2026-07-07

日本コメ生産、かなりまずいことになりかねない。

みなさんご存じの通り、2026年の新米価格暴落しかねない状況となっている。

原因はコメ余り。

では、なぜコメ余りが起きているかというと。

・2025年に政府は60万トンを超える備蓄米放出した。

さらに2025年産のコメは豊作で、需要量を超える収量があった。

さらさらに、2025年以降、コメ価格が5kg4千円を超える高騰ぶりで、一般消費者コメに手が出せなくなり、パスタなどの安い代替品を買うようになり、コメ離れが起きた。

この三つの条件がそろってしまったため、倉庫にはまだ、政府が出した備蓄米と2025年産米があふれかえっている状態

しかも厄介なことに、倉庫がいっぱい過ぎて、新米が出てきてもそれを保管する倉庫がない、という状態に。

新米倉庫しまいたくても倉庫がない。となると、新米を買いたくても買えない、となりかねない。

この結果、新米に値段がつくのか?というほど、新米に買い手がつかない状態になっているらしい。

こうして書くと、コメの高騰に苦しんだ消費者の皆さんは「誰が悪いのか知らんけど、ざまあみろ」と思いたくなる人がいるかもしれない。誰かが大儲けしようとして、あるいは実際に大儲けしたのだろうから、大損するならいい気味だ、と。

そこで、誰が悪いのかちょっと考えてみる。

まず、コメ農家

実は、コメ農家はそんなに儲かっていない。何せ、ここ30年、儲かるどころか赤字垂れ流しのところが非常に多いから。

コメ価格は2024年、2025年と高騰したように見えるけれど、実は30年前の1990年代後半の頃に値を戻しただけ。

その途中の30年間は、コメ価格は4割ほど下落し、少なから生産者赤字なのも覚悟のうえでコメ作りを頑張ってきてくれた。

年金をつぎ込んでコメ生産を続けたところも多い。

から、ここ1、2年、昔の値にまで戻ったと言っても、大儲けできているわけではない。

しろ、2026年の今年、コメ価格暴落すると、多少は儲かったと思っていた農家も大損する恐れがある。

実は、2025年のコメ価格暴落すると、農家JAお金を返金しなきゃいけなくなる可能性があるためだ。

農協は、実は農家からコメを買い取っているわけではない。

農家の代わりにコメ販売を代行しているだけ。

代行者でしかいから、農協は売れたコメの値段から手数料一定額もらって、そのほかは全額農家に渡す仕組み。

でも、コメが全部売れてから農家お金を渡すのでは、コメ農協に預けてから1年後にしか現金が入らない、ということになりかねない。

それだと農家現金なさ過ぎて、肥料も買えないし苗も買えない。農業を続けられなくなってしまう。

そこで農協は、2025年産のコメができるちょっと前に、そのコメが売れそうな値段を推定して、その金額をあらかじめ生産者に渡してしまう。

これを「概算金」という。「だいたいこのくらいの値段で売れるんじゃないかなー?」というのが、概算金という名前意味

で、もしコメが思った以上に高く売れた場合は、農協は決まった手数料しかとらない仕組みだから手数料以外の儲かった分は農家に後日渡す仕組みとなっている。

問題は、コメが思ったより安くしか売れなかった、あるいはそもそも全部売れなかった、という場合

そうなると、「概算金渡しすぎたので、返金してください」ってことになる。

実際、2009年、山形県では「概算金渡しすぎた割にコメが安くでしか売れなかったので、返金をお願いします」と、農家は返金を求められたことがある。

今回、複数農家取材したところ、昨年(2025年)段階で「もしコメ価格が途中で暴落したら、概算金の一部を返金してもらうことも起こるかも」と農協から説明を受けていたという。

農家農協も、2025年のコメ価格は高すぎて、消費者コメ離れが起き、その結果コメが余って、コメ価格暴落する恐れを感じていたらしい。

というわけで、コメ農家は、2025年産のコメが今後暴落すると、損をする可能性がある。しかも、コメ農家は今回のコメ高騰の原因となるような行動はとっていない。だからコメ農家悪者、と考えるのはちょいとおかしいように思う。

次に農協

農協コメの売買でシェアが大きいから、コメ価格のつり上げの原因は農協にあるに違いない!と批判している人がいる。でも、私は疑問。

というのも、2025年のコメ仕入れシェアは、農協28%。30%を目標にしていたのに達することができなかった。

ではなぜ30%を目標にしていたかというと、農協が出荷を約束しているお客さん(卸業や小売業)がいて、そこに約束通りの量を出荷する『出荷責任』があるから。でも、28%に落ち込んだということは、出荷責任を果たそうとしても一部果たすことができなかった、ということ。農協は、買いたかった量のコメ2025年はうまく仕入れることができなかった、ということになる。

しかも、農協普段消費量の40%程度を扱っているのに、2025年は28%しかコメを集められなかった、という事実を考えても、農協はむしろ「買い負けていた」側だと解釈するのが妥当だろう。

では、誰がコメの買い占めに走ったかというと、農協以外の民間業者。それも、農協より早くに買占めに走った業者結構いた。しかも、農協が示すであろう「概算金」よりも高値提示して農家に直接交渉する業者が後を絶たなかったという。

農協が高い値段で概算金を示さざるを得なくなったのは、こうした民間業者に買い負けないためだったわけだけれど、結果的に買い負けた、ということになる。

では、コメ高騰の原因は、買占めに走った農協以外の民間業者、ということになるだろうか?一部、そうなると思う。

でも、こうした民間業者も、前年の2024年産のコメが入手できず、小売店から矢のような催促をされてもコメをどうしても調達できなかった反省から、「何としてもコメを」と必死だったのは否めない。つまり、こうした民間業者も、『出荷責任』を果たそうとしていただけのことだと考えると、責めるのは少々無理がある、ように思う。

結局、コメが高騰した原因は、コメ農家でも農協でもそれ以外の民間業者でもなく、「そもそもコメが足りなかったから」だというしかないように思う。2023年、2024年と、コメの消費が増えたのに対し、コメ生産が伸び悩み、日本コメが足りなくなった。コメが足りなければ、市場経済では値上がりする。経済学の基本通りに値が上がっただけのことで、コメ高騰は、誰が悪いわけでもない、というしかないように思う。

「でも、減反せずにコメをたくさん作っていればこんなことにならなかったのだから農林水産省が悪い」という人がいるかもしれない。いや、実際にそう批判する人も少なくない。

でも、ちょっと考えてみてほしい。減反してもなお、ここ30年間、コメは余り気味で、コメ価格が低迷したためにコメ農家全然からなかった。これで減反やめてコメ大量生産していたら、コメ農家経営悪化もっとひどくなっていただろう。

効率の悪い農家は退場してもらって、効率経営の大規模農家だけでコメ生産をしてもらえばいい」という人がいるかもしれない。

しかし、実は、効率が悪いとされる中山間地でコメの3割を生産している。ここがコメ生産をやめてしまうと、コメが3割分、一気に減ることになる。もし減反をし、生産量を減らす努力をしていなければ、極端なコメ不足はもっと早くに起こり、コメ価格は2025年のコメ価格どころか、もっと高騰していた可能性がある。

そうなると、日本人のコメ離れが加速し、小麦もっと輸入するようになり、そのせいでコメ離れがもっと進み…という悪循環が起きていたかもしれない。

減反は、コメ生産を維持し、日本食糧安全保障の「底が割れない」ようにするために、かなり役立ってきた政策であるように思う。

安易減反をやめ、増産していたらえらいことになっていただろう。

「もしコメが余ったとしても、海外に輸出すればいいじゃないか、高くて売れないというなら安くして売ればいい」という人がいるかもしれない。

しかし、日本海外の国々と貿易協定を結んでいて、国内販売されているコメ価格よりも安く海外に輸出することは禁じられている。このルールを破ると、世界中の安い穀物がドサーッとやってきて、日本食料自給率は一気に崩壊してしまう恐れがある。円安価格差は縮まってきたとはいえ、まだ日本コメは高い。輸出するのは難しい。

それに、「たくさんできた、だから輸出するぞ」といっても、「販路開拓」をせずに輸出できるものではない。外国コメを持って行けばそれだけで売れる、というものではない。現地の業者交渉し、その国でどうやってコメを保管してもらい、売っているお店にどうやって運び、そのお店でどのくらいの量、どの値段で売ってもらうか、ということをしっかり詰めた「販路開拓」をしないうちには輸出できない。

この販路開拓には時間がかかるし、しかも、いったんそうした契約を結んだからには、決まった量のコメを出荷する必要がある。そう、「出荷責任」。だから日本コメが余ったからと言って「昨年の倍の量送るね」と言われても、先方は困るし、「今年は不作だったから送らないでおくね」というと、先方は「約束通り送れ!」と怒ってしまう。

出荷責任を果たさなければ、翌年から取引してもらえなくなる。このように、「コメが余ったら余った分、都合よく輸出できる」なんてことはあり得ない、ということをわきまえておく必要がある。

「もう日本海外に食料を依存してしまえばいい、どうせ38%程度しか賄えていないんだし」という人もいるかもしれない。

しかし、たとえ38%であっても、自国で食料をそれだけ賄えるのは重要戦争未来永劫続くわけではなく、数か月苦境をしのげば、どこかの国から食料を輸入できるかもしれない。そのための「つなぎ」として、国内田畑で育つ食料があるということは、安全保障上、極めて大切。

から海外に食料を依存しすぎない、ということは非常に重要

そう考えると、農水省がこれまで減反を続けざるを得なかったのは、それなりに妥当理由があると考えてよいように思う。農水省は、減反をするとは言わないまでも、コメの作りすぎには今後も注意する、と方針を立てているのは、私には妥当政策のように思える。

ただ、農水省責任がないわけではない。2023年、24年は、「どうせコメ消費量は減るだろうから」と少なめに生産したら、思ったよりコメの消費が伸びた、という問題があった。農水省は国の監督官庁からコメが足りない事態は起こさないようにするのが仕事。ただ。

コメの消費が伸びる、と予想できた人は、当時、いなかったように思う。後知恵だけれど、2023年あたりから食品の値上がりが激しく、小麦価格も高騰したものからパンが値上がりし、その分、コメの消費が伸びた、ということが起きた。「コメ以外の食品が値上がりした」ことからコメの消費が伸びる、と予想できなくもなかったかもしれないが、うーん・・・やっぱり難しかったと思う。

というわけで、農水省コメ不足を予想できなかったのは残念ではあるけれど、誰か予想できたと思う?と考えると、やはり難しかったので、コメ不足を予測できなかったことをもって農水省を責めるのも、ちょっと酷かな、と思う。

以上から考えると、コメ高騰については、誰か人間悪者犯人がいたのではないか、と考えたくなる心理はわかるけれど、誰もが無理のない行動をとっていて、誰かが悪い、とはいいがたい、というのが私の考え。

さて、ここまで、コメ高騰の犯人探しだけでずいぶん長くなってしまった。コメ価格暴落したら、今後、日本はどうなってしまうのか、という点については、改めて考えてみたい。

午後6:54 · 2026年7月6日

ttps://x.com/ShinShinohara/status/2074069472781193367

  • 鎖国と統制経済を止めろ、という話 農水省がコメ不足を予想できなかったのは残念ではあるけれど、誰か予想できたと思う?と考えると、やはり難しかったので、コメ不足を予測できな...

  • そもそもカルローズとかいうクソまずい米に負けるような米を作る意味あるんか? 炊くのだって時間かかるんだしそりゃ茹でるだけでしかもやすいパスタとかうどんとかに負けるやろ 日...

  • 少なくとも備蓄米を放出したぶんは買い戻せるやろ。なんかできへん理由があんのか。まあ転載に言ってもしゃーないけど。

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