ヒドロン
ヒドロン(Hydron)は、H+という記号で表される、水素原子の陽イオンの一般名である。
| 物質名 | |
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| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| ChEBI | |
| ChemSpider | |
| KEGG | |
PubChem CID |
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CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| H+ | |
| モル質量 | 1.00739 g mol-1 |
| 精密質量 | 1.007276466812(90) g mol-1 |
| 熱化学 | |
| 標準モルエントロピー S⦵ | 108.95 J K-1 mol-1 |
概要
編集「プロトン」という言葉は、最も多い同位体である軽水素の陽イオンを意味する。「ヒドロン」は、その同位体組成に関わらない陽イオンを表す。そのため、プロトン(1H+)、デューテロン(2H+, D+)、三重水素(3H+, T+)を含む名称である。他のイオンと異なり、ヒドロンは裸の原子核のみから構成される。
ヒドロン(裸の水素原子核)は、反応性が高すぎるため多くの液体中では存在できない。自由なヒドロンは、液体中で分子と反応し、より複雑な陽イオンを形成する。例としては、水中における水素イオンの水和型であるヒドロニウムイオン(H3O+)や最も強い超酸であるフルオロアンチモン酸の不安定な陽イオンH2+がある。このため液体中では、ヒドロンは複雑なイオンと接触して、グロッタス機構により拡散する[2]。水中においてヒドロニウムイオンは、スヴァンテ・アレニウスによる酸の定義の鍵となる。
他の水和型には、1つのプロトンと2つの水分子からなるズンデルカチオン(H5O2+)や1つのプロトンと3つの水分子からなるアイゲンカチオン(H9O4+)があり、グロッタス機構に従う「水素ホッピング」において重要な役割を担っている。ヒドロン自体も、より一般的なブレンステッド-ローリーの酸塩基理論において重要な役割を果たしている。
ヒドロンの同位体
編集用語の歴史
編集「ヒドロン」(Hydron)という用語は、国際純正・応用化学連合により、未分画の天然の水素同位体混合物に含まれる軽水素、重水素、三重水素について区別がなされないときに「プロトン」に代わる言葉として使うことが勧告されている。「プロトン」という用語は、同位体分離された純粋な1H+を表す[3]。一方、水素化物イオンも存在するために、ヒドロンを単に「水素イオン」(hydrogen ion)ということは推奨されない[4]。
「ヒドロン」という用語は、1988年に国際純正・応用化学連合によって定義された[5][6]。しかし、今でも「ヒドロン」という用語の代わりに「プロトン」という用語が用いられており、プロトン化、脱プロトン化、プロトンポンプ、プロトンチャネル等という用語がある。また酸塩基反応によるH+の移動は、通常は「プロトン移動」と呼ばれる。「ヒドロン」という用語は、速度論的同位体効果や同位体標識等、水素の同位体を区別することが重要な文脈でのみ用いられている。
しかし、天然の水素原子核の99.9844%はプロトンであり、残り(海水では156 ppm)がデューテロン、ごく少量がトリトンである。
関連項目
編集出典
編集- 1 2 “hydron (CHEBI:15378)”. Chemical Entities of Biological Interest (ChEBI). UK: European Bioinformatics Institute. 2014年9月5日閲覧。
- ↑ Computer modeling of proton-hopping in superacids.
- ↑ Nomenclature of Inorganic Chemistry-IUPAC Recommendations 2005 Red Book 2005.pdf IR-3.3.2, p.48
- ↑ Compendium of Chemical Terminology, 2nd edition McNaught, A.D. and Wilkinson, A. Blackwell Science, 1997 [ISBN 0-86542-684-8], also online Archived 2005年12月12日, at the Wayback Machine.
- ↑ IUPAC, Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book") (1997). オンライン版: (2006-) "hydron".
- ↑ Bunnet, J.F.; Jones, R.A.Y. (1968). “Names for hydrogen atoms, ions, and groups, and for reactions involving them (Recommendations 1988)”. Pure Appl. Chem. 60 (7): 1115–6. doi:10.1351/pac198860071115.

