特集
裁判Plus 司法のリアル
事件や紛争の解決を見届ける司法記者は日々、さまざまな裁判に遭遇しています。司法の現場の知られざるエピソードを報告します。
-
「ヤクザアパート」と地元で呼ばれ 77歳の女性大家が明かした半生
2024/9/10 06:30 2171文字警察が捜査中の暴力団関係者をアパートから逃がしたとして5月、女性の大家(77)が逮捕された。 女性大家は埼玉県内に約30棟のアパートを所有。行く当てのない人たちばかりを住まわせることから、いくつかの物件は、地元で「ヤクザアパート」と呼ばれていた。 なぜ誰彼問わず入居させたのだろうか。保釈された女性
-
「千奈ちゃんが生きた意味…」裁判長の涙 園バス3歳児置き去り死
2024/9/5 05:45 2523文字被告人を禁錮1年4カ月に処する――。裁判長が主文を読み上げると、満員の傍聴席からどよめきが起こった。 手を握り合っておえつする遺族を前に、裁判長は言葉を続けた。「千奈ちゃんが生きた意味について考えたいと思います」 裁判官が判決言い渡し後、被告に説諭をするのは珍しいことではない。ただ、この日は違った
-
追跡 公安捜査
「内部告発」をまさかの撤回 取り調べ批判の警官、証人尋問を前に
2024/8/14 06:00 3363文字「内部告発者」は権力に取り込まれてしまったのか。 ある冤罪(えんざい)事件で上司の取り調べを批判する文書を作成していた警官が、裁判に証人として出廷することになった。 しかも、違法な取り調べがなかったと主張する捜査当局側の証人として。 立場を180度転換したようにも見えるこの警官が説明する、その不可
-
突然「盗作」疑う通知文 イラストレーター襲う「トレパク冤罪」
2024/8/11 06:00 1768文字イラストレーターの花邑(はなむら)まいさんの元に、女性漫画家の代理人弁護士から「通知文」が届いたのは2019年6月のことだった。 「作品が花邑さんにトレース(なぞり書き)されている」 初めは、すぐに解ける誤解だと思っていた。しかし、事態が訴訟に発展し、仕事も失うはめになるとは想像だにしていなかった
-
「オーバードーズの原因」 トー横の“売人”が有罪後に向かった先
2024/7/26 06:00 2371文字厚い雲に覆われた、まだ寒い2月のある日だった。 金髪にマスク姿の男性が、東京・小菅の拘置所から姿を現した。両腕には大きな二つの紙袋。裸足にサンダルの足元は、季節外れに見えた。 この日、東京地裁で罰金30万円の有罪判決を受け、釈放された。新宿・歌舞伎町で市販薬の過剰摂取を繰り返した末に、他人に薬を無
-
-
取り調べで机たたき、怒鳴る検事たち 上司も部下も、法廷で同じ“釈明”
2024/7/18 06:30 2193文字ドンッ。証言台をたたく鈍い音が法廷に響いた。検事は4年半前の取り調べの様子を再現し、相手を怒鳴った理由を語った。くしくも、かつて法廷で同じように問い詰められた上司の発言と重なっていた。 6月11日、大阪地裁の703号法廷で、検事は国が訴えられた裁判の証人として証言台の前に座っていた。40人ほどが傍
-
うつろな表情の母が「はい」くり返す57秒の動画 最高裁判断へ
2024/7/7 07:00動画あり 2600文字世界平和統一家庭連合(旧統一教会)はしばしば献金した信者に対し、「返金を一切求めない」と書かれた念書や合意書を用意し、署名を求めてきた。 そうした文書は、時に返金を求めたい信者や家族にとって、大きな壁となってきた。 だが今、司法の場で文書の有効性が問われている。 以下の関連記事があります。記事の最
-
「書きたくなかった」元信者のもとへ異例の「念書」返却 背景に何が
2024/7/6 07:00 2998文字世界平和統一家庭連合(旧統一教会)はしばしば献金した信者に対し、「返金を一切求めない」と書かれた念書や合意書を用意し、署名を求めてきた。 そうした文書は、時に返金を求めたい信者や家族にとって、大きな壁となってきた。 だが今、司法の場で文書の有効性が問われている。 以下の関連記事があります。 「献
-
今もはびこる優生思想 最高裁判決が私たちに問いかけたものとは
2024/7/6 06:00 1548文字軽度の知的障害がある横浜市の岩間幸(ゆき)さん(38)は19歳で妊娠した。「死産させましょう。もう時間がありません」。妊娠4カ月と診断した医師からは子どもを産む意思があるかどうかを確認されることなく、一方的に告げられた。しかし、岩間さんが下した結論は「産みたい」だった。 強制不妊手術を巡る訴訟で最
-
「献金返還求めない」司法が“正義に反する”と断じた覚えのない合意
2024/7/5 07:00 2934文字世界平和統一家庭連合(旧統一教会)はしばしば献金した信者に対し、「返金を一切求めない」と書かれた念書や合意書を用意し、署名を求めてきた。 そうした文書は、時に返金を求めたい信者や家族にとって、大きな壁となってきた。 だが今、司法の場で文書の有効性が問われている。 以下の記事のラインアップを予定して
-
-
人権侵害から目を背け続けた国 償い受けず天国に旅立った原告たち
2024/7/5 06:00 1602文字「戦後最大の人権侵害」のルーツは、19世紀末に欧米で広がった「優れた命」を後の時代に残そうとする優生学にある。日本でも国を強くする手段として明治時代に広まった。 第二次世界大戦後、日本は外地からの引き揚げに伴う人口過剰に直面した。そうした中で国会議員たちが求めたのが「不良な子孫の出生防止」をうたう
-
12歳で手術、奪われた子どもを産む夢 「優生」被害者の人生の痛み
2024/7/4 06:00 2132文字静まりかえった最高裁大法廷。裁判長がゆっくりと判決を読み上げ始めた。原告らは、手話通訳者と聴覚障害者のために設置されたモニターを見つめた。 旧優生保護法下の強制不妊手術により、子どもを産み育てる権利や人間としての尊厳を奪われたと訴えてきた原告たち。モニターには国の責任や旧法の違憲性が認められていく
-
記者のこだわり
遺族年金、もらえないのは「夫だから」 妻亡くして知った「男女差別」
2024/4/30 06:30 1832文字「受給資格者には該当しません」。窓口の職員にそう告げられ、男性はあっけにとられた。 共に働き、共に家事を担ってきた妻を過労で亡くした。ところが、労働基準監督署で遺族のための年金を受け取れないと知らされた。 理由は男性が妻を亡くした「夫」だから。夫を亡くした「妻」なら、受給できた。直面した「男女差別
-
追跡 公安捜査
進行がんでも保釈認めず 「人質司法」が奪った命 大川原化工機事件
2024/3/21 10:01 1374文字軍事転用が可能な装置を不正輸出したとされた化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の社長ら3人の勾留は約11カ月に及んだ。この間に元顧問の相嶋静夫さんが被告の立場のまま72歳で病死し、問題がより深刻化した。 刑事訴訟法は、保釈の条件を満たさない場合でも、裁判官が適当と認めれば職権で保釈を許可する
-
追跡 公安捜査
「口裏合わせ」独房に332日 大川原化工機冤罪、保釈請求の舞台裏
2024/3/21 10:00 1539文字「罪証隠滅の恐れがある」――。軍事転用が可能な装置を不正輸出したとされた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長ら3人は、この裁判官の言葉に何度も絶望を味わった。勾留は約11カ月に及び、この間に1人はがんで亡くなった。後に起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件で、なぜ
-
-
記者のこだわり
「最高の娘」「父が心配」71歳と44歳が“万引き家族”になるまで
2024/1/30 07:00 1885文字「物を盗みたい」。そんな衝動を制御できないという71歳の父親は、44歳の無職の次女を巻き込んで万引きを繰り返した。父親は「最高の娘」と誇り、次女は「父が心配」とかばった。取材を重ねていくと、お互いに生きづらさを抱えながら依存し合う「万引き父娘」の姿が見えてきた。 ◇始まりは、妻の死 父親によると、
-
記者のこだわり
「検事の右腕」だった女性が落ちたわな “機密書類”運んで逮捕
2023/12/8 15:00 2124文字「【日当3万円】研修期間あり」――。司法試験を目指して勉強にいそしんでいた元検察事務官はある日、インターネットの掲示板「ジモティー」で、配送スタッフのアルバイト募集を見つけた。軽い気持ちで応募したが、それが「転落」の始まりだったことに、その時は気がつかなかった。 ◇法曹に憧れ 東京地検でも勤務 「
-
記者のこだわり
なぜ現職警察官は「捏造」と証言したのか 起訴取り消しの舞台裏
2023/12/6 19:14深掘り 2816文字「まあ、(事件は)捏造(ねつぞう)ですね」。社長らが違法に逮捕、起訴されたとして化学機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)が起こした国家賠償訴訟の証人尋問で2023年6月、警視庁の現職警察官が異例の捜査批判を展開した。規律を重んじる警察組織で起きた「反乱」。真相を探ろうと記者が事件関係者を訪ね歩き
-
記者のこだわり
我が子に会えず、この国に絶望 違法認定も「連れ去り勝ち」の現実
2023/10/6 07:00 2095文字他方の親の同意を得ない「子の連れ去り」が社会問題化している。母親による子連れ別居はよくあることとして受け止められてきたが、子の身の回りの世話をしていることが離婚後の親権争いで有利に働くと広く知られるようになり、近年は父親による子の切り離しも顕在化している。「連れ去り勝ち」とも言われる、家族間紛争の
-
記者のこだわり
「違憲状態」の真意は? 同性婚訴訟で見えた裁判官のためらい
2023/7/26 06:00 2009文字それは弁護団にとっても予想外の判決だった。同性カップルの婚姻を認めていない現行制度の違憲性が争われている同性婚訴訟で、これまでに出た5地裁判決のうち2件は「違憲状態」にあるとして、白黒を決めなかった。違憲状態は、選挙区間の1票の格差を巡る訴訟で使われてきた法的判断で、これまで他の訴訟では持ち出され
-

