連載
今日も惑いて日が暮れる
上からではなく下から目線で、不安と惑いをつづった紙つぶてを投げてみたい――。吉井理記記者のコラムです。
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安倍さんの後継者=吉井理記
2024/9/25 13:01 854文字本欄とは別のところで一度、書いたので、再び記すのは気が引けるが、元首相の安倍晋三氏は新興宗教・崇教真光の信者だった。 安倍氏が告白している。 2009年11月5日にあった教団の「立教50年」の式典で、「私は今から10年ほど前に『神組み手』(信者)の一員になった」との祝辞を寄せた。 安倍氏を崇教真光
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「台湾有事」と靖国神社=吉井理記
2024/9/18 13:02 876文字「神道政治連盟」という組織がある。 その名の通り、神社関係者らがつくる政治団体である。憲法改正を目標にすえ、その地ならしのための運動を展開している。 一般にはなじみのない組織だと思う。会員向けの会報「意」は、さらになじみがないだろう。 その最新の第223号(6月発行)に、「台湾有事と神社神道の役割
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憲法53条改憲論=吉井理記
2024/9/11 13:06 873文字読者にはおよそどうでもよいことだが、毎日新聞には会社の「最高規範」として「毎日憲章」というものがある。 1946年の制定だ。<毎日新聞は言論の自由独立を確保し真実敏速な報道と公正な世論の喚起を期する> ……など、五つの短い条文からなる。その憲章の下で、具体的な報道方針を示した編集綱領(77年制定)
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京都国際優勝によせて=吉井理記
2024/9/4 13:04 876文字自分の書いたものが載った新聞を、夜などにうっかり開いてしまうことがある。 うわあ、なんじゃこの原稿は。もっと違う書き方があったはずだチクショー。読み返したが最後、七転八倒である。つい酒瓶に手が伸びる。尿酸値も上がる。 先日の本紙「特集ワイド」で、2年前に亡くなった元朝日新聞編集委員、早野透さんを回
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オーウェルもびっくり=吉井理記
2024/8/28 13:03 889文字さすが小池百合子さんである。東京都はスゴいですなあ。 何のことか。 SF物語に描かれたあれこれが現実になることは、実はあまり多くない。例えば――。 映画「2001年宇宙の旅」(1968年)に登場した人工冬眠や自律思考する人工知能は、まだ実現は遠そうだ。映画「ブレードランナー」(82年)では、未来都
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センセイの教訓=吉井理記
2024/8/21 13:17 866文字時々、エラソーな人に出会う。偉そう、ではなく、エラソー。そう表現するほかない。 以前、企業トップ出身の国会議員に、初対面で「おい、記者何年目だ」と問われた。 いきなり「おい」である。「ええと、今年で25年ですかね」とへどもどしながら答えると、「あ、そうなの」と急に下手に出る風情。どうもそのセンセイ
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もう一つの知事発言=吉井理記
2024/8/14 13:03 885文字うーむ。 敗戦は必至なのか? 半藤一利さんの「日本のいちばん長い日」が描く、あの8月15日の前日譚(たん)ではない。メディアの未来について、である。 7月の東京都知事選で、ワイドショーやらSNS(ネット交流サービス)やらでバッシングされた蓮舫さんについて、島根県の丸山達也知事が「なぜ女性が勢いよく
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「なんくるないさー」幻想=吉井理記
2024/8/7 13:20 877文字久々にNHK朝の連続ドラマに見入っている。 話題の「虎に翼」ではない。僕の関心は昼に再放送している「ちゅらさん」(2001年)に向いている。 国仲涼子さん演じる沖縄育ちの主人公の純愛はぐっとくるし、貧しくとも「なんくるないさー」(何とかなるよ)と言い交わし、底抜けに明るい登場人物や美しい風景にもな
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センチメンタル鶴岡=吉井理記
2024/7/31 13:12 869文字「戊辰(ぼしん)戦争で敗れた庄内出身の人間には、権力や中枢からあえて外れるところがある」と評したのは同地方出身の評論家、佐高信さんである。 庄内とは山形県の鶴岡市などを指す。確かに軍官僚の石原莞爾や、元自民党幹事長の加藤紘一氏にしても後に中枢から遠ざかる。佐高さん自身、辺縁の人だ。同郷の作家・藤沢
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9条を変える意味=吉井理記
2024/7/24 13:07 853文字国会図書館の外交防衛調査室の手による「戦前期日本の海外『出兵』一覧」という資料が手元にある。 今は亡き横路孝弘・元衆院議長に取材した時にいただいた。明治維新からアジア・太平洋戦争敗戦までの77年のうち、武力行使を伴う大日本帝国の海外派兵と期間を調べた労作である。 これに従えば、明治憲法施行(189
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自由公明党=吉井理記
2024/7/17 13:14 848文字東京都知事選が終わった。 結果については他に譲るとして、気になったことがある。 「立憲共産党」という造語である。 ここ2、3年、一部のメディアや政治家が使うようになった。今回の都知事選でもSNS上で流布した。ご存じの通り、立憲民主党と共産党が協力して蓮舫氏を支援した。その連携をネガティブに捉えた言
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焼き鳥店での反省=吉井理記
2024/7/10 13:02 871文字会社には極秘だが、僕は時折、夕方から仕事を放り出し、ビールなどを飲みに出かけている。 取材先でいい話が聞けた、などという時の祝杯である。 先日も良い気分で目についた焼き鳥店ののれんをくぐると、「おまかせ焼き鳥5本」という品書きを見つけた。 僕はレバーが苦手だ。5本の中にレバーがあったら困る。アルバ
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自民党議員の憤激=吉井理記
2024/7/3 13:09 866文字先日、ある自民党の国会議員にお叱りをいただいた。 北朝鮮による拉致問題について、である。 おさらいしておくと、日本政府認定の拉致被害者は17人で、2002年の「小泉訪朝」で5人が帰国したのはご存じの通り。残る12人の安否は不明のままだ。 だが14年に状況が変わる。いや、変わる可能性があった。 12
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「家族の一体感」幻想=吉井理記
2024/6/26 13:10 850文字岸田文雄首相が、また妙なことを口にした。 今度は選択的夫婦別姓についてである。先日、経団連が「早く実現せよ」と提言したことがニュースになったが、岸田首相は事実上拒んだ。 「家族の一体感や子どもの利益にも関わる問題であり、国民の理解が重要だ」(17日、国会での答弁)という。 ざっくりまとめれば、夫婦
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見習ってほしい=吉井理記
2024/6/19 13:16 865文字パーティーが苦手である。 この言葉がまとう「上流階級感」もさることながら、僕はひどい人見知りである。以前、本欄でちょっと触れた。新聞記者としてどうかと思う。 それでも仕事がら、たまにお誘いを受ける。先日もある立食パーティーの招待状が届いた。 ……どうしよう、これ。いっそ見なかったことにするか? で
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岸田グルメの大異変=吉井理記
2024/6/12 13:05 884文字新聞で、とりわけ愛読するコーナーがある。 首相の動静欄である。毎日新聞では「首相日々」がそれだ。 首相がどんな有名店で食事をしたか、その絶品料理のあれこれを想像して、一人さびしくヨダレをたらすのである。 記者が何をヒマな、とお思いになるかもしれないが、食は人間の根本である。19世紀フランスの美食家
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伊藤さんと鈴木さん=吉井理記
2024/6/5 13:06 854文字仕事がら、「右」の人ともお会いする。 最近、訃報を耳にした伊藤邦典さんもその一人だ。享年77。三島由紀夫が作った「楯の会」の1期生だった。 三島は1970年、楯の会の学生長・森田必勝や会員3人と東京・市ケ谷の陸上自衛隊施設に乱入し、自衛隊にクーデターを呼びかけた後、森田と自決した。会員3人のうち、
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拉致と今市・飯塚事件=吉井理記
2024/5/29 13:09 894文字殺伐とした話で恐れ入るが、大事な論点を含むと思う。 2005年冬、栃木県で小1の女児が殺害された。「今市事件」である。僕も取材にあたった。 捜査は難航した。栃木県警は翌年、犯人像を「男性」と断定して公表した。 警察が手がかりとなるDNAを検出したと推測できたが、ウラが取れなかった。「DNA検出」は
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小池さんの記者会見=吉井理記
2024/5/22 13:15 846文字新型コロナウイルスの「5類移行」から1年がたった。 読者はご存じだろうが、おさらいしておく。感染症法では、感染症をその感染力などに応じ、1~5類にランク分けして社会の対応を変えていく。 新型コロナは、致死率の高い中東呼吸器症候群(MERS)などとともに上から2番目の「2類相当」とされていたが、昨年
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カップラーメン懇談会=吉井理記
2024/5/15 13:09 851文字かつて、山内豊徳さんという官僚がいた。 旧厚生省で福祉や公害問題に携わり、後に環境庁(現環境省)へ転じる。そして企画調整局長だった1990年12月5日、自ら命を絶つ。 是枝裕和さんの「雲は答えなかった」、佐高信さんの「官僚たちの志と死」に詳しいが、山内さんは水俣病認定訴訟の国側の責任者だった。患者
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