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この項目では、一般的な等弾力的関数について説明しています。効用関数が等弾力的である場合については「等弾力的効用関数」をご覧ください。 |
等弾力的関数(とうだんりょくてきかんすう、英: Isoelastic function)とは、需要の価格弾力性が一定である関数のこと。弾力性とは、従属変数の変化率を独立変数の変化率で割った比率であり、その変化がゼロに近づく極限で定義される。
弾力性係数を
(任意の実数値をとり得る)とすると、この関数の一般形は次の通りである。

ここで
と
は定数である。弾力性は次のように定義される。

この関数においては単に r に等しい。
需要の弾力性は以下で表される。
ここで r は弾力性、Q は数量、P は価格である。
これを変形すると、
これを積分すると、
簡略化して、
ミクロ経済学における例としては、一定弾力性需要曲線が挙げられる。この場合、p は財の価格、D(p) は消費者の需要量を表す。多くの財について、弾力性 r は負である(価格が上がれば需要量が減るため)。そのため、係数 を正の値として解釈できるように、指数にマイナス符号をつけて需要関数を表すことが便利である。
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ここで は応答の大きさを示す絶対値として解釈される。供給曲線についても同様の関数が存在する。[1]
等弾力性関数はまた、危険回避下の選択理論においても用いられる。この理論では、危険回避的な意思決定者は、フォン・ノイマン=モルゲンシュテルン効用関数が凹関数であると仮定して、その期待値を最大化するとされる。この文脈において、効用が(たとえば)富に関して一定の弾力性を持つ場合、ポートフォリオにおける株式の比率などの最適決定は、意思決定者の富の規模に依存しない。
この場合の一定弾力性効用関数は、一般に次のように表される。
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ここで x は富、 は弾力性を示し、 、かつ が一定の相対的危険回避度係数を表す( で危険回避度は無限大に近づく)。