連載
社説
社説は日々、論説委員が議論を交わして練り上げます。出来事のふり返りにも活用してください。
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マングースの根絶宣言 生態系崩すリスク教訓に
2024/9/10 02:02 860文字自然環境がひとたび損なわれると、回復には膨大なコストと時間がかかる。教訓として今後に生かさなければならない。 鹿児島県・奄美大島の貴重な生態系に深刻な影響を与えてきた外来種のマングースを根絶したと、環境省が宣言した。 島の面積は、琵琶湖を上回る712平方キロに及ぶ。これほど広範囲に定着した外来種の
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長崎でも「黒い雨」認定 早急な救済が政治の責任
2024/9/10 02:02 846文字長崎でも原爆の「黒い雨」が降ったと認める司法判断である。被害者の証言に耳を傾けたものだ。 国が指定する援護区域の外にいた「被爆体験者」44人のうち、15人を被爆者と認定する判決を長崎地裁が出した。長崎市と長崎県に被爆者健康手帳の交付を命じた。 援護区域内にいた人は被爆者として医療費の自己負担が生じ
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立憲代表選が告示 政権託せる構想を競う時
2024/9/8 02:00 842文字派閥裏金事件で自民党に対する不信が募る中、国民が代わりに政権を託す選択肢になり得るのか。野党第1党としての存在意義が問われる。 立憲民主党の代表選が告示され、野田佳彦元首相、枝野幸男前代表、泉健太代表、吉田晴美衆院議員の4氏が立候補を届け出た。 同時期に実施される自民総裁選は、若手や女性を含め候補
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増える着床前診断 透明性高め幅広い議論を
2024/9/8 02:00 829文字「命の選別」にもつながる検査である。透明性を高め、慎重に進めることが欠かせない。 体外受精で作った受精卵を調べる「着床前診断」が広がっている。異常がないものを選んで子宮に戻す。親が抱える重い遺伝性疾患を、子どもに受け継がせないことが目的だ。 審査に当たる日本産科婦人科学会が2023年の状況を発表し
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障害者の鑑賞サポート 共に楽しむ機会広げたい
2024/9/7 02:01 837文字視覚や聴覚など身体に障害がある人たちが映画や演劇を劇場で楽しめるよう、鑑賞をサポートするサービスが広がりつつある。 障害者差別解消法の改正で、今年4月から民間事業者にも障害者のバリアーを取り除く「合理的配慮の提供」が義務化され、取り組みが進んだ。 たとえば、目の不自由な観客に、事前に舞台の配置を説
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プーチン氏逮捕されず 傷ついた国際司法の権威
2024/9/7 02:01 851文字国際法廷は世界の平和と安全を維持するためにある。その権威を失墜させるような大国指導者の振る舞いは許されない。 ロシアのプーチン大統領がモンゴルを訪問した。ウクライナ侵攻に伴う戦争犯罪の容疑で昨年3月に国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出されて以降、加盟国を訪れたのは初めてだ。 モンゴル政府はプー
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朝鮮人虐殺の歴史 向き合わぬ政治の不誠実
2024/9/6 02:01 866文字101年前に約10万人が犠牲となった関東大震災では、多くの朝鮮人らが虐殺された。その歴史から目を背ければ、惨劇は風化し、教訓も生かされない。 民間団体が営む慰霊式典に、東京都の小池百合子知事は今年も追悼文を送らなかった。送付は歴代都知事の慣例だったが、就任直後の2016年が最後だ。 別に開かれた震
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過去最大の防衛費要求 持続可能性に疑問が残る
2024/9/6 02:01 834文字数字ありきの安易な膨張は禍根を残しかねない。自衛隊員のなり手不足が慢性化する中で、妥当な予算と言えるのか。検証する必要がある。 防衛省が来年度予算の概算要求で、過去最大の8兆5389億円を計上した。政府は2027年度までの5年間に総額43兆円を防衛費に充てる予定で、来年度はその3年目にあたる。体制
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裏金と自民総裁選 うみ出し切る覚悟見えぬ
2024/9/5 02:01 851文字失われた国民の信頼を取り戻せるかどうかの正念場だ。にもかかわらず、「政治とカネ」の問題に本気で取り組む覚悟が伝わらない。 退陣表明した岸田文雄首相の後任を決める自民党総裁選である。安倍派を中心とする派閥裏金事件への対応が迷走し、国民の不信が高まった末の再選断念だった。 政治資金問題の抜本改革にどう
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兵庫知事と県政の混乱 これで職責果たせるのか
2024/9/5 02:01 859文字内部告発を聞き入れられなかった職員の命が失われ、県政の混乱も続いている。この状態で県トップとしての職責を果たすことができるのだろうか。 斎藤元彦・兵庫県知事によるパワーハラスメントなどの疑惑をめぐる経緯が、県議会調査特別委員会(百条委)での証人尋問などで明らかになってきた。 発端は県の幹部職員が3
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男性の育休取得 「当たり前」を一日も早く
2024/9/4 02:01 856文字男女が平等に家事や育児を担う。それが当たり前の社会を実現する一歩にしたい。 2023年度の男性の育児休業取得率が30・1%となり、初めて3割を超えた。前年度から13ポイントの大幅な上昇だ。取得期間も伸び、「2週間未満」が減る一方で「1カ月以上」が増えた。 改善の背景には、妊娠・出産を届け出た従業員
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元兵士のトラウマ調査 戦争の非道さ知る一助に
2024/9/4 02:01 874文字戦争は人の心を壊す。これまで顧みられてこなかった深い傷痕に向き合う契機としたい。 日中戦争や太平洋戦争などで旧日本兵が負った「戦争トラウマ」について、厚生労働省が調査に乗り出す。主体的に資料の収集や分析に当たるのは初めてだ。 東京にある国の戦傷病者史料館「しょうけい館」の学芸員が、旧陸海軍病院を前
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過去最大の予算要求 金利ある世界に危機感を
2024/9/3 02:01 887文字「金利のある世界」が復活し、借金頼みの財政に負担がのしかかる。そんな深刻な事態への危機感を欠いているのではないか。 2025年度予算の編成に向けた各省庁の概算要求が締め切られた。総額は117兆円規模と2年連続で過去最大となる見通しだ。 日銀がマイナス金利政策を解除してから初の予算である。国債の元利
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元自民議員2人を起訴 不正の土壌根絶が不可欠
2024/9/3 02:01 853文字「政治とカネ」の問題で、元自民党国会議員が相次いで刑事責任を問われた。順法意識の欠如が目に余る。 堀井学元衆院議員が8月29日、政治資金規正法違反と公職選挙法違反で略式起訴され、罰金100万円の略式命令を受けた。翌日には、広瀬めぐみ元参院議員が詐欺罪で在宅起訴された。 堀井元議員は選挙区内の有権者
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結婚の自由と人権 多様な家族認める制度に
2024/9/2 02:00 1688文字愛する相手との結婚が法的に認められず、尊厳を傷つけられている人たちがいる。差別的な扱いだと感じているカップルも多い。 性的少数者を支援するNPO法人の代表理事、中谷衣里(なかやえり)さん(32)は、30代の同性パートナーと札幌市で暮らす。交際を始めてから16年が経過した。 住まいを借りる時、不動産
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激甚化する自然災害 つながり深め命救いたい
2024/9/1 02:01 836文字災害が激甚化している。高齢化や地方の過疎化が進むなか、防災は社会の変化に即した対応を迫られている。 強い勢力を保って上陸した台風10号は、各地で大きな暴風雨による被害をもたらしている。 今年1月に最大震度7を観測し、300人以上が亡くなった能登半島地震では、道路や水道などのインフラが寸断された。高
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市場の混乱と日銀 金融正常化へ対話丁寧に
2024/9/1 02:01 874文字10年以上も「異次元緩和」が続いた金融政策を正常に戻すのは難作業だ。日銀は市場の混乱を招かないよう適切な情報発信に努める必要がある。 7月末の利上げ決定とその後の相場の乱高下を巡り、衆参両院が8月下旬、日銀の植田和男総裁を招いて閉会中審査を開いた。 植田氏が金融政策決定会合後の記者会見で追加利上げ
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選挙の「エンタメ化」 多様な意見排さぬ知恵を
2024/8/31 02:01 1666文字ソーシャルメディアが選挙の風景を変えつつある。候補者から有権者に直接届くメッセージが、従来は政治への関心が薄かった人々を投票所に向かわせている可能性がある。 その象徴が7月の東京都知事選で起きた「石丸現象」である。 小池百合子知事と蓮舫・元立憲民主党参院議員の一騎打ちという予想を覆し、政党の支援を
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パラリンピックが開幕 競い合う喜び共有したい
2024/8/30 02:01 867文字「共生社会の実現」を目標に掲げる障害者スポーツの祭典、パラリンピックがパリで幕を開けた。 近年は選手の競技レベルが上がり、その迫力や高度な技術には目を見張るばかりだ。「パラスポーツ」という呼び方が浸透するなど、社会の意識も変わりつつある。 開幕を前に話題を呼んだのが、各国のトップ選手たちが発信した
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防衛省のAI活用 リスク抑える運用体制を
2024/8/30 02:01 836文字防衛省が人工知能(AI)の活用を加速させる基本方針をまとめた。誤判断などのリスクにいかに対処するかが課題だ。 大量の衛星画像に基づき、他国の軍の探知・識別に使うことなどを想定している。戦況に関する情報を収集・分析させ、作戦の立案につなげる。偵察や攻撃に使う無人機への搭載も視野に入れる。 最大のメリ
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