連載
憂楽帳
50年以上続く毎日新聞夕刊社会面掲載のコラム。編集局の副部長クラスが交代で執筆。記者個人の身近なテーマを取り上げます。
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過労死ライン
2024/12/11 13:06 444文字過労死ラインは労災認定する際の重要な要素で、時間外労働を月平均80時間などとするものだ。労災認定の基準は、この過労死ラインを超えていなくても、身体的な負荷も加味して総合的に評価するよう改定された。ただ専門家は、改定後も時間外労働の数字を優先して判断されるケースは少なくないと訴える。 6年前、兵庫県
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献血を楽しむ
2024/12/10 13:12 468文字自分の血液はまだ役に立つのか。還暦を迎えて気になるようになり、定期的に献血に通っている。職場がある静岡市葵区のビルに、たまたま「献血ルーム・あおば」が入居し利用した。 血液型を告げると指先から採血され、ヘモグロビン濃度を測る。400ミリリットルの献血で、男性は1デシリットル当たり13グラム以上、女
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マイナ保険証
2024/12/9 13:10 461文字「マイナ保険証」を使って医療機関にかかる際、過去の医療情報の提供に同意するかどうかの確認を求められる。この同意確認を巡り、窓口でマイナ保険証を読み込む端末(カードリーダー)の画面表示が10月7日から変更された。 細かなデザインやメッセージは各施設や端末メーカーによって異なるが、基本的には、手術、薬
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「大戦」の伝え方
2024/12/7 13:13 462文字第一次世界大戦で、中立国だったはずのベルギーもドイツから侵攻を受け、戦禍に巻き込まれた。西部イーペルは英仏軍などと独軍などがぶつかる最前線となり、初めて毒ガスも使われた。戦禍を記録する「イン・フランダース・フィールズミュージアム」を11月に訪れた。 個人の写真や品物を展示し、一人一人が戦争とどう関
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痛みへの理解
2024/12/6 13:10 452文字「あ、痛い、イタタタ……」。会議室で男性が次々と顔をゆがめた。男性幹部が女性の月経について学ぶ大手製薬会社の研修での一幕だ。男性たちは、下腹部に電極をつけて月経痛を疑似体験できる装置を用いた。ベンチャー企業「大阪ヒートクール」が開発したもので、企業の研修での需要が増えている。私も試すと内臓がグググ
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反発力
2024/12/5 13:12 462文字スポーツは事前の予想を覆す結果になることがある。新たな方式になった今年の全日本大学アメリカンフットボール選手権がそうだった。 全国大会のトーナメント方式だが、これまで決勝の「毎日甲子園ボウル」は、関東と関西の代表校による東西対決が続いた。今年から大会活性化のために関東、関西の出場枠が1から3に増え
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注意のワンストップ
2024/12/4 13:16 449文字ズワイガニや神戸ビーフ……。各地の特産品を返礼品として楽しめることで人気の「ふるさと納税」は例年12月に入ると、各自治体に寄付申し込みが集中する。年間の給与収入などがほぼ確定し、寄付上限額の見通しがつくからだ。私の住む兵庫県尼崎市では2023年12月の寄付件数は前月の3倍だった。 尼崎では確定申告
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鳥居の鬼コ
2024/12/3 14:05 0文字 -
鳥居の鬼コ
2024/12/3 13:08 450文字青森県の津軽地方の神社には、地域の住民から親しみを込めて「鬼コ」と呼ばれる、小さな鬼がいる。鳥居の額をかける部分にちょこんと座り、周囲ににらみをきかせている。 「人々を災いから守る良い鬼とされています」。鶴田町の観光ガイド、花田澄子さん(72)はそう話す。水害が多発した岩木川流域の神社などで約50
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スーパー官僚
2024/12/2 13:07 455文字過去の年賀状を整理している時、一枚のはがきが目に留まった。「また一杯やるか」。たった一言、癖のある字だ。 差出人は大阪市の元副市長、村上龍一さん。2012年、当時の橋下徹市長が「スーパー官僚」と絶賛して職員から起用した。 橋下氏は大阪維新の会を率い、大阪市を解体して特別区に再編する「大阪都構想」を
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さよなら「西郷さん」
2024/11/30 13:22 473文字先日亡くなった俳優の西田敏行さんは、鹿児島の人たちにとっては「西郷さん」だった。34年前に放送された大河ドラマ「翔(と)ぶが如(ごと)く」で演じた西郷隆盛があまりに鮮烈だったからだ。 「演じている時は魂まで西郷さんだった」。方言指導を担当し、西郷の側近の薩摩藩士、篠原国幹(くにもと)も演じた鹿児島
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男性育休3割の裏で
2024/11/29 13:07 459文字厚生労働省によると、2023年度の男性の育休取得率は30・1%と初めて3割を超えた。その半面、半数以上が取得しないのはなぜか。22年度の同省の調査を見ると、正社員では「収入を減らしたくなかった」に続き、「職場の理解がなかった」「自分にしかできない仕事があった」「業務が繁忙」が理由の上位に入った。
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命を守る重さ
2024/11/28 13:07 455文字非常食などが入り災害時の避難に役立つ防災バッグ。今月公開されたアマノフーズによる全国800人への調査では、所有率は53%にとどまった。「さて、用意しよう」と思っていた矢先に知った調査結果だったが、意外な盲点も浮かび上がった。バッグの重さだ。 調査では被災経験者と非経験者それぞれ400人に尋ねたが、
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日々失われる命
2024/11/27 13:06 418文字「毎日約7人、仕事が原因で亡くなっています」。11月22日、京都市内で開かれた過労死防止対策について考えるシンポジウムで、労働問題に詳しい川人博弁護士が語った一言に衝撃を受けた。 警察庁の最新の統計によると、超過勤務など仕事を原因とする自殺者は年間約2800人いる。1日当たり約7人が亡くなっている
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模型の世界首都
2024/11/26 13:20 447文字赤と青地に白い「☆」のマーク。静岡市ではプラモデルメーカー「タミヤ」の大きな看板をあちこちで見かける。マニアには、なじみのロゴである。 私も小学3~5年の1970年代、戦車や戦闘機、全長1メートルもある戦艦大和に夢中になった。小遣いやお年玉では足りず、自宅に転がるコーラやビールの空きビンを酒屋で小
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政府の覚悟
2024/11/25 13:08 456文字国のエネルギー政策の中長期の方向性を示す「エネルギー基本計画(エネ基)」の改定に向けた議論がヤマ場を迎えている。3年をめどに見直し、今回は2040年度の電源構成目標を盛り込む。年内にも素案がまとまる見通しだ。 「エネ基なんてやめたらいいのに」。あるエネルギー業界関係者は先日、こうこぼした。現状(2
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危険生物
2024/11/22 13:11 460文字最近、5歳の長女が手放さないのが図鑑「危険生物」だ。人に危害を加える恐れがあったり毒があったりする動物や植物が掲載されている。図鑑セットのうち、王道の動物や恐竜、昆虫などには目もくれず、むさぼり読む姿に、半ば「大丈夫かな?」と不安に思うほどだった。 ところが調べてみると、この図鑑、実はベストセラー
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自主性の綱引き
2024/11/21 13:08 464文字ずっと話を聞きたかった高校の同期がいた。母校の野球部監督として近年、甲子園にあと一歩まで迫っていた竹内智一さん(43)。どんな指導をしているのか気になり、会いに行った。 1960年代に2度センバツに出場し、激戦区・神奈川で古豪と呼ばれる鎌倉学園。2013年に監督に就任すると、18年夏に南神奈川大会
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喝采待つ劇場
2024/11/20 13:11 454文字「博物館になっては劇場の意味がない」。福岡県飯塚市の木造芝居小屋「嘉穂(かほ)劇場」は2003年の豪雨水害で、回り舞台や升席が泥水に浮いた。劇場3代目の伊藤英昭さん(75)は、文化財として見学するのではなく、公演を楽しむ満席の劇場に戻す決意をこう語っていた。 旧産炭地・筑豊の「大衆演劇の殿堂」とし
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トド寝の聖地
2024/11/19 13:08 466文字6人ほどが入れるヒバの浴槽に、勢いよく源泉掛け流しの湯が注ぐ。その脇で寝転び、あふれる湯にひたる人たち。「古遠部(ふるとおべ)温泉」(青森県平川市)は、「トド寝の聖地」と呼ばれる。初めて訪れた時、毎分500リットルの湧出(ゆうしゅつ)量と、ユニークな入浴法に驚いた。秋田県との境という不便な地ながら
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