連載
女の気持ち
読者の皆様からの投稿欄「女の気持ち」。「男の気持ち」「わたしの気持ち」とともに出来事や悩みなど「時代の心」を映しています。
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兄を思う 北九州市八幡西区・只松たより(81歳)
2024/10/5 05:04 561文字本紙「みんなの広場」の「憧れだったアラン・ドロンさん」を読み、60年以上前の冬のひと月の出来事を思い出した。次兄が20歳ぐらいの時、誰に相談することもなくブラジルに移民すると決め、研修、手続きなどすべて済ませ、日本を離れる最後のひと時を古里で過ごすため東京から帰ってきた。 当時、娯楽といえば映画く
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雀百まで 和歌山県橋本市・森井玲子(無職・78歳)
2024/10/5 05:04 565文字終戦から数年がたち、復興に向けて人々が懸命に生きていた時代です。私はお寺の中に建てられた幼稚園に通うのが楽しくて、毎日ウキウキでした。2クラスあり、近所のカヨちゃんのクラスが遅いときは外で待って、子供の足で二、三十分かかる道のりを一緒に歩いて帰りました。 私は好奇心旺盛な女の子で、家に帰ると「今日
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二つのリスト 埼玉県三郷市・中山千都子(無職・63歳)
2024/10/5 02:01 513文字2年前に仕事を退職したとき、家の中は「できていないこと」だらけだった。 片づけられていないものがあちこちにあり、修理や交換が必要なものもいろいろあった。これからは「やらなければならないことリスト」を作って、一つずつやっていこうと決めた。 荷物の整理をするため、押し入れの中のものを出してみた。すると
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旅立った母さん 北九州市小倉南区・三吉芳枝(82歳)
2024/10/4 05:07 547文字105歳の天寿を全うして母が5月に旅立ちました。くしくも私の生まれ月でした。私が生まれた時には父は戦病死でおらず、どんなにか心細かったことでしょう。それからの日々は今の私では計り知れないものがあったのでしょう。その日から母と私の2人の長い長い人生の旅が始まりました。 母が再婚して養父ができましたが
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ゆっくり大切に 大阪府茨木市・吉川美智代(無職・85歳)
2024/10/4 05:07 532文字気ままな老後生活を送っていた80歳の頃、突然肺がんの宣告を受けた。手術の後で医師の説明を聞き、死も遠くないと覚悟した。 その頃、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、怖くて外出もできない日が続いた。毎日、抗がん剤を飲みながらの生活の中で、夫の体もどんどん弱っていき、私が介護する老老介護の難しさも知
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認知症の母と 東京都練馬区・石崎理恵(主婦・68歳)
2024/10/4 02:01 554文字94歳の母は難聴で、圧迫骨折のせいで背中は少し曲がっているけれど足腰に支障はない。認知症は少しずつ進んでいる。最大の症状は「もの取られ妄想」。施設の自室にある老眼鏡や便箋、ペン、住所録、テレビのリモコンなどが、頻繁に出没する「見えない泥棒」に取られてしまう。 泥棒が入るからと食事途中に部屋に戻るよ
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思春期のツボ 京都府長岡京市・金子絵理(主婦・45歳)
2024/10/3 05:10 517文字中学1年生の長男は思春期真っただ中。こちらが話しかけても、「知らん」「うん」「はい」「わかった」。こんな程度のやりとりにしかならないことが増えてきた。 ある日の晩ご飯に焼きそばを出した。野球部の部活で弁当が必要になることが多く、色味を考えるのが面倒なため久しぶりに買った赤いウインナーも使った。 赤
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言葉のパワー 長崎市・黒田田鶴子(主婦・78歳)
2024/10/3 05:09 569文字汗だくになって買い物帰りの道をフーフー言いながら歩いていたら、中学校の校庭横の道路の花壇に目が留まった。日々草(にちにちそう)の白と桃色と赤い花々、サルビアの花が手入れされて、しっとりとした土の上に咲き誇っていた。どの花も暑さなど物ともしないように、元気にしゃんと立っている。「わーきれいだ」と思わ
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同期の歌 東大阪市・田中えみこ(主婦・59歳)
2024/10/2 05:24 554文字先日、友人から連絡がきた。ある雑誌に自分の作品が掲載されたとのこと。私は本屋に急ぎ、雑誌を買った。友人の名前と、彼女が詠んだ短歌がそこにあった。 友人とは大学を卒業後、最初に配属された高校で出会った。大した覚悟もないまま教員になった私は、目が回るような毎日だった。周りの先輩たちはいつも堂々として、
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進化 福岡県古賀市・下田緑(主婦・67歳)
2024/10/2 05:23 563文字夫は兄の友人で、出会って10年目に結婚した。一緒になってみて意外と忘れっぽい人なんだと気がついた。「ランドセルを忘れて登校した」とか「中学校の夏休み明けに制服ではなくランニングシャツと半ズボンで朝礼に出た」とか夫の家族が楽しそうに話してくれた。2人の暮らしでも、海外旅行と仕事のダブルブッキングには
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元気をもらう 茨城県ひたちなか市・小泉智子(主婦・64歳)
2024/10/2 02:00 543文字9年前までフルタイムで働いていて、昼間テレビを見る時間はなかったし、もともと米大リーグにはあまり興味がなかった。退職後も、夫が居間でエンゼルス戦のテレビ中継を見ているそばで、あら大谷翔平選手ってかっこいい、くらいの気持ちで何となく見ていた。 そのうちエンゼルスの選手たちの特徴を覚え、先発投手や打順
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小さな一歩 北九州市八幡西区・中田公代(主婦・78歳)
2024/9/30 05:05 574文字10年ほど前、本欄に「わが家の文化遺産」と題して、姑(しゅうとめ)から娘たちにプレゼントされたピアノのことを投稿した。娘たちは数年でピアノから遠ざかり、ピアノの上には家族の思い出の写真が並んでいた。その後、孫たちが習い始めて再びピアノが復活。亡き姑も喜んでくれているだろうと感謝の気持ちを新たにした
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祈り通じる 京都市東山区・福井康子(主婦・82歳)
2024/9/30 05:05 555文字今月上旬、大阪府羽曳野市で卓球の大会があった。初めて行く会場のため、6月に下見に行った。私が住む京都市内からは電車を5回も乗り継ぐ必要があり、乗車券と特急券も早めに購入した。大事な試合なので、準備万端整えた、つもりだった。 当日朝、当番のお地蔵さんの世話を済ませ、朝食を十分に取り、予定の電車に乗っ
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雷さま 福岡県岡垣町・松本梨江(86歳)
2024/9/29 05:17 568文字深夜、ベッドで激しい雨音を聞きながら、朝からの心配事にもんもんとしていると、予報通り「雷さま」がとどろいた。タオルケットを頭からかぶり、こちんと固まる。 幼い頃、おへそをとられかけたわけでもないのに「雷」なんて呼び捨てにできないほど怖い。子供の頃は父か母の背に、結婚後は夫の背にしがみついて「雷さま
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不自由さゆえに 滋賀県守山市・村城素子(主婦・61歳)
2024/9/29 05:16 529文字春の朝の出勤時、自転車で走っていると、前方から来た車にはねられた。一時は生死の境をさまよった。目覚めた時、動くこともできず、「どうして私が」と思いながら、どうすることもできない日々が続いた。勤めていた保育園の園児たちの顔が浮かび、涙が頰を伝った。 それでもなんとか現場復帰したくて半年間リハビリに励
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ヒガンバナ 東京都練馬区・古川春美(無職・74歳)
2024/9/29 02:00 529文字今年もヒガンバナが真っ赤な花をつけた。ヒガンバナは私にとって、忌み嫌う怖いイメージの花だった。 郷里での幼少時、何キロも歩いて小学校へ通った。田んぼのあぜには真っ赤なヒガンバナが咲き誇っていた。祖母や母から「ヒガンバナを持って帰ると家が火事になるよ」と教え込まれていた私は、触ることもせず顔を背けて
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足して400歳 福岡県福津市・坂井紀子(主婦・80歳)
2024/9/28 05:07 554文字四つ目のポーチが仕上がった。フーッとひと息、ボトルの氷水をガブリと飲む。病気で2カ月近く入院したある日、遠路見舞いに駆けつけてくれた4人の友人へ私からのお礼に縫ったのだ。 私を含めた5人は同じ小学校を卒業した同級生だ。その後の年月、それぞれの目指した学校、就職先、結婚など歩んだ道は違っていたにもか
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真に必要なもの 岡山県玉野市・有友紗哉香(アルバイト・41歳)
2024/9/28 05:06 543文字まだ開けていないティッシュの箱。冷房対策のひざ掛け。使い捨てカイロ。小さな傷が目立つフェースシールド……。出てくるもの全てが懐かしく、いとおしい。にもかかわらず、存在を忘れてしまっているものの多さにがくぜんとした。 9月末に11年働いた会社を辞める。少しずつロッカーの私物を片づけていると、使ってい
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日本酒と出合う 東京都青梅市・小宮ゆかり(会社経営・62歳)
2024/9/28 02:01 537文字60年を超えて生きてきた。本業の傍ら営んでいるショットバーも12年を超えた。自分のお酒の好みぐらい知っているつもりだった。 ここ数年通う居酒屋で、某有名ホテルのソムリエだった男性に出会った。もちろんワインが本職だろうが、この居酒屋では日本酒のほうが多く取りそろえてある。 カウンターの中にいる彼に好
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早朝の玄関先で 宮崎県延岡市・源島啓子(主婦・76歳)
2024/9/27 05:06 556文字朝5時半ごろになると新聞配達のバイクの音がだんだんと近くなる。日ごろ新聞を届けてくれている配達員の方にお礼を言おうとある朝、門扉の前で待っているとバイクが止まった。「おはようございます」と声を掛け合う。私は「いつも朝早くからご苦労様です」と言い「どうぞ」と菓子袋を差し出した。 「ありがとうございま
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思い出ノートの作り方
昔を思い出してノートに書きとめることは脳の活性化にもつながります。公益財団法人「認知症予防財団」の監修の連載です。
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今週の気持ち
投稿コラム「女の気持ち」「男の気持ち」から1本を選び、担当記者が紹介します。

