タイガーや象印がよくCMをしている魔法瓶(まほうびん)。温かい物をなるべく冷めさせないように、また冷たい物はなるべく冷たい状態を維持できる容器。容器そのものがどこか消耗するわけでもなく、比較的軽量という優れもの。1つ気になるのは魔法瓶容器の壁。ちょっと分厚いと思わないか?

そこにどんな仕掛けがされているか、理系ライターのR175と解説していきます。

ライター/R175

関西のとある理系国立大出身。エンジニアの経験があり、身近な現象と理科の教科書の内容をむずびつけるのが趣味。教科書の内容をかみ砕いて説明していく。

1.保温の重要性

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ポットのお湯がすぐに温かくなると改めて沸かさないといけないため、その分余計なエネルギーが必要です。また、冷たいお茶がすぐに温かくなったら、腐ってしまうかもしれませんね。熱湯や氷など常温からかけ離れた温度の物体は放っておくと段々温に近づいてくるもの。熱湯を意図的に冷ましている場合や、冷凍食品を解凍したい場合などを除き、常温に戻って欲しくない時は保温が必要になります。

2.なぜ常温に近付くのか

2.なぜ常温に近付くのか

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は、温度が高い方から低い方に移動する性質があります。熱いというのは、物体を構成する分子の運動が激しい状態。すごく拡大すると激しく微振動をしているというイメージ。

冷たい物は分子の運動が穏やか、あまり振動していないというイメージです。振動が激しい物を振動が穏やかな物を隣に置くと、振動が激しい方→穏やかな方に伝わっていきます。つまり、温度が高い方→低い方に振動(熱)が伝わっていくということ。

熱湯を常温中に放置すると、お湯から周りの物体(空気など)に移動していき、お湯の温度が下がります。氷を常温中に放置すると熱は周囲→氷に移動氷の温度が上がって溶けちゃいますね。

3.熱の伝わり方

熱の伝わり方は3パターンあります。

ただし、前述の通り熱は高温側→低温側に移動するというのはどのパターンでも共通です。

3-1.熱伝導

物体を構成する分子の運動が直接伝わっていくことで起きるもの。触れている物同士で直接熱が移動します。熱い物に触ったら自分の指に熱が移動してきて「熱い」と感じるし、氷に触ったら自分の指から氷に熱が移動してしまうので「冷たい」と感じる。直感的に捉えやすい現象と言えるでしょう。次に述べる「対流伝熱」との違いは、物体の移動を伴わない点。

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3-2.対流伝熱

3-2.対流伝熱

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気体や液体などの流体の移動によって熱が伝わる現象。海やプールに入ると、上の方は温かいのに、底は冷たいといったことよくあると思います。本来、水温は均一ですが上の方ばかりに熱が移動した結果このような状況になっているのです。一体なぜでしょうか?

一般に、温度が高いほど密度は小さくなるもの。温度が高いほど、分子運動が激しいため、1つ1つの分子同士が間隔を空けようとするから密度が低くなるとイメージしましょう。密度が高い(冷たい)物ほど下に、密度が低い(温かい)物ほど上に行こうとするため、「上の方が温かく底が冷の方が冷たい」といった状態になります。

流体内で密度差があると、流体の移動が起こり流れが発生これにより熱が伝わる現象が対流伝熱。熱伝導との違いは物体(流体)の移動を伴っている点で液体や気体といった「流体内」で起こる現象。固体では起こりません。

3-3.熱放射

3-3.熱放射

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熱伝導や対流伝熱は何かの物体を通しての伝熱。一方、何の物体を介さなくても熱は伝わります。それが熱放射宇宙空間には熱を伝える物質(大気)がないのに、太陽から地球に熱が伝わるのもこの現象によるもの。

熱を持っている物体は=分子が運動していますね。分子は電子や陽子といった電荷(+や-に帯びたもの)。詳しい説明は省きますが、それら電荷が振動することで電磁波が発生します。電磁波は何もない真空中でもどこでも伝わっていくことが可能。電磁波は行き着いた先の物体分子を運動させることができます。分子が運動させられるということは、ここでも熱が発生いているということ。つまり電磁波を通して熱が伝わったと言えるわけです。このような伝熱が熱放射。

4.熱の移動を阻止する工夫

魔法瓶では、容器内物質と周囲の空気間でなるべく熱が伝わらないように工夫されています。3項で述べたような「熱の移動」を出来る限り阻止しているわけです。

4-1.熱伝導と対流伝熱を阻止

4-1.熱伝導と対流伝熱を阻止

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熱伝導と対流伝熱は、物体を介した熱の移動お湯は周りの冷たい空気を介して熱移動するから冷めますし、氷は周りの暖かい空気によって溶けます。仮にお湯や氷の周りに何も物体がなければこういった熱の移動はありません。

どうやってそんな状態を作るか?真空層です。容器の中と外の間に何もない部分(真空層)を作ることで、物体を通して起こる熱伝導と対流伝熱を阻止。つまり、真空層の部分は熱がほとんど通過出来なくなります。

とはいえ完全真空には出来ないため、熱伝導と対流断熱もゼロにはなりませんが、劇的に熱は逃げにくいです。

\次のページで「4-2.熱輻射を阻止」を解説!/

4-2.熱輻射を阻止

4-2.熱輻射を阻止

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壁に真空層を作れば確かに、熱伝導と対流伝熱による熱移動は防げます。しかし、その真空中でも伝わってしまうのが熱放射。電磁波による伝熱です。そこで電磁波も通過出来ないようにしてやれば熱輻射も防げますね。

魔法瓶の壁の内側は綺麗な鏡面に加工されています。電磁波が通過しようとしても、その鏡面で反射してしまうため電磁波が伝わりにくいのです。とはいえこちらも完全な鏡面には出来ないため、全ての電磁波を反射させることは出来ません。反射率は90%程度で残り10%の電磁波は通ってしまうため熱輻射を完全にシャットアウトすることは出来ませんが、劇的に防げます。

保温=熱移動をシャットアウト

熱い物は熱いまま、冷たい物は冷たいままに「保温」したい場面が多々あるもの。温度を保つためには、周囲との熱移動を断ち切る必要があります。熱の移動方法は3つあり、そのうち熱伝導と対流断熱の原因は周囲の空気。空気との接触を断つべく壁の中に真空層が作られています。

もう1つの熱移動方法が熱輻射。原因となるのは電磁波の伝播でこれを防ぐために壁の内側が鏡面加工されていて、電磁波が反射しやすいようになっています。以上、想定される熱移動をなるべく断ち切るべく仕掛けがなされているのが「魔法瓶」。

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物理

温度がキープできるのはなぜ?「魔法瓶」の原理を理系ライターがわかりやすく解説

タイガーや象印がよくCMをしている魔法瓶(まほうびん)。温かい物をなるべく冷めさせないように、また冷たい物はなるべく冷たい状態を維持できる容器。容器そのものがどこか消耗するわけでもなく、比較的軽量という優れもの。1つ気になるのは魔法瓶容器の壁。ちょっと分厚いと思わないか?

そこにどんな仕掛けがされているか、理系ライターのR175と解説していきます。

ライター/R175

関西のとある理系国立大出身。エンジニアの経験があり、身近な現象と理科の教科書の内容をむずびつけるのが趣味。教科書の内容をかみ砕いて説明していく。

1.保温の重要性

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ポットのお湯がすぐに温かくなると改めて沸かさないといけないため、その分余計なエネルギーが必要です。また、冷たいお茶がすぐに温かくなったら、腐ってしまうかもしれませんね。熱湯や氷など常温からかけ離れた温度の物体は放っておくと段々温に近づいてくるもの。熱湯を意図的に冷ましている場合や、冷凍食品を解凍したい場合などを除き、常温に戻って欲しくない時は保温が必要になります。

2.なぜ常温に近付くのか

2.なぜ常温に近付くのか

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は、温度が高い方から低い方に移動する性質があります。熱いというのは、物体を構成する分子の運動が激しい状態。すごく拡大すると激しく微振動をしているというイメージ。

冷たい物は分子の運動が穏やか、あまり振動していないというイメージです。振動が激しい物を振動が穏やかな物を隣に置くと、振動が激しい方→穏やかな方に伝わっていきます。つまり、温度が高い方→低い方に振動(熱)が伝わっていくということ。

熱湯を常温中に放置すると、お湯から周りの物体(空気など)に移動していき、お湯の温度が下がります。氷を常温中に放置すると熱は周囲→氷に移動氷の温度が上がって溶けちゃいますね。

3.熱の伝わり方

熱の伝わり方は3パターンあります。

ただし、前述の通り熱は高温側→低温側に移動するというのはどのパターンでも共通です。

3-1.熱伝導

物体を構成する分子の運動が直接伝わっていくことで起きるもの。触れている物同士で直接熱が移動します。熱い物に触ったら自分の指に熱が移動してきて「熱い」と感じるし、氷に触ったら自分の指から氷に熱が移動してしまうので「冷たい」と感じる。直感的に捉えやすい現象と言えるでしょう。次に述べる「対流伝熱」との違いは、物体の移動を伴わない点。

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