連載
女の気持ち
女性読者からの投稿欄「女の気持ち」。「男の気持ち」とともに出来事や悩みなど「時代の心」を映しています。
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小さな一歩 北九州市八幡西区・中田公代(主婦・78歳)
2024/9/30 05:05 574文字10年ほど前、本欄に「わが家の文化遺産」と題して、姑(しゅうとめ)から娘たちにプレゼントされたピアノのことを投稿した。娘たちは数年でピアノから遠ざかり、ピアノの上には家族の思い出の写真が並んでいた。その後、孫たちが習い始めて再びピアノが復活。亡き姑も喜んでくれているだろうと感謝の気持ちを新たにした
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祈り通じる 京都市東山区・福井康子(主婦・82歳)
2024/9/30 05:05 555文字今月上旬、大阪府羽曳野市で卓球の大会があった。初めて行く会場のため、6月に下見に行った。私が住む京都市内からは電車を5回も乗り継ぐ必要があり、乗車券と特急券も早めに購入した。大事な試合なので、準備万端整えた、つもりだった。 当日朝、当番のお地蔵さんの世話を済ませ、朝食を十分に取り、予定の電車に乗っ
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雷さま 福岡県岡垣町・松本梨江(86歳)
2024/9/29 05:17 568文字深夜、ベッドで激しい雨音を聞きながら、朝からの心配事にもんもんとしていると、予報通り「雷さま」がとどろいた。タオルケットを頭からかぶり、こちんと固まる。 幼い頃、おへそをとられかけたわけでもないのに「雷」なんて呼び捨てにできないほど怖い。子供の頃は父か母の背に、結婚後は夫の背にしがみついて「雷さま
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不自由さゆえに 滋賀県守山市・村城素子(主婦・61歳)
2024/9/29 05:16 529文字春の朝の出勤時、自転車で走っていると、前方から来た車にはねられた。一時は生死の境をさまよった。目覚めた時、動くこともできず、「どうして私が」と思いながら、どうすることもできない日々が続いた。勤めていた保育園の園児たちの顔が浮かび、涙が頰を伝った。 それでもなんとか現場復帰したくて半年間リハビリに励
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ヒガンバナ 東京都練馬区・古川春美(無職・74歳)
2024/9/29 02:00 529文字今年もヒガンバナが真っ赤な花をつけた。ヒガンバナは私にとって、忌み嫌う怖いイメージの花だった。 郷里での幼少時、何キロも歩いて小学校へ通った。田んぼのあぜには真っ赤なヒガンバナが咲き誇っていた。祖母や母から「ヒガンバナを持って帰ると家が火事になるよ」と教え込まれていた私は、触ることもせず顔を背けて
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足して400歳 福岡県福津市・坂井紀子(主婦・80歳)
2024/9/28 05:07 554文字四つ目のポーチが仕上がった。フーッとひと息、ボトルの氷水をガブリと飲む。病気で2カ月近く入院したある日、遠路見舞いに駆けつけてくれた4人の友人へ私からのお礼に縫ったのだ。 私を含めた5人は同じ小学校を卒業した同級生だ。その後の年月、それぞれの目指した学校、就職先、結婚など歩んだ道は違っていたにもか
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真に必要なもの 岡山県玉野市・有友紗哉香(アルバイト・41歳)
2024/9/28 05:06 543文字まだ開けていないティッシュの箱。冷房対策のひざ掛け。使い捨てカイロ。小さな傷が目立つフェースシールド……。出てくるもの全てが懐かしく、いとおしい。にもかかわらず、存在を忘れてしまっているものの多さにがくぜんとした。 9月末に11年働いた会社を辞める。少しずつロッカーの私物を片づけていると、使ってい
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日本酒と出合う 東京都青梅市・小宮ゆかり(会社経営・62歳)
2024/9/28 02:01 537文字60年を超えて生きてきた。本業の傍ら営んでいるショットバーも12年を超えた。自分のお酒の好みぐらい知っているつもりだった。 ここ数年通う居酒屋で、某有名ホテルのソムリエだった男性に出会った。もちろんワインが本職だろうが、この居酒屋では日本酒のほうが多く取りそろえてある。 カウンターの中にいる彼に好
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早朝の玄関先で 宮崎県延岡市・源島啓子(主婦・76歳)
2024/9/27 05:06 556文字朝5時半ごろになると新聞配達のバイクの音がだんだんと近くなる。日ごろ新聞を届けてくれている配達員の方にお礼を言おうとある朝、門扉の前で待っているとバイクが止まった。「おはようございます」と声を掛け合う。私は「いつも朝早くからご苦労様です」と言い「どうぞ」と菓子袋を差し出した。 「ありがとうございま
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令和の米騒動 大阪府枚方市 保科貞子(主婦・74歳)
2024/9/27 05:06 539文字のんきな私はテレビで「米がない」とのニュースが流れているのを見て、「なんで?」と思いつつも、大して気にも留めていなかった。 しかし、スーパーに行って、何気なく米売り場に回ってみるとびっくり! 本当に空っぽになっていた。 新聞には「2023年産米は高温障害で流通量が減少」とか、「インバウンド(訪日客
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娘の選択 さいたま市見沼区・松本志津子(主婦・53歳)
2024/9/27 02:01 553文字昨年の今ごろ、当時高3の娘が突然進路変更したことに悩んでいた。 娘は高3の7月まで、音楽の教員志望だった。中学時代は教育学部音楽科のある国立大を目指せる高校を受験するため塾に通わせ、高校入学後も音楽科入試の必須科目である楽典や声楽の音楽教室へ通わせた。塾代や月謝にどれほど費やしてきただろう。 なの
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ハグできず 三重県伊賀市・川瀬勝子(主婦・81歳)
2024/9/26 06:09 547文字数カ月前から特別養護老人ホームでお世話になっていた夫が6月3日に他界した。急変の電話を受け、駆けつけたが間に合わず、つらく悲しい別れとなった。 その数日前には「薄手のパジャマを届けてください」と連絡があり、用意した。そして、週末には離れて暮らしている息子たちや娘と家族全員で面会に行く予定をしていた
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解放されたい 水戸市・中村美智子(主婦・76歳)
2024/9/26 02:01 547文字6日本欄、家族の食事を作らなくなったという投稿「ひとりごはん」をうらやましく拝読しました。いいなあ。 私は82歳の夫、46歳の息子との3人暮らし。夫は経営していた飲食店を58歳のときに閉め、以来一度も働いていません。当然、家で3度食事をしています。息子は3年前に脳梗塞(こうそく)を起こして退職、4
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足の知らせ 福岡県大牟田市・中村裕子(塾講師・61歳)
2024/9/25 05:07 577文字昭和58(1983)年だったろうか。大学に通う私の元に、母から電話がきた。サイパンの遺骨収集団によって、母の叔父であるマサルさんの遺骨が発見されたと、厚生省(当時)から連絡が入ったのだという。 その前年は、なぜか家族の足のケガが相次いだ。父は自転車で転倒し、足首を骨折。母は段差につまずき、膝を縫う
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父の遺影 兵庫県宝塚市・川西佳代(主婦・65歳)
2024/9/25 05:06 536文字そろそろ子どもたちも巣立つ年齢になった頃、良い機会だと思い、家族写真を撮ることにしました。お宮参りや七五三でお世話になった写真館に予約を入れ、当日は父もお気に入りの帽子とジャケットを着て、笑顔で臨みました。父を中心に6人の家族写真。和やかな雰囲気の中、撮影は無事終了です。 すると、写真館の奥さんが
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ちゃめ 千葉県松戸市・花嶋八重子(英語講師・63歳)
2024/9/25 02:01 532文字9月の雨は寂しい。ひと雨ごとに秋になり、やがて冬が来る。 まだ暖かい、霧のように細かい雨が降る朝、猫のちゃめはいつものように玄関の前で「ニャー」と私を呼んだ。 「今日は雨だからやめたら」と声をかけた私を振り返りもせず、ちゃめは出かけていった。夕方ずぶぬれで帰って来るなあ、と思いつつ彼の後ろ姿を見送
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里芋の花 山口県下松市・岩本ひろみ(主婦・75歳)
2024/9/24 05:24 551文字8月末、裏の畑で里芋の花が咲いた。同じサトイモ科のミズバショウに似た黄色い花だ。私は初めて目にする美しい花に、暑さも忘れてしばし見とれていた。 昨年9月、美祢市で里芋の花が咲いたというテレビのニュースで、私は里芋が開花することを初めて知った。熱帯の東南アジアが原産地なので本州で開花するのは珍しく、
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家庭菜園 和歌山県すさみ町・林美智子(主婦・70歳)
2024/9/24 05:23 550文字少しだけ涼しくなった朝、いつものように犬の散歩をして、朝食を済ませたら、家の周囲の畑や庭を一回りする。 ああ、また雑草が成長している。玄関周りを抜いて、次は家の裏、そして畑へ。抜いても抜いても追いつかない。都会のように玄関を出たらすぐに道路というのは私には無理だが、田舎暮らしも、年を重ねるとともに
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いつか見たい絵 埼玉県川口市・田中雅子(主婦・79歳)
2024/9/24 02:01 530文字北九州市に住む同い年のいとこから、1冊の本が送られてきた。中学の同級生の夫で画家だった原田脩さんについて書かれた本だ。 原田さんが18年前に亡くなったことは風の便りで聞いていたが、その本を読み夫妻の波乱に富んだ人生を知った。 彼は大学受験に失敗した後、誰にも師事せず各地を放浪しながら絵を描いていた
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夫を失って 大阪府池田市・松下玲子(無職・81歳)
2024/9/23 05:11 549文字57年間共に過ごした夫が亡くなって7カ月が過ぎました。別れは、夫の病気に気づいてから1年4カ月後でした。 会社を退職した後の夫は得意の語学でボランティアをやり、コーラスや卓球を楽しみ、料理にも挑戦して、充実した老後生活はずっと続くように思っていました。政治や地球温暖化などの話題から身の回りの出来事
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