連載
水説
毎日新聞朝刊に毎週水曜に掲載している記者コラム。2024年3月からは赤間清広・専門記者が担当します。
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「ミスター普通」の決断=赤間清広
2024/9/25 02:01 990文字<sui-setsu> 米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)の影響力は絶大だ。 トップである議長は「大統領に次ぐ権力者」とも言われる。発言一つで世界が大きく動くからだ。 歴代議長の顔ぶれはまさに多士済々といった観がある。 1987~2006年の約20年にわたりFRBを率いたのが、アラン・
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自由と保護主義=赤間清広
2024/9/18 02:01 976文字<sui-setsu> 経済に国境はない。共通のルールを守りながら、国籍に関係なく品質やサービスを競いあえる自由な空気こそが発展の源泉だ。 外国企業との合併・買収(M&A)や事業の提携も、今や当たり前となっている。 だが、ほんの少し前まで国内の雰囲気はまるで違った。 海外の企業やファンドから買収提
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「価格」は誰のものか=赤間清広
2024/9/11 02:00 1008文字<sui-setsu> 手元に本があれば、裏表紙を見てほしい。税抜きの本体価格の脇に「定価」と書いてあるはずだ。 一方、加工食品などのメーカー発表価格を調べると「希望小売価格」と表示しているものが目立つ。何が違うのか。 あらかじめ決めた価格で販売する「定価」の強制は独占禁止法で禁じられている。小売
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菓子業界の地殻変動=赤間清広
2024/9/4 02:02 1002文字<sui-setsu> 快進撃が止まらない。2021年に長年君臨していた王者をかわすと、その後はぐんぐん差を広げている。ファンも新顔に夢中だ。 スポーツの話ではない。栄枯盛衰が激しい菓子業界で起きた歴史的な地殻変動のことである。 王者から陥落したのはガム。国内市場はこの20年で6割減となり、「キシ
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立体パズルの王様=赤間清広
2024/8/28 02:00 1005文字<sui-setsu> おもちゃ業界に革命を起こした偉大な発明は1974年、ハンガリー・ブダペストにある大学の一室で生まれた。 建築学を教えていた教員が、学生のために27個の木のブロックを組み合わせ立方体の模型を作ってみせたのが始まりだ。 教員の名前は、エルノー・ルービック。彼の模型を発展させた「
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ビアガーデンの復活=赤間清広
2024/8/21 02:01 986文字<sui-setsu> 酷暑で気分がめいると、ついつい足を運んでしまう場所がある。ビアガーデンだ。 唐揚げや枝豆をつまみに、ひたすらジョッキでビールをあおる――。こんなイメージはもはや過去のものだ。 先日、足を運んだのは高速バス大手WILLER(ウィラー)が今夏から始めたレストランバスのビアガーデ
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暴落は止められるか=赤間清広
2024/8/7 02:00 1008文字<sui-setsu> 1987年10月19日、月曜日。異変は香港から始まった。株式市場が大幅下落し、その波が勢いを増して米国や欧州に拡大した。 ニューヨーク市場のダウ平均株価は22・6%も急落。翌20日の東京株式市場の日経平均株価の終値も3836円安となり、史上最大の下げ幅を記録した。 「ブラッ
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「蚊取り線香」がつなぐ縁=赤間清広
2024/7/31 02:01 992文字<sui-setsu> 地中海原産の多年草「除虫菊」の栽培が日本で始まったのは1887(明治20)年。和歌山県出身の上山英一郎が米国の植物会社から種を仕入れ、広めたことがきっかけだったとされる。 その名の通り、除虫菊の花には虫を死へ追いやる成分が含まれている。米国では家畜のノミ取り粉などとして重宝
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エンゲル係数の警告=赤間清広
2024/7/24 02:02 982文字<sui-setsu> エンゲル係数に異変が起きている。家計の消費支出に占める食品の割合を示す有名な経済指標である。かつて学校で習ったという人も多いだろう。 世界に広がったのは19世紀。ドイツの統計学者、エルンスト・エンゲルの論文がきっかけだ。 日々の食卓などに欠かせない食品は、他のものに比べ削り
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「日本食」躍進、陰の主役=赤間清広
2024/7/17 02:00 954文字<sui-setsu> 外国を訪ねる際、楽しみにしていることがある。地元のスーパーマーケット巡りだ。棚に並んだ食材や店内を行き交う人々を眺めていると、その国の生活のにおいが感じられる気がするからだ。 そんな海外スーパーで最近、目に見えて増えているものがある。日本食だ。 保存がきく加工品だけではなく
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広報人のプライド=赤間清広
2024/7/10 02:01 980文字<sui-setsu> 「考えるたびに背筋が寒くなるんです。自分だったら、どうするだろうと」 いつも柔和な人の表情から笑顔が消えていた。上場企業の広報部門で責任者を務める男性である。 企業広報には二つの役割がある。まず求められるのは商品やサービス、企業理念など自社の強みをアピールする仕事だ。 これ
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国家VS偽造団=赤間清広
2024/7/3 02:00 996文字<sui-setsu> 偽札をつかまされたことがある。それほど昔ではない。2016年、中国・北京での出来事だ。 食品を買うために入った小さな商店で100元札(日本円で2000円強)を出したところ、「これは偽物だ」と突き返された。 日本で偽札を目にする機会はめったにない。しかし、海外の事情はだいぶ異
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豆腐屋、伝統油を搾る=赤間清広
2024/6/26 02:00 1009文字<sui-setsu> おいしいものを食べると、思わず人に勧めたくなる。誰にでも、そんな「逸品」があるだろう。 私の一推しは、福島県会津若松市にある「平出油屋」が作る菜種油。時間をかけてじっくり搾る「玉締め圧搾法」の伝統を守る全国でも数少ない店だ。 平出の油を料理に使うと一切、しつこさがないことに
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シン「荒野の七人」=赤間清広
2024/6/19 02:00 1007文字<sui-setsu> 1960年製作の西部劇映画「荒野の七人」。原題の「マグニフィセント・セブン」は「壮大な7人」という意味になる。 原作となったのは黒沢明監督の名作「七人の侍」だ。舞台を西部開拓時代に、主人公を侍からガンマンに改変した「荒野の七人」も大ヒットし、続編やリメーク版が次々と作られた
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スイカゲームの秘密=赤間清広
2024/6/12 02:00 1017文字<sui-setsu> 任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」のダウンロードランキングで、2023年のトップになったのが「スイカゲーム」だ。 画面の上から落ちてくる同じ種類の果物同士を組み合わせ、より大きな果物に進化させていくパズルゲーム。シンプルなゲームなのに、時間を忘れて熱中してしまう不思議
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「日本製」は信頼できる?=赤間清広
2024/6/5 02:00 1003文字<sui-setsu> 最も信頼できる国は、日本。オーストラリアのシンクタンク、ローウィー国際政策研究所が実施した国民調査で、こんな結果が出た。 アジアで最良の友人は?という質問でも日本が3年連続でトップに輝いている。 オーストラリアだけではない。国際的に見ても、日本は「信頼に足る国」との認識が比
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「乗れない」時刻表=赤間清広
2024/5/29 02:00 991文字<sui-setsu> 前々から不思議に思っていた本がある。「貨物時刻表」。文字通り、貨物列車の発着時間をまとめた一冊だ。 内容に問題があるわけではない。興味深いのは、一般の人が利用できない「乗れない列車」の時刻表なのに、なぜか毎年、大売れしているという現実だ。 書店の中には年間の書籍売り上げラン
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コーヒーが消える日=赤間清広
2024/5/22 02:00 994文字<sui-setsu> 先週に続き、世界的な気候変動について語りたい。 気づいているだろうか? スーパーマーケットから、おなじみの商品が消えつつあることを。 オレンジジュースだ。世界最大の生産地、ブラジルで記録的な不作が続き、オレンジ果汁はいま、世界的な争奪戦の様相だ。 日本でも果汁不足が深刻化し
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ビーン・ショック=赤間清広
2024/5/15 02:00 1009文字<sui-setsu> 日本で初めてチョコレートを売り出したのは東京の菓子店「風月堂」だとされる。1878(明治11)年の新聞広告が確認できる。 大正期には大手菓子メーカーがカカオ豆からの一貫生産に乗り出し、チョコは一気に大衆化した。 甘く、ほろ苦い風味と、口溶けに日本人はたちまち、とりこになった
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サトシ・ナカモト=赤間清広
2024/5/8 02:01 995文字<sui-setsu> 経済界にとって今世紀最大のミステリーである。「サトシ・ナカモト」とは一体、何者なのか? 名前の響きから、日本人のような印象を受ける。しかし、その正体は誰も知らない。本人に直接、接触した人がいないからだ。 始まりは2008年、ナカモト氏名義でインターネット上に投稿された論文だ
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