濃度を[A]0(t=0)として、解いてみましょう。[A]≠0であると仮定すると、-d[A]/dt=k[A]⇔d[A]/[A]=-kdtと変形できます。さらに、両辺を積分すると、ln([A]/[A]0)=-ktとなりますよね。最後に、[A]について解くと、[A]=[A]0exp(-kt)となります。また、v=k[A]=k[A]0exp(-kt)です。

この式から、1次反応では反応初期段階での反応速度が速く、時間が経過すると反応速度は極めて0に近い値となることがわかります。また、反応速度定数kの値を実験により求める場合は、ln([A]/[A]0)=-ktという式を用いると便利ですよ。

2次反応

2次反応

image by Study-Z編集部

次に、2次反応について考えてみましょう。2次反応は、v=k[A]α[B]βにおいて、α=2、β=0としたもの、およびα=1、β=1としたものが考えられますよね。まずは、α=2、β=0としたものを考えます。式はv=-d[A]/dt=k[A]2です。二酸化窒素の分解反応がこの式を近似的に満たすことが知られています。-d[A]/dt=k[A]2も微分方程式で、反応物Aの初期濃度を[A]0(t=0)と仮定したときの解は、1/[A]=kt+1/[A]0です。この式を用いれば、実験によって、反応速度定数kを求めることができますね。

続いて、α=1、β=1の場合を考えます。このとき、微分方程式はv=-d[A]/dt(=-d[B]/dt)=k[A][B]となりますよね。反応物AおよびBの初期濃度を[A]0、[B]0(t=0)として、この微分方程式を解くと、{1/([A]0-[B]0)}×ln([A][B]0/[A]0[B])=ktとなるのです。こちらの場合も、実験によって反応速度定数kを求めるときに、この式を使うと便利ですよ。

反応速度論を理解するためのポイント

反応速度論は、物理化学の中でも、非常に理解しずらい分野です。その理由として、様々な変数と式が登場すること、微分方程式が数多く登場することなどが挙げられます。

ですが、具体的な例を考える、具体的な数字を使って計算をしてみるといった経験を積むことにより、徐々に理解できるようになりますよ。理解するのをあきらめる前に、もうひと踏ん張りしてみてください。

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化学

「反応速度論」って何?理系学生ライターが丁寧にわかりやすく解説!

今回は「反応速度論」について解説していきます。

反応速度論は、化学反応のスピードを数式を用いて考察する学問分野です。化学分野だけでなく、生物学や環境学などにも応用されており、実用的な学問だと言えるぞ。ですが、多くの変数と微分方程式が登場して、難しく感じるかもしれない。今回は、用語や式の丁寧な説明を心掛けた。ぜひ、この機会に反応速度論についての理解を深めてくれ。

環境工学、エネルギー工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。環境中における物質の流れや変化について学習する機会があったことから、反応速度論についても深く理解している。

反応速度論とは?

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化学反応が進行するスピードは、反応によって異なります。例えば、都市ガスの主成分であるメタンの燃焼は一瞬にして起こりますよね。このとき、一挙に熱エネルギーが放出されるので、フライパンなどを加熱するこができますよ。一方、空気中に放置された鉄が酸化して錆になるという反応は、最低でも数日、長い場合は数か月かかります。また、熱エネルギーは少しずつ放出されますよ。

では、化学反応が進行するスピードの大小はどのような手段で定量的に表現するのでしょうか?このような問いに対して答えを示してくれるのが反応速度論なのです。また、反応速度論では、化学反応のスピードの増減がどのような要因によっておこるのかということも考えます。この記事では、これらの手法を一つ一つ丁寧に説明していきますよ。

反応速度の定義

反応速度の定義

image by Study-Z編集部

ここでは、化学反応が進行するスピードの大小を定量的に表す方法を考えましょう。スピードを比較する場合には、単位時間あたりにどれだけの量の物質が反応したか(増減したか)を知ることができると良さそうです。ただ、このときに反応した物質の量で比較すると、問題が発生します。同じ化学反応であっても、用意した反応物の量が異なれば、値が変わってしまうからです。このような理由から、反応速度の定義は「単位時間あたりに化学反応によって増減した物質の濃度」とされるのが一般的ですよ。

言葉での説明だけでは、理解しずらいかもしれませんので、具体的な数字を使って考えてみましょう。反応物Aの濃度がある瞬間に0.60[mol/L]で、その十秒後に0.55[mol/L]になった場合の平均反応速度の値を求めます。反応物の量は、化学反応の進行に伴って、減少していきますよね。ですから、今回は減少のスピードで表現します。したがって、反応物Aは10秒間で、0.050[mol/L]減少していることから、反応速度は0.050[mol/L]÷10[s]=0.0050[mol/L・s]となるのです。

実際の反応では、反応速度の値は時々刻々と変化します正確な反応速度を測定するには、できるだけ時間間隔を小さくとって、濃度を測定する必要がありますよね。これは、力学で学習する平均の速度と瞬間の速度の概念と全く同じです。ですから、反応速度の正確な定義は濃度を時間で微分したものということになります。計算式で表すと、v=-d[A]/dtとなりますね。ここで、[A]は反応物Aの濃度を表していますよ

反応速度の規則性

反応速度の規則性

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ここでは、反応速度の値がどのような規則で増減するのかを考えていきましょう。例えば、aA+bB→cC+dDという化学反応が存在したとします。この化学反応の反応速度vは、多くの場合v=k[A]α[B]βの形で与えられますよ。α+βの値を反応の次数と言います。このとき、α=a、β=bが必ずしも成立するとは限りませんので、注意が必要です。

また、kは温度や触媒の有無に依存する定数ですよ。k=Aexp(-E/RT)という式で求めることができます。この式はアレニウスの式と呼ばれ、Aは頻度因子Eは活性化エネルギーRは気体定数Tは絶対温度です。頻度因子Aと活性化エネルギーEの値は、反応によって固有の値を示しますが、触媒の有無で値が変化します

そして、この式から、温度Tの値が大きくなるとkの値が大きくなることがわかりますよね。温度が高くなると、分子の運動が激しくなり、分子同士の衝突回数が増加します。これにより、化学反応が促進されるからです。以下では、代表的な反応速度と濃度の関係式を紹介します。今回は、単純化のため逆反応は考えません。

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