歌壇・俳壇
投稿フォーム
-
毎日歌壇・俳壇 9月10日の特選より
2024/9/10 04:00 415文字<短歌>伊藤一彦選 ◇エノコログサの種ほろほろとこぼれ落つ優しく接したつもりだったのに 横浜市 谷口菜月 <俳句>片山由美子選 ◇次の橋くぐれば海へ涼み船 和歌山 神野一馬 エノコログサは道ばたや公園など身近な場所で見かけるイネ科の野草。谷口さんはふわふわしたその花穂が落ちる様子を歌によみました
-
毎日俳壇
小川軽舟・選
2024/9/10 02:01 351文字涼新た老犬深く眠りけり 宍粟市 宗平圭司<評>新涼を楽しむように老犬が深く眠る。飼い主もまた安心して深く眠れそうだ。犬への愛情がさりげなく表された。露草や終(つい)の住処(すみか)と決めし朝 徳島市 藤岡値衣<評>いろいろ迷ったがこの家に最後まで暮らそう。庭の露草を見てやっと決心がついた。二代目は有
-
毎日俳壇
片山由美子・選
2024/9/10 02:01 340文字次の橋くぐれば海へ涼み船 和歌山 神野一馬<評>川を下って海まで行く納涼船。「次の橋」によって、それまでいくつも橋があったことが分かり、表現の省略が効いている。冷房を止めて夜明けの風を待つ 秦野市 林ち島<評>冷房をつけたままでなければ眠れなかったのが、自然の風をありがたいと思うころに。花火待つ湖畔
-
毎日俳壇
西村和子・選
2024/9/10 02:01 363文字半眼の心で語る敗戦日 大阪市 吉田昌之<評>目を見開き全てを見つめるのではなく、半ば悟りのまなざしか。どんな心か、読み手に問いかける力を感じた。母が云(い)ひし庇間風(ひあわいかぜ)に汗が引き 大阪市 福永都女<評>お母さんに教えられた言葉を思い出しながら浴びる風は、涼しく懐かしく大事にしたい。八ケ
-
毎日俳壇
井上康明・選
2024/9/10 02:01 343文字燃え盛りたる送り火に風の色 富士市 後藤秋邑<評>その色は、お盆の最後の日に肉親の霊と別れる、悲しみの色だろう。送り火は風に吹かれて、一瞬燃え上がる。ひとりの歩ひとりのことば秋の河(かわ) 福岡市 三十田燦<評>豊かに流れる秋の川のほとりをひとり歩いていく。秋をたたえることばを口にしながら。岸へ寄る
-
-
毎日歌壇
伊藤一彦・選
2024/9/10 02:01 464文字エノコログサの種ほろほろとこぼれ落つ優しく接したつもりだったのに 横浜市 谷口菜月<評>エノコログサの歌としても面白いが、人間関係の難しさを歌った作として読めばより印象深い。ほろ苦い思いが伝わる。二日目のカレーのようにまろやかになるはずでした二人の暮らし 東京 谷真澄<評>淡々とした「なるはずでした
-
毎日歌壇
加藤治郎・選
2024/9/10 02:01 475文字水門が静かにあがり生も死も歓迎される夜明けとともに 東京 新井将<評>河口付近の水門を想像した。夜明けの海が見えるだろう。生と死、存在の全体が受け入れられる。気高い作品である。ただいまをまず言うべきではあるのだがおまえの靴を踏んで玄関 枚方市 久保哲也<評>余分な装飾がない。日常の簡潔なスケッチであ
-
毎日歌壇
米川千嘉子・選
2024/9/10 02:01 484文字東京のビルの林のラビリンスナンバープレートの鹿駆け抜ける 奈良 島眞澄<評>車で東京に来た作者。奈良のナンバープレートには鹿の図柄入りのがある。ラビリンス(迷宮)などへっちゃらだ。「湖」も「遊びに行く」もみな漢字「彩那(なな)」も正確小三夏便り 村上市 杉江正子<評>夏の思い出を書いた手紙。漢字が増
-
毎日歌壇
水原紫苑・選
2024/9/10 02:01 455文字はばたけぬ舟だとしても 観覧車 あなたの背負う夜空を見せて 大阪市 羽水繭<評>観覧車には独特のイメージ喚起力がある。飛ぶことはできなくても、夜空への夢を捨てない彼ら。どうしても火星探査機の孤独を思い一晩眠れなかった 枚方市 久保哲也<評>火星探査機の孤独は人類よりも深いのか。そもそも彼は眠るのか。
-
出会いの季語
三津の町へ=高田正子
2024/9/10 02:01 612文字8月の末、松山市の三津の町を歩いた。南の海に台風10号を置きながらの俳句甲子園(同市)が、熱中症厳重警戒の内にも無事に終わったあとのことだ。私自身の予定は流れてしまったので、若い方々の計画に、誘われるままに飛び入り参加させていただいたのだった。・よき友のよき一言や新豆腐 宇多喜代子 伊予鉄高浜線で
-
-
Topics
東京・根岸で「糸瓜忌」特別展 正岡子規、病床の推敲 晩年の新出句、愛用の「胸息」初公開
2024/9/5 13:07 1184文字俳人・正岡子規(1867~1902年)の命日である「糸瓜(へちま)忌」(9月19日)にちなんだ特別展が4日、東京都台東区根岸の子規庵で始まった。今年は松山市出身の子規が“ついのすみか”となる根岸の邸宅(現在の子規庵)に住むようになってから130年。特別展では新たに確認された子規の晩年の俳句と、子規
-
三田俳句大会 入賞作決まる /兵庫
2024/9/5 05:11 300文字三田俳句協会(吉村玲子会長)は、23日に三田市駅前町の市まちづくり協働センターで開かれる「第56回三田市民文化祭俳句大会」(毎日新聞神戸支局など後援)の募集句入賞作を決めた。 大会は午後1時開始。毎日俳壇選者の俳人、片山由美子さんによる講演「俳句にしひがし」に続き、当日正午に現地で発表される席題を
-
「夢二晩年の夢」詠む 「俳句大賞」に小暮さん 渋川 /群馬
2024/9/2 05:00 401文字絵画やデザイン、詩、俳句など幅広く活躍した竹久夢二(1884~1934年)のゆかりの地である渋川市伊香保町で1日、「第29回夢二忌俳句大会」と「第27回夢二俳句大賞表彰式」が開かれた。会場のホテル天坊には全国から俳句愛好者約100人が参加し、一句を詠んだ。 夢二忌俳句大会実行委員会(木暮陶句郎委員
-
毎日歌壇・俳壇 9月2日の特選より
2024/9/2 04:00 355文字<短歌>水原紫苑選 ◇原爆忌 篠(しの)突く雨は水のこゑ 水を欲しがる声が聞こえる東京 池田 宏陸 <俳句>井上康明選 ◇八月十五日あめつち容赦なし周南市 九内 千沙 池田さんの短歌は、79年前に原爆が投下された広島、長崎のまちや人々の様子をまざまざと描いています。九内さんの句も戦争に関する作品で、
-
毎日俳壇
井上康明・選
2024/9/2 02:01 331文字八月十五日あめつち容赦なし 周南市 九内千沙<評>終戦記念日に際して、容赦ない豪雨を語る。昨今の天候の激変、世界各地の戦争などを連想させ、今を生きる不安を思わせる。能面を凌(しの)ぐ美丈夫袴能(はかまのう) 名古屋市 可知豊親<評>袴能は晩夏、能面をつけず紋服と袴で演じる能。りんとした姿は、ゆく夏の
-
-
毎日俳壇
片山由美子・選
2024/9/2 02:01 355文字使はねば衰ふる声半夏生(はんげしょう) 久喜市 梅田ひろし<評>喉が不調のときに、いたわるつもりで声を出さずにいると、かえって声が出にくくなる。微妙な季語を配したのが効果的。ぽつぽつと滲(にじ)みゆく雨サンドレス 東広島市 福岡宏<評>急に降り出した大粒の雨。あざやかな色のサンドレスがみるみるぬれて
-
毎日俳壇
小川軽舟・選
2024/9/2 02:01 341文字ハンカチの硬き刺繡(ししゅう)や八重洲口 東京 茂田野マイ子<評>東京駅の八重洲口。待ち合わせだろうか。手にしたハンカチの刺しゅうの感触から、かすかな緊張感が伝わってくる。軽トラの太鼓先頭虫送り 奈良市 梅本幸子<評>ふだんは農作業に使う軽トラ。今日は荷台に太鼓を乗せて先導するのが晴れがましい。ワッ
-
毎日俳壇
西村和子・選
2024/9/2 02:01 365文字優雅なる馬上の背(そびら)山滴(したた)る 我孫子市 桑原真喜子<評>馬上の後ろ姿を詠んで、さらに背景の夏山を描いたことで句の奥行きが広がった。オリンピックの馬術競技がよみがえる。冷房や理路整然と癌(がん)告知 我孫子市 新井貴雄<評>告知する側も受ける側も冷静であることを季語が語るが、言外の情が余
-
毎日歌壇
水原紫苑・選
2024/9/2 02:01 471文字原爆忌 篠(しの)突く雨は水のこゑ 水を欲しがる声が聞こえる 東京 池田宏陸<評>原爆をうたうことはとてもむずかしいが、主体として降る水の声と、次に客体として水を欲する声が響き合う。経血をたらして眠るオリオンが獲物を空に追いかける夜に 水戸市 水鳥<評>一瞬、経血をたらして眠るのはオリオンかと錯覚さ
-
毎日歌壇
伊藤一彦・選
2024/9/2 02:01 469文字グリ下の少年少女へ経験者が思い受けとめシェルター用意す 京都市 日下部ほのの<評>道頓堀にあるグリコの看板付近に集まる10代を案じる歌。彼らのためのシェルターが用意されることに安堵(あんど)している。ポケットの切符に指がふれるたび近付いている故郷(ふるさと)の駅 郡山市 佐藤勝也<評>切符に幾度もふ
-

