五段高原
五段高原(ごだんこうげん)は、四国山地の南西部、「四国カルスト」と呼ばれるカルスト高原のうち、中部から東部にかけての、標高1,300 - 1,450メートルほどの高原状の地域を指す地名である[1][2][3]。「四国百名山」35番に選定されている[2]。
| 五段高原 | |
|---|---|
|
東から西を臨む | |
| 標高 | 1,455.8 m |
| 所在地 | 愛媛県上浮穴郡久万高原町・高知県高岡郡檮原町 |
| 位置 | 北緯33度28分21秒 東経132度59分15秒 / 北緯33.47250度 東経132.98750度 |
| 山系 | 四国山地 |

当地は行政区画的には、その東西方向に延びる稜線部の北側が愛媛県 久万高原町に属し、稜線部の南側は、高知県 梼原町(ゆずはらまち)と、高知県 津野町(つのちょう)に属する。牛の放牧場にもなっていて草原状となっていることから、後述の通り、典型的な「カルスト地形」が見られる。また、標高が高いことと、草原状で大きな樹木が無いため展望にも優れ、北側には「大川嶺」や、空気が澄んでいれば遠く「石鎚山脈」も望める。また南側には高知県の山々が望める。牛の放牧地となっているため、花の種類は少ないが、初夏から夏にかけては、草原の中に咲いている、アザミ、ハンカイソウなどの花々を見ることもできる。東西方向に延びる尾根上に県道四国カルスト公園縦断線があり、観光などに便利で、この車道が四国八十八景32番「天空の遊び場四国カルスト」として選定されている。風力発電の巨大風車も建てられている。
西側の端は、姫鶴平(めづるたいら)と呼ばれ、宿泊施設「姫鶴荘[4]」とキャンプ場がある。当地の東側には「天狗高原」があり、その一角には宿泊施設「星ふるヴィレッジTENGU(旧・天狗荘)[5]」がある。
地形
編集地質
編集四国カルスト全体は、その名が示すように、「石灰岩」が分布している高原である。その分布域は、四国カルストの主要部に合わせるかのように、東西方向に長く伸び、四国カルストの東側にある、「鳥形山」[注釈 1](とりがたやま、標高約1,100メートル)という山まで延びている。ただしその分布域は、東西方向には細長く伸びているが南北方向には狭く、当地あたりで、1.5キロメートルほどの幅しかない[6]。
この石灰岩体は、石炭紀からペルム紀前期に、海洋プレート上で形成されたサンゴ礁などのリーフ性の石灰岩であり、ペルム紀の中期から後期に、「付加体」として、当時のアジア東部[注釈 2]に付加したものである[6]。
当地の周辺部の地質構造は、かなり複雑である。
「石灰岩」が分布していのは、前記の通り四国カルストと呼ばれている稜線部のみで、その北面は、高圧型変成岩の一種、「泥質片岩」が東西方向に細長く分布している。この「泥質片岩」の変成ピーク時期はトリアス紀からジュラ紀と推定されている。また北側のさらに下部は、ジュラ紀の付加体が分布している。具体的には、「玄武岩」、「チャート」のほか、「メランジュ相」の部分が広く分布している[6]。
一方、当地の南面も複雑で、まず前記の「石灰岩体」と同じペルム紀の付加体が分布している。岩相は「メランジュ相」である。その他、北面と同じ、トリアス紀からジュラ紀に変成作用を受けた「泥質片岩」が分布しているほか、白亜紀の非付加体型の「礫岩」、ジュラ紀のメランジュ相の付加体など、複雑な地質構成となっている[6]。
この四国カルストとその周辺は、かつてはジュラ紀の付加体である「秩父帯」に属するとされてきた。
しかし前記のように、四国カルストを形成しているペルム紀の付加体や帰属不明の変成岩体など多種多様な地質体が混在していることが詳しい研究でわかってきたことから逆に、日本の地帯(地体)構造区分上、どの地質体が、どのグループに属しているか、という点は、研究者によって意見が様々でコンセンサスは得られていない。またこのような複雑な地質構造となっているメカニズムもまったく不明である[7]。
「四国カルスト」について
編集五段城
編集脚注
編集注釈
編集- ↑ 「鳥形山」(とりがたやま)は、四国カルストの東の延長部にある、標高 約1,100メートルの山である。「四国カルスト」と同様に、石灰岩からなる山であるが、全山が鉱山会社の所有で、セメントの原材料として石灰岩が採掘されている。登山対象でもないし、「四国カルスト」地域には含めないのが一般的である
- ↑ ここでは、「付加体」が形成された場所を、説明の都合上、「アジア東部」と記載したが、ペルム紀のプレートの配置は不明な点が多く、具体的にどの大陸性プレートへと付加したのかは、よくわかっていない。
- ↑ 「四国カルスト」の東西の長さは、いくつかの参考文献で、いずれも「25km」と記載されていたが、地図上で、西端の「大野ヶ原」西部から、東端の「天狗が森」まで実測すると、約15キロメートルであった。
- ↑ 「日本三大カルスト」という呼び方は、「四国カルスト」に関する文献、インターネットサイトでよく使われているが、特にどこかの機関が公認したものではない。
出典
編集- 1 2 3 石川 道夫、西田 六助、豊田 康二、岡山 健仁 (共著)『分県登山ガイド (37) 愛媛県の山』(2016年版)山と渓谷社、2016年11月5日、102-103頁。ISBN 978-4-635-02067-1。
- 1 2 3 石川 道夫、清家 一明 ほか5名(共著)『四国百名山』山と渓谷社、2000年9月10日、58頁。ISBN 4-635-53028-0。
- 1 2 3 “「四国カルスト」ミニガイドブック”. (愛媛県)四国カルスト県立自然公園. 愛媛県庁、「自然保護課」 (2020年1月). 2026年4月8日閲覧。
- ↑ https://www.karst.co.jp/
- ↑ https://village-tengu.com/
- 1 2 3 4 5 “産総研「20万分の1日本シームレス地質図V2」”. 産業技術総合研究所 地質調査総合センター (2025年7月18日). 2026年4月8日閲覧。
- ↑ 日本地質学会 編「5-1章「(四国の)秩父帯の付加コンプレックス」、5-2章「(四国の)黒瀬川構造帯」の項、など」『日本地方地質誌 第7巻 四国地方』朝倉書店、2016年、103-107,129-142,151-154,162-166頁。ISBN 978-4-254-16787-0。
- ↑ “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2026年4月8日閲覧。