さくらのクラウド検定アドバンスド試験の2026年第1回試験が6/20(土)に実施されました。
試験後、長らく合格発表日が未定のままでしたが、7/15(水)に発表されました。
その結果は、以下のとおりでした。
- 申込者数:113名
- 受験者数:108名
- 合格者:54名
- 合格率:50%(受験者比)
2026年第2回試験への対策
今回なんとか合格できた経験を、次回受験予定の方やこれから受けようと考えている方の参考にしていただければと思い、試験を振り返りながら対策を考えてみます。
まず振り返っておきたいのが、出題分野の比重です。さくらのクラウド検定はAWS認定試験のように、分野ごとの出題比率が公表されていません。合格発表でわかるのは、あくまで分野ごとの得点率だけです。
- アプリケーション基盤の高度化
- データベース
- コンテンツ配信
- クラウドの運用管理
- セキュリティとガバナンス
- さくらのクラウドでの最適な設計
得点率だけでは弱点が見えない
合格発表では分野ごとの得点率が公開されますが、各分野に何問出題されたか(全60問の出題比率)は非公表です。そのため、同じ「得点率50%」でも、出題数が少ない分野なら1問の正誤で数値が大きく振れますし、出題数が多い分野なら実際の失点数も大きい可能性があります。得点率だけでは、その分野をどれだけ強化すべきかの判断がつきにくいのが実情です。
実際に、会社のメンバーの中には、私より全体の得点率が高いにもかかわらず不合格だった人もいました。仮に6分野へ均等に10問ずつ出題されているとすると、1分野が極端に低くても他分野でカバーできるはずで、全体の得点率が高ければ合格しやすいと考えられます。しかし実際にはそうならなかったことから、分野ごとに何らかの基準が個別に設けられている可能性もありそうです。共通していたのは、6つの試験分野のうち「さくらのクラウドでの最適な設計」の得点率が低かったことです。次いで「セキュリティとガバナンス」の得点率も低い傾向にありました。
アドバンスド試験に求められていること
ここで、アドバンスド試験の対象者に求められていることを再確認してみます。
アドバンスド試験は、クラウド環境の設計や運用に関わる方を対象とした、実務レベルの理解を扱う試験です。クラウドの仕組みを理解したうえで、要件や制約を踏まえてどのように判断・設計するかを重視しています。ベーシック試験が基礎理解を整理する位置づけであるのに対し、アドバンスド試験は、実務の中で行っている設計や判断を見直すための試験として設計されています。
「実務の中で行っている設計や判断を見直すための試験」であることを踏まえると、実務での設計・判断力を直接問う「さくらのクラウドでの最適な設計」の出題割合が高いのではないかと推測しています。
次回に向けて重点的に学習する分野
そこで次回受験する方は、「さくらのクラウドでの最適な設計」と「セキュリティとガバナンス」を中心に、以下の分野を重点的に整理しておくとよさそうです。
- ネットワーク構成の使い分け(共有セグメント/ルータ+スイッチ/VPNルータ/ローカルルータなど、要件に応じた選定基準)
- マネージドサービス(データベースアプライアンス、NFSアプライアンス、オブジェクトストレージなど)の特徴と適用範囲
- セキュリティコントロールによる自動検知・自動修復と、KMS/シークレットマネージャなどの鍵・認証情報管理
- コスト要件(固定月額と従量課金の違いなど)を踏まえた最適構成の選定
また、試験時間は60分・問題数は60問(多肢選択式)のため、単純計算で1問あたり1分程度しかかけられません。分野の知識を整理するだけでなく、迷った問題を後回しにするなど、時間配分を意識した解答の練習もしておいたほうがよさそうです。
なお、個人的には、さくらのクラウドが提供する公式のオンライン教材や練習問題だけでは、十分な対策にはなりませんでした。練習問題は本番の試験に比べて難易度が低く、教材の内容だけでカバーしきれない実務的な判断を問う設問も多かったため、教材以外の学習も組み合わせる必要があると感じました。
練習問題と本試験、何が違うのか
「教材だけでは不十分」と感じたのはどのような理由からか?
ここでは具体的な設問には触れず、練習問題と本試験に共通して見られる「設計判断の構造」の違いを整理します。
判断ポイントの数
練習問題では、1問につき着目すべきポイントはおおむね1つに絞られています。該当するサービスの用途さえ知っていれば、消去法を使わずとも正解にたどり着けるものが目立ちます。一方、本試験では複数(3〜4個程度)の要件が同時に提示されます。それぞれの要件に対して複数のサービス・機能の特性を突き合わせながら、全要件を満たす組み合わせを選ぶ設問が中心です。単体のサービス知識だけでは対応できません。「ある要件を満たすサービスを選んでも、別の要件と組み合わせると構成やコストは変わる」といった、複数の軸を同時に評価する力が求められます。
消去法が必要な出題形式
練習問題は「最も適切なものを選べ」という肯定形の設問がほとんどです。一方、本試験では「不適切なものを選べ」「適切なものをすべて選べ」といった、選択肢を一つずつ検証しないと解けない形式が一定数含まれます。もっともらしく見える選択肢を除外するには、サービスの制約や適用範囲を正確に理解している必要があり、あいまいな理解では消去しきれません。
仕様の粒度
練習問題は、サービスの用途レベルの理解(何のためのサービスか)で対応できる設問が多い傾向にあります。本試験では、ある機能が特定のリソースに「適用できるか・できないか」「対応しているか・していないか」といった、マニュアルの細部に踏み込んだ知識を問われる場面があります。表面的な理解ではなく、実際にコンソールを操作しながら確認しておくレベルの理解が求められると感じました。
コスト構造の比較
練習問題にも「最も安価な構成」を選ぶ設問はあります。本試験ではそれに加えて、拡張性や可用性、運用負荷とのトレードオフを踏まえたうえでのコスト比較が求められます。固定月額と従量課金の違い、追加コンポーネント(バックアップ保存先など)が発生させる隠れたコストまで考慮しないと、正解にたどり着けない設問もありました。
重点的に理解しておきたいアーキテクチャの考え方
上記を踏まえると、単純な暗記ではなく「なぜその構成を選ぶのか」を説明できるレベルまで理解を深めておく必要があります。次回に向けて、特に以下の考え方を押さえておくとよさそうです。各サービスの詳細は下記の既存記事も参照してください。
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ネットワーク接続方式の選定基準
- 共有セグメント/ルータ+スイッチ/VPNルータ/ローカルルータには、帯域・コスト・グローバルIPの割り当て方・閉域性の観点でそれぞれ向き不向きがあります。「インターネット公開の要否」「サーバに直接グローバルIPを持たせてよいか」「プロジェクトやゾーンをまたぐ通信を閉域網に収めたいか」という3つの軸で整理しておくと、要件文から構成を逆引きしやすくなります。
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マネージド化の判断基準
- 同じ要件でも「サーバ上にソフトウェアを構築する」か「アプライアンス(マネージドサービス)を使う」かで、運用負荷・拡張性・料金体系が変わります。バックアップの持ち方や冗長化の要否まで含めてトータルコストを比較する視点が必要です。
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セキュリティ・ガバナンスの階層構造
- IAMポリシーとサービスポリシーのように、複数のガバナンス機構が重なる場合の優先順位や適用範囲を理解しておく必要があります。鍵管理(KMS)とシークレット管理(シークレットマネージャ)、ハードウェアによる保護(クラウドHSM)が、それぞれどの層の責務を担うのかを切り分けて説明できるようにしておくと安心です。
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監視と自動化の組み合わせ
- 「異常を検知する仕組み」と「検知結果を受けて自動で是正する仕組み」は別のサービスで構成されることが多く、両者をどう連携させるかという設計パターンを押さえておくと応用が利きます。
上記のテーマは、以下の既存記事でサービスごとに詳しく整理しています。あわせて参照してください。
次回受験される方の参考になれば幸いです。