本・書評
-
吃音の呪縛解け、豊かに 鳥取の入江さん 障害者手帳持ち、自己肯定感 /鳥取
2025/2/8 05:04 1876文字言葉が思うように出ない吃音(きつおん)のせいで駄目な人間だ。そう思い込んでいた鳥取県八頭町の会社員、入江達宏さん(54)は5年前、愛媛県の医師との出会いを通して障害者手帳を取得し、呪縛が解けていったという。経緯をつづった文章「人生のパスポート」が、反差別と人権の拡大を目指す2024年の「第50回部
-
今週の本棚・なつかしい一冊
中川秀太・選 『蝶ネクタイ先生の飲み食い談義』=高橋義孝・著
2025/2/8 02:01 1020文字(河出文庫 990円) 高橋義孝(愛称「ギコーサン」)は、ゲーテやフロイトの作品を翻訳したドイツ文学者である。また、軽妙な文体の随筆を書く人物としても世に知られた。本人が謙遜を込め雑文と称する随筆が極めておもしろい。それは、近現代の日本語(学)の教科書と見なすこともできる。 うちにあるのは「ダイニ
-
今週の本棚
永江朗・評 『4321』=ポール・オースター著、柴田元幸・訳
2025/2/8 02:01 1335文字(新潮社・7150円) ◇米社会の日々、大人に成長する時間 1947年に米国ニューヨーク市の近郊で生まれたユダヤ人3世の少年が、さまざまな経験を重ねて大人になるまでを描いた長編小説。上下2段組で約800ページというボリュームに思わずたじろぐが、読み始めると面白くてやめられない。 ひとつ大きな仕掛け
-
今週の本棚
東直子・評 『短歌って何?と訊いてみた』=川野里子・著
2025/2/8 02:01 1377文字◆『短歌って何?と訊(き)いてみた』 (本阿弥書店・2750円) ◇対話で紡いだ表現の可能性 歌人の川野里子が、学者や、詩人、俳人、小説家など、各ジャンルの第一線で活躍する15人と近現代短歌や和歌をからめながら対話を試みた一冊である。葛原妙子の作品研究など、評論家としての高い業績がある著者ならでは
-
今週の本棚・情報
ベストセラー
2025/2/8 02:01 192文字<1>転生したらスライムだった件(22)(伏瀬著・マイクロマガジン社) <2>異世界のんびり農家(18)(内藤騎之介著・KADOKAWA) <3>M.S.S Project ARTIST BOOK PROGRESS(KADOKAWA) <4>改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学(両@リベ大学
-
-
今週の本棚
鹿島茂・評 『パリ十区サン=モール通り二〇九番地 ある集合住宅の自伝』=リュト・ジルベルマン著、塩塚秀一郎訳
2025/2/8 02:01 1987文字(作品社・3960円) ◇古い街区に残る記憶、アウシュビッツ パリでは十九世紀半ばのセーヌ県知事オスマンによる大改造以後、建物はあまり変わっていない。 ポーランド系ユダヤ移民の末裔(まつえい)としてパリに生まれたドキュメンタリー映画監督である著者はこうしたパリの建物の特徴に着想を得て、集合住宅のミ
-
今週の本棚・著者に聞く
吉田裕さん 『続・日本軍兵士 帝国陸海軍の現実』
2025/2/8 02:01 837文字◆吉田裕(よしだ・ゆたか)さん (中公新書・990円) ◇戦場にいる一人の目線で 21万部を突破し、2018年度のアジア・太平洋賞特別賞などを受賞したベストセラーの続編。「吉田史学」の成果がつまった一冊だ。 前作では、国力に見あわない戦争を続けたしわ寄せが、戦場で兵士たちにのしかかっていった実態を
-
今週の本棚・編集後記
当ページの書評の筆者…
2025/2/8 02:01 161文字当ページの書評の筆者、中島岳志さんと伊藤亜紗さんの肩書が昨年秋に「東京科学大教授」に変わったのにお気づきでしょうか。東京工業大と東京医科歯科大が統合され、この名称に。名前は変わっても、大学が豊かな「知」の発信源であることは変わりません。その担い手でもあるお二人の書評を、今後もお楽しみに。(代)<デ
-
今週の本棚・話題の本
『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』=武田砂鉄
2025/2/8 02:01 838文字閉じられた組織は、開かれた組織を目指すのではなく、開かれているかのように見える組織を目指す。イメージを作り、そのイメージにヒビが入らないように、閉じられた組織で守り抜こうと試みる。 『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』(森功著・東洋経済新報社・1980円)を読み終えて、そんなことを思う。どん
-
今週の本棚
『宮﨑駿イメージボード全集1 風の谷のナウシカ』
2025/2/8 02:01 133文字著者が映画の構想を練る過程で描いた絵の数々を収めた『宮﨑駿イメージボード全集1 風の谷のナウシカ』(宮﨑駿著・岩波書店・4620円)より、「ナウシカ」の連載開始に際した予告カットの試し描き(©Hayao Miyazaki)。同全集2『天空の城ラピュタ』など続刊も。
-
-
今週の本棚
橋爪大三郎・評 『論理的思考とは何か』=渡邉雅子・著
2025/2/8 02:01 1377文字(岩波新書・1012円) ◇目的で手法を変える、脱固定概念 論理と論理的思考は別ものである。この発見から拡(ひろ)がる世界。前向きにモデルを構築していく。 発端は著者のアメリカ留学だ。エッセイを何回書き直しても突き返される。英語のせいではないようだ。思い切って順番を入れ換え結論を先にしてみたら、い
-
今週の本棚
中島岳志・評 『手段からの解放 シリーズ哲学講話』=國分功一郎・著
2025/2/8 02:01 1352文字(新潮新書・968円) ◇「いま」とは何か?従属する消費社会 現代社会は、「いま」を失っている。子供の時には受験のために「いま」を犠牲にし、若者は、就職後もキャリアアップのために「いま」を酷使する。中年になれば老後のために資産運用をしろと言われ、老齢になると死に備えた終活が重要だと言われる。「いま
-
今週の本棚
『戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ』=清田隆之・著
2025/2/8 02:01 504文字(太田出版・2090円) 女は男が体験しないですむ気遣いやケアを背負わされる場面が多く、それは苦痛だが周囲からは見えにくい。来客の手土産のケーキを給湯室で切り分け、ひと切れずつ皿に移しながら呪詛(じゅそ)の言葉を吐いている女性社員の姿が視野に入らない人は、まだまだいる(あとで皿も洗うんですよ)。「
-
今週の本棚
『ゴッホ 麦畑の秘密』=吉屋敬・著
2025/2/8 02:01 488文字(筑摩選書・2200円) 誰もが知るポスト印象派絵画の大家、ファン・ゴッホ。37歳で終わった天才の生涯を、ゆかりの地をたどりながら、丁寧に考察した。旅行気分も堪能できる私的な評伝である。 著者は小学生の時にゴッホに出会い、20歳でゴッホを慕って祖国オランダへ留学。その後、画家、エッセイストとして6
-
今週の本棚
『アッシリア全史』=小林登志子・著
2025/2/8 02:01 503文字(中公新書・1364円) 長年、夏の休暇をヨーロッパで過ごしてきたせいで、ロンドン大学内の研究所に近い大英博物館は昼休みの散歩道だった。1階の左奥にあるアッシリア回廊は訪れるたびに、その壮観さに圧倒されるほどだ。アッシュル・バニパル王の獅子狩りや馬上で弓ひく姿は勇ましい。でも、戦場は嫌い、狩猟は好
-
-
今週の本棚
『漢方を交えた医療論 和漢診療学からの提言』=寺澤捷年・著
2025/2/8 02:01 508文字◇寺澤捷年(かつとし)・著 (医学書院・5500円) 検査しても異常なく、薬も効かない。16年間続いた毎朝の吐き気が、漢方診療を受け、処方された漢方薬を飲んだら3日で消えた――。そんなことが漢方診療では度々起こる。著者は漢方と西洋医学の両方を活用して診療を続け四十余年。「漢方の知恵を活(い)かした
-
今週の本棚・CoverDesign
鈴木成一・選 『うつわ』
2025/2/8 02:01 155文字美しい。写真面は題箋を模した空押(からお)し。艶(つや)消し銀箔(ぎんぱく)文字はそっと添えられて、佇(たたず)む器と呼応する。器まわりの澄んだ気配、ゆったり流れる時間までもが装丁されている。 ◆ 著者が出合った器の数々をエピソードと共に紹介する『うつわ』(石村由起子著・青幻舎・3300
-
今週の本棚
『ドイツの心ととのうシンプルな暮らし365日』=久保田由希・著
2025/2/8 02:01 455文字(自由国民社・1870円) ドイツという国の名を聞き、思い浮かぶ名やイメージは実にさまざまだ。黒い森、グリム童話、論理的思考、ベルリンの壁、文豪ゲーテ、環境先進国、ポルシェ、質実剛健、ロマンチック街道、徹底した整理整頓、ビール、ソーセージ――挙げ始めれば切りがない。が、それらはかの国の実像を的確に
-
自閉スペクトラム症児を育てる親へ 専門家が“手助け”本 県立大の藤田久美教授が出版 /山口
2025/2/7 05:04 505文字自閉スペクトラム症児を育てる親を専門家の知見で手助けしようと、県立大(山口市)社会福祉学部の藤田久美教授(特別支援教育)が「はじめての自閉スペクトラム症児の子育て 幼児期の子どもを育てる家族へのメッセージ」を出版した。藤井教授は「子どもは必ず成長している。子どもの今の状態を、ありのまま認めてほしい
-
被爆実態の一端、書き継ぐ 神戸の作家 小説出版 旧医科大生の救護活動 多くの人に /長崎
2025/2/6 05:08 501文字神戸市の児童文学作家、鳥居真知子さん(73)が、原爆で甚大な被害を受けた旧長崎医科大(現長崎大医学部)の学生が被爆者救護に奔走する姿を描いた小説「被爆した長崎医科大へ 神戸から」を出版する。長崎大で4日、記者会見し「当事者には及ばないが、原爆の実態を一端でも次の世代に継承したい」と話した。 大学の
-

