ニュースイッチ

石油代替品の製造拠点化へ…茨城県、鹿島にバイオ原料供給網

臨海部で脱石化
石油代替品の製造拠点化へ…茨城県、鹿島にバイオ原料供給網

30年以降に石油代替品のサプライチェーン構築を目指す(鹿島臨海工業地帯)

官民で勉強会 県内資源調査 

茨城県が鹿島臨海工業地帯の原料転換に踏み出す。バイオマス資源を活用した化学原料の供給網を構築し、2030年以降に石油代替品の製造拠点化を目指す。このほど1回目となる官民の勉強会を水戸市内で開いた。県や企業の取り組みを共有し、供給網構築へ議論を本格化させる。水素やアンモニアを含めた多角的なカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現と新産業の創出に取り組む。 (茨城・石川侑弥)

鹿島臨海工業地帯に拠点を持つ石油化学品製造メーカーなどの参画を見込む。航空燃料(SAF)の製造や、バイオナフサを原料に樹脂製品や電子部品へ展開する。バイオマス資源の活用による高付加価値品製造を通じ、鹿島臨海工業地帯の脱炭素化と地域経済の競争力強化につなげる。エネルギーの安全保障や地域循環にも寄与する。

初回の勉強会では、茨城県臨海部に事業所を構える大手メーカーなどから90人が参加した。バイオマス資源の供給拠点構築に向けた県の方針について担当者が説明した。25年度に着手した県内のバイオマス資源の調査結果も発表。県内で豊富な農畜産物や林業資源を供給可能であることを示した一方、供給可能なバイオマス資源の発生量の精査や、農業資源の供給の不安定性について、次年度以降の調査でさらに検討を続けるとした。

三菱ケミカルは、グリーンケミカルの供給網構築における化学産業界の役割を力説した

民間事例としては三菱ケミカルが茨城事業所(茨城県神栖市)でENEOSと始めた廃プラスチックのリサイクル事例について説明した。三菱ケミカルの担当者は「茨城県とともに化学を通じた循環型社会の実現を達成したい」と意気込んだ。

こうした取り組みの背景には、茨城県の二酸化炭素(CO2)の排出特性がある。県内ではCO2の間接排出量のうち、その半分が鹿島臨海工業地帯をはじめとした臨海部の事業所から排出されている状況だ。県ではこの地域のグリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現を優先課題と捉え、21年に「カーボンニュートラル産業拠点創出プロジェクト」を設立した。これまで官民連携基盤の構築や、臨海部の立地企業との協議を続けてきた。

原料転換 水素・アンモニアと並行

今回のバイオマス資源活用も、同プロジェクトの一つとして始動する。並行して進む水素やアンモニアの供給網の構築に向けた検討に、新たに石油代替品による化学原料の転換が加わる格好だ。

4月以降はバイオマス資源の活用の可能性を深掘りする予定。具体的な石油代替品の生産量や供給網構築時のCO2排出低減の程度、資源の利用効率や物流網の確保などを精査する。事業を担当する県科学技術振興課は「具体化に向けた動きを加速させたい」と展望する。石油化学の集積地から、次世代資源循環拠点へと転換を図る。

日刊工業新聞 2026年03月05日

編集部のおすすめ