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気候変動
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(1)世界平均気温の推移
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会の報告書によると、気温上昇は1970年以降特に顕著で、西暦の過去2000年間で経験したことのないスピードで上がり続けている。
最近の20年間(2011~20年)の世界の平均気温は、産業革命前(1850~1900年の平均値を代理の指標として採用)より1・09度高い。過去10万年以上の期間の中で最も温暖だった時代でも、1850~1900年比では0・2~1度高い程度で、今世紀に入ってからの気温はそれを上回っている。
世界気象機関(WMO)によると、21年の平均気温は産業革命前より1・11度高かった。米カリフォルニア州のデスバレーでは同年7月に54・4度を観測。日本でも、北海道が「熱波」に見舞われた。最近の傾向から見れば、平均気温はそれほど高くならなかったように見えるが、これは南米ペルー沖の海面水温が平年より低い状態が続く「ラニーニャ現象」の影響と考えられるという。
(2)大気中の二酸化炭素濃度の推移
18世紀に英国で始まった産業革命以降、人類は石炭など大量の化石燃料を燃やしてエネルギーとして使ってきた。人口増加や経済発展に伴ってその使用量は増え、結果として二酸化炭素(CO2)を出し続けている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会が2021年に公表した報告書は、1750年ごろ以降の温室効果ガス濃度の増加は、「人間の活動が原因であることは疑う余地はない」と断定している。
氷床などの分析に基づく米海洋大気局(NOAA)のデータによると、過去2000年あまりの間、世界の平均濃度は長らく270~285PPM程度で推移していたが、18世紀半ば以降、過去に例のないペースで急増。今年4月には月平均濃度が420PPMを超えた。
地球の歴史の中でも、現代と同じく温暖だった間氷期はCO2濃度が非常に高かったが、それでもせいぜい300PPM程度だ。過去80万年で最もCO2濃度が高い時代を迎え、濃度は毎年過去最高を更新している。上昇が止まる兆しはまったく見えない。
(3)二酸化炭素の累積排出量
人間活動に起因する温室効果ガスのうち、二酸化炭素(CO2)の多くは石炭や石油といった化石燃料を燃やすことで排出される。
長い間、排出大国は産業革命発祥の地の英国、米国など欧米が中心で、日本も経済成長に伴って排出を増やしてきた。世界の覇権争いの変遷を追うように、近年は中国など新興国の排出量が急増している。
排出されたCO2は長期間、大気中にとどまり続ける。既に世界各地で悪影響をもたらしている地球温暖化は過去の排出によるものだ。産業革命以降の累積排出量を見ると、近代化が早く進んだ米国と英国、現在の欧州連合(EU)圏が約半分を占める。今の温暖化に対する先進国の「歴史的責任」が指摘され、率先した輩出削減などが求められるのはこの理由からだ。
累積排出量における日本のシェアも4%と決して少なくない。一方、今や中国が14%、ロシアは7%を占めるようになり、今後の気候変動を止めるには新興国などの対策強化が欠かせない。
(4)上位10カ国の排出量、1人当たり排出量
世界全体で1年間に排出される二酸化炭素(CO2)のうち、約7割は上位10カ国からの排出が占めている。
現在の最大の排出国は中国だ。世界銀行によると、2005年に米国を抜いて首位となり、今や1国で世界全体の約3割を出している。
中国は、総発電量の約6割をCO2排出量の多い石炭火力でまかなっている。第3位のインドは約7割、第5位の日本も約3割を石炭火力に頼る。世界では排出削減に向けて、脱石炭の潮流が明確だ。
一方、国民1人当たりの排出量では、米国やカナダ、日本、ドイツといった先進国が突出して多い。中国でさえ米国の半分程度だ。途上国では電力にアクセスできない国民も少なくなく、「経済発展のために今後もCO2を出し続ける権利がある」という声もある。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第3作業部会の最新の報告書によると、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を「1・5度」に抑えるには、遅くとも2025年までに世界の温室効果ガス排出量を減少に転じさせる必要がある。これまでは先進国が排出削減に向けた対策を主導してきたが、気温上昇を抑えるには、中国やインド、ロシアといった排出上位国を巻き込んでいく必要がある。
(5)排出ギャップ
2015年に採択された気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」は、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前から2度より十分に低く、できれば1・5度に抑えることを目指す。
この数年で国際社会は努力目標だった「1・5度」に軸足を移し、21年に英グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、「1・5度」を事実上の世界共通目標にすることに合意した。わずか0・5度の差でも、人類や生態系に与える影響を相当小さくできることが分かってきたからだ。
パリ協定の下で、世界の国々はそれぞれ、30年や50年までの温室効果ガス排出削減目標を決めている。国連環境計画(UNEP)の報告書によれば、すべての国が自ら掲げた30年までの目標を達成したとしても「1・5度」には全く手が届かず、21世紀末までに「2・6度」に達すると予測される。
すべての国が30年目標を満たし、かつ今世紀半ばまでに排出実質ゼロを実現した場合には、60%を超える確率で上昇幅を1・8度まで抑えられる可能性が残るという。それでも1・5度という目標達成に向けた世界の努力は圧倒的に足りない。
地球の平均気温を一定の目標に抑えるための累積二酸化炭素(CO2)排出量の上限は「カーボンバジェット(炭素予算)」と呼ばれる。1・5度目標を達成するための「予算」は底が尽ききかけ、「30年までの取り組みが分岐点」とされる。
人間活動が原因の地球温暖化によって、世界の平均気温は既に1・1度上昇している。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会が21年に発表した報告書によると、50%の確率で「1・5度」に抑えるために許容されるCO2排出量は残り500ギガトン程度と見積もられている。現在の世界の年間排出量は約50ギガトンで、10年程度で許容量を越える。分岐点が「30年まで」とされるゆえんだ。
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