IT系の派遣現場で、毎日「CSVファイル30個を手作業で整形して、社内システムに1件ずつ手入力する」という、正気とは思えない業務を命じられた。作業時間は毎日約3時間。
ブチギレた俺は、最初の1ヶ月でその作業をすべて自動化するスクリプトを内職で組み上げた。ボタンを1回押せば、1秒で終わる。
残りの2時間59分59秒は、完全に暇になった。
しかし、ただぼーっと自席で過ごすのも退屈だ。俺は匿名掲示板にスレッドを立てた。
『【悲報】ワイ、仕事の自動化ツールを作るも暇すぎて死亡。コードの無駄を叩いてくれ』
すると、スレには暇を持て余したガチ勢のプロネット民たちが大集合。
「処理が重い。ここ並列化しろ」「メモリ効率が素人以下。書き直せ」「無駄に超高速言語で再構築してみたぞ」と、ネット特有の煽り合いと無駄すぎる技術力の集結が始まった。
煽り煽られ数ヶ月。ネット民たちの手が加わったそのツールは、もはや「CSVを整形する」という当初の目的を遥かに超え、超並列処理・自動エラー修復・超高負荷耐性を備えた謎のモンスタープログラムへと進化していた。
そして運命の日。
会社の基幹サーバーが、大規模なシステム障害と想定外のアクセス集中により大炎上した。画面は真っ赤、システムは停止、上司たちは白目を剥いて倒れかけている。このままでは億単位の損害が出る。
「誰か……誰かこの異常な過負荷を捌けるバックアップシステムはないのか!?」
混乱のなか、俺はふと気づいた。
(あれ……ネット民と悪ふざけで作ったあのプログラム、無駄に分散処理アルゴリズム積んでなかったか?)
俺はダメ元で、自分のPCからそのプログラムを緊急起動。会社の障害発生ノードに割り込ませた。
数秒後。
大量のエラーログは瞬時に捌かれ、サーバーは何事もなかったかのように正常稼働を始めた。
青ざめた顔で画面を見つめていた上司が、ゆっくりと俺を振り返る。
「お前……一体、裏で何をやっていたんだ……!?」
俺は至って冷静に、静かに答えた。
「ただの、暇つぶしです」
翌日、俺のデスクにはなぜか「特別技術顧問」という謎の肩書と、無駄に高級な缶コーヒーが置かれるようになった。
💩
そうだね、💩だね